575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

幣辛夷ファインダーの中揺れ続け       草女

2007年04月17日 | Weblog
 幣辛夷(シデコブシ)は、東海丘陵要素植物(周伊勢湾要素ともいう)の一つである。東海丘陵要素とは、東海地方特有の強酸性・貧栄養の小湿地とその周辺の地質にのみ見られる植物を示し、シデコブシ、シラタマホシクサ等いく種かあるので追々取り上げていきたい。
 東海丘陵要素は厳しい環境を選んだ植物達である。他の植物達が繁殖出来ない所で生きることを選んだ彼らははたして強いのか弱いのか考えてしまう。
 園芸のの本ではモクレン属を「マグノリア」と呼び、沢山の品種が生み出されている。ところが品種改良の母種になっているのは、日本に自生しているコブシ、シデコブシ、タムシバである。家の近くの大通りに植えられている「シデコブシ」もそんな園芸種の一つで、コブシとシデコブシの交雑種の「バレリーナ」であると思われる。かなりの排気ガスの中毎年樹木いっぱいに花をつけ、道行く人々をたのしませている。
 講談社の週刊花百科の「こぶしともくれん」を読むと、コブシの特性を「丈夫で寒さに強ぃ。種子から実生で増やすが、庭や鉢で育て易いのはシデコブシ。またコブシは接木の台木にされる事も多い。」と書かれている。
 しかし、海上の森などで自生しているシデコブシは、レッドデーターブックで絶滅危惧種Ⅱ類に指定されている。
 ことに海上の森のシデコブシは木も細くて弱弱しい枝に可憐な花をつけていて、守ってあげたくなる。
 東海3県で自生しているシデコブシは、環境の変化への適応が出来なくて数を減らしており、かれらが強い植物なのか、弱い植物なのか結局分からないのである。

 歳時記にはシデコブシの句は見当たらないけれど、「コブシ」「辛夷」の花の句は沢山乗っていたので紹介したい。

  花辛夷空青きまま冷えてきし        長谷川櫂
  死の賑はひにも似て辛夷花ざかり      能村研三
  病癒ゆ眼鏡いっぱい花辛夷         新井 清
コメント (2)
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