日本の将来は隣国の中国の世界の覇権指向の政策の影響を深く受けるざるを得ません。それは日米安保体制にある日本の大きな脅威になることは避けられない宿命です。
この中国の覇権指向の脅威をバイデン新大統領はどのように考えているのでしょうか?
わが国はじめ世界各国で早くも「バイデン・ドクトリン」なる外交安全保障政策の理念、具体策についての関心が高まっています。
そこで今日はバイデン大統領の外交政策と中国の工業技術の脅威を具体的に紹介したいと思います。
(1)バイデン大統領の外交政策。
以下は、https://wedge.ismedia.jp/articles/-/21952?page=2 からの抜粋です。
バイデン氏の発言および見解を考えると第46代米国大統領が推進するより具体的な外交・安全保障政策には、以下のように想定されます。
1. トランプ政権が大きなダメージを与えた同盟諸国との関係修復・強化にただちに着手する。できるだけ早期に日欧主要国首脳との会談を行う。
2.NATOおよびアジア太平洋における日本、韓国、オーストラリア同盟諸国については、引き続き防衛分担の増強を求めるが、これらの諸国に対するアメリカのコミットメントを(前政権のような)金銭的取引の対象としない。
3.中国の存在を最重要視し、中国の世界経済に対する挑戦に対処していくため、価値観を共有する「世界の民主主義国間の連帯構築に早急に着手する。
4.世界各国との通商においては、アメリカ国民の利益を守るため、相手国に対し「公平・公正なルール」の順守を求めていく。
5.米軍事力の投入は目先の短期的目的のためではなく、長期的で戦略目的に合致したものでなければならない。「世界の警察官」となるのではなく、資源配分を厳格化する。
6.北朝鮮核問題については、切迫した脅威であり、中国含め近隣関係諸国と緊密な連携の下に「非核化」実現に向けて協議していく。トランプ前大統領の時のような米朝首脳会談に安易に応じるつもりはなく、経済制裁強化を含め北朝鮮に対し厳しい姿勢で臨む。
・・・以下省略します。
以上のようにバイデン大統領は中国の脅威を最重要視していることは明らかです。
それでは中国の脅威とは何でしょう?
それはアメリカ攻撃を暗示した強大な軍事力と高度な工業技術に支えられた巨大な経済力です。幸い現在の時点でこの2分野では中国はアメリカよりも劣っています。しかし中国は成長しているのです。大きな脅威です。
そこで高度な工業技術の一例をご紹介したいと思います。
(2)中国の高度な工業技術の例
中国の工業技術の発展はめざましくコンピューター技術をはじめ全分野で世界の先端に立っています。しかし鉄鋼製錬技術や自動車製造技術は地味でマスコミであまり取り上げられていません。そこで今日はこの2分野についてご紹介いたします。
例えば鉄鋼製錬技術について見れば、2019年の中国の粗鋼生産量は長年連続で世界一なのです。
以下は、https://www.nikkei.com/article/DGXMZO54931090Y0A120C2X93000 からの抜粋です。
世界鉄鋼協会が発表した2019年の世界粗鋼生産量は、前年比3.4%増の18億6990万トンと3年連続で過去最高だった。米中貿易戦争の長期化で世界の鋼材需要が鈍化する一方、中国は景気刺激策を背景に生産を拡大した。
中国の粗鋼生産量は8.3%増の9億9634万トン。4年連続で前年を上回り、過去最高を更新した。世界市場に占める中国の比率は約53%と前年(約51%)をさらに超えた。現状のペースで増産が続けば20年には世界で初めて生産量が10億トンを超える可能性がある。
一方、中国をのぞく主要国は米中貿易戦争の長期化の影響を受けている。日本は4.8%減の9928万トンと、10年ぶりに1億トンを割り込んだ。自動車など主力の製造業向けの需要が世界で低迷したためだ。国別では1位中国、2位インドに続き2年連続で世界3位だった
1番目の写真は中国の鉄鋼製錬工場の写真です。出典は、https://jp.123rf.com/photo_48693366_%E8%A3%BD%E9%89%84%E6%89%80%E3%81%AE%E7%82%89%E3%81%AE%E6%BA%B6%E8%9E%8D%E9%87%91%E5%B1%9E.html です。
2番目の写真は1番目の写真と同じです。
さて中国の地方都市の保定市の様子をご紹介します。北京から南へある河北省の州都で以前私自身が何度か行ったところです。
3番目の写真は保定市にある自動車製造会社の「長城汽車」の本社です。
写真の出典は、https://spc.jst.go.jp/hottopics/1710/r1710_chenx.html です。
4番目の写真は「長城汽車」で作った車の一例です。
「長城汽車」の本社は北京~開封高速を南西へ3時間程走って、保定南という高速道路の出口を出たら、5分足らずの所にあります。長城汽車は中国ナンバーワンのSUVメーカーです。
この会社は27年前、従業員が60人にも満たず、巨額負債を抱きぼろぼろの小さかった自動車修理工場でした。それが試行錯誤を繰り返し紆余曲折の道を歩み、現在では7万人の従業員を擁する、年間100万台の車を製造する大会社まで成長したのです。
このようなを「長城汽車」を支えたのが保定市にある河北大学の卒業生でした
5番目の写真は河北大学の一部です。写真の出典は、http://blog.livedoor.jp/jinying/archives/2719151.html です。
河北大学は現在河北省唯一の全国総合重点大学です。学部在校生は18951人 大学院生は3350人で、外国からの留学生も162人います。
そして河北大学は中国で最も古書を沢山保存している大学として中国古書保護大学に指定されているのです。
以上のようにバイデン大統領は外交政策の中で中国の脅威を強調しています。そこで中国の脅威を私は具体的に考え、その一例として地方都市の保定市の発展ぶりをご紹介しました。このような保定市の発展は中国全土で進行しているのです。中国の経済活動は間違いなく世界一になる勢いです。
アメリカの外交で中国を最重視しているのは当然です。この点ではトランプ前大統領もバイデン大統領も同じです。
それはそれとして、今日も皆様のご健康と平穏をお祈り申し上げます。後藤和弘(藤山杜人)