575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

二輪草           愚足

2008年05月19日 | Weblog
 少し古いことになるが

「 呼んで呼ばれて寄り添って・・・
 喧嘩したって
 背中あわせのぬくもりが
 かようふたりは ふたりは二輪草」

という無条件に甘い夫婦演歌に「二輪草」というのがあり、川中美幸が歌って久々の四十万枚突破した。素直で歌いやすく酔っ払った夫婦がカラオケで歌うには最適な曲である。

 さて問題は題名の「二輪草」である。
 今月の初めに伊吹山三合目を連れ合いと訪れたらあちこちに白い花が群生している。可愛い花なので名前を聞くと「ニリンソウ」だと言う。「へえーこれが二輪草」かとまじまじと観察した。すると 二輪のもあるが一輪や三輪もある。
 「二輪でないものもたくさんあるけど、ほんとに二輪草なの?」と聞くと次のような講義があった。
 
 「ニリンソウ」はキンポウゲ科イチリンソウ属の多年草で、平地では三から四月、山地では五から六月に開花し。仲間にはイチリンソウもあればサンリンソウという仲間もある。
 イチリンソウは本当に一輪しか花を付けないが、他の二つは名前通りでないので、花の数で見分けるのは難しい。ではどうして見分けるか?
二輪草は葉柄がなく、葉に白い点々がある。三輪草の花は一番小さく全体に毛があり、標高の高いところに生える。
 また驚いたことに花弁に見えるのは鍔が変化したもので、特にニリンソウでは先祖返りして緑色の花を見つけることがある。でもその確率は四葉のクローバーと同じくらいなのだが、以前上高地で見つけたときは嬉しかったと言う。

 以上が講義であるが、ニリンソウの学名はAnemone Flaccida と言いAnemoneはアネモネ・・ギリシャ語で「風」。Flaccidaは「柔らかな」という意味だそうで
 二輪草は「柔らかな風」ということになる。

 ギリシャの野にも可憐な白い花が揺れていたのであろう、伊吹の五月、背中合わせの温もりに、しばし二輪草のゆれるのを眺めていたのである。

  伊吹晴れ柔らかき風二輪草
  風渡り背中合わせの二輪草
  エーゲより吹き来る風や二輪草
コメント (2)
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