575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

鳴かざれど・・・   鳥野

2007年04月27日 | Weblog
鳴かないものを鳴かせ、鳴かないはずの声を、あたかも聞いたかのように発句する。俳句の本領でしょうね。
それにしても、秀句の多いこと。

たとえば、亀鳴く。

 裏がえる亀思うべし鳴けるなり 石川桂郎

 五十年待ちたれば亀鳴きにけり 藤田湘子

 亀鳴くを聞きたくて長生きをせり 桂信子

そして、蓑虫まで鳴かせてしまいます。

わが子を疎ましく思った父親は、息子に汚い衣を着せて、「秋には戻る、待てよ」と言って逃げました。
子はその言葉を信じて、「ちちよ、ちちよ」と泣きながら待ち続けるという。
蓑虫には父乞虫の名もあるとか。

 蓑虫の音を聞きに来よ草の庵 芭蕉

 我等の世蓑虫鳴かずなりにけり 加藤楸邨

 妻籠に蓑虫の音をきく日かな 石田波郷

(人々の声無きの声を、もっと大切にして欲しいものですが・・・)
コメント (4)
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