575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

死語累々   遅足

2008年05月10日 | Weblog
自然を感じるこころ  ~nature writing入門~ 
  (野田研一 ちくまプリマー新書)

若者むけの本です。面白かったので感想文を書きました。

   

nature writing 。
自然の関するノンフィクション形式のエッセイのこと。
19世紀から存在する、この文学形式は、
環境問題が深刻になっていくに従い、注目を集めるように。
環境と人間の問題を文学の観点から研究する学問
nature writing研究がスタート。
野田さんは、日本での第一人者とのこと。

著者は、十年ほど前、理科系の学生から、
文学は環境問題に何の役にも立たないのでは、という批判を受けた。
たしかに人間の感受性や美意識の表現である文学や芸術は
環境問題の解決に直接貢献することはないかもしれない。
しかし感受性や美意識こそ、私達の「自然観」の根底にあるもの。
私達が自然について何をどう感じているのか。
それを見極めないで自然に対する私達の態度を決定できるのであろうか。

  

自然は、言語の問題にも深く関わっている。
環境破壊によって、鳥の鳴き声が消え、川の音が消えたら
私達を囲んでいる言葉の森が消失。
これは自然を通じて形作られてきた言語の世界が消えること、
それは感情や気分を表現する象徴の世界が消滅することでも。

  

桜の木が消滅したら、花見の宴も、桜餅も、いずれは消えていく。
桜に託した歌も、いずれは実感のない空虚な習慣にすぎなくなっていく。

  

21世紀、環境とは何かについて、自然科学、社会科学、人文科学を
総動員して取り組む必要がある。
文学もまた、そうした研究に取り組む時代になった。
自然環境の危機は、文化の危機でもある、
と野田さんは書いています。


現在でも、かなりの季語が死語になってきていますが、
未来には、死語となった季語が累々と横たわるのでしょうか?


  



コメント
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夏来たる士農工商アナウンサー   朱露

2008年05月10日 | Weblog

   アナウンサーは口が達者ではダメ。
   口下手ならいいか? 無論ダメだ。
   では、どの辺で手を打てばいいか。
   相手が楽になる程度のバカがいい。

コメント (2)
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