575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

中年日本の改憲症候群    遅足

2008年05月04日 | Weblog

3日の憲法フェスティバルで、香山リカさんの講演を聞きました。
バブル崩壊後の日本を精神分析した話でした。
かなり私風の誤解を恐れずに紹介します。

発病の発端は、1990年後半のバブル崩壊。
右肩上がりの成長は止って、人間でいえば、中年にさしかかった。
そして、いわゆる中年の危機がやってきた。
そのひとつが改憲症候群。
この症候群、今は潜伏しているが、また発症する可能性も。

   

人は、他人の不幸は「かわいそうに」とは思っても、ひとごと。
そう思って心の安定を得、毎日を過ごしている。これは健康な証拠。
しかし、バブル崩壊後、阪神大震災、オウム事件と、
どうも他人事ではすまされないことが続き、不安になる。
この不安が、中年の危機の発症の始まり。
そこに追い討ちをかけるように、長い不況からリストラの嵐。
我が身を守ることに、心が集中、他人のことを思いやる余裕をなくす。
不安はますます強まる。症状の悪化。

正しい処方箋は、不安の原因をシッカリとみつめて対処すること。
しかし不安にかられると、そんな心の余裕はなくなる。
まして個人にはあっても、国民全体の精神科医はいない。

人々は、心の安定のために、不安はないことにしようとする。
あるいは、不安の原因を他人に押し付けて安心しようとする。
また、危機に陥った時、人は思い切ったことをして、生活を変えようと考える。
個人の場合、転職や離婚を考える。

    

政治は二流でも経済は一流といわれた日本。
しかし中国などの追い上げによって、経済大国日本は過去の夢に。
国内の不況対策も、既得権益を守ろうとする勢力の抵抗など、
国の指導者はさまざまな手を打ったが、うまく行かない。
打つ手がなくなって、登場したのが転職ならぬ、改憲。
これさえ実行すれば、すべては上手く行くのでは?

改憲は以前から自民党の基本政策。
しかし、バブル崩壊後に、国民の多くが改憲に心惹かれたのは、
じつは不安からの一時的な逃避ではなかったのか?
(改憲したら、不安の原因は解消されるのだろうか?冷静に考えれば
そこには、なんの因果関係もない。)

   

では護憲の方は不安の正体を正しく見ていたのか?
同じ様に不安から逃れるために護憲の旗をあげたのではないか?
(これは、かなり急所をついた痛い指摘だと思いました。)

現在、改憲症候群は、一時、弱まっている。
中年の危機に陥った人が転職を考えるようになった時、
精神科医は、時間稼ぎをする。
ある程度、時間がたつと、なぜ転職など考えたのか?と冷静に。
今は、激しい症状が一時的に治まっただけ。
またぶり返す可能性も高い。

   

改憲、護憲を問わず、いま、本当に必要なことは
不安の正体をまっすぐに見ること。
右肩あがりの経済成長は終り、少子高齢化社会へ。
日本は、中年から初老への変化の時期の真っ只中。

未体験の老年期に入ろうとしているようです。
隣国に愛される老人になりたいもの。








コメント (3)
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