575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

今更に死なば死なめと思へども心にそわぬ命なりけり   良寛

2009年06月28日 | Weblog
入退院を繰り返す母。92歳。
口癖は「長く生きすぎた。早くあちらへ行きたい・・・」
ケア・マネさんにお聞きしたら、やっぱり、同じ様なことを言う
お年寄りを沢山、担当しているそうです。
昔のように、ひとり縁側でうつらうつらする
老人を見かけることはなくなりました。
病院に入れるのは幸せ。
でもココロは必ずしも、シアワセではなさそうです。

医療や介護は、昔に比べたら天と地の違い。
でも、この天上の世界、それほど心地よくはないようです。
たしかに、病院も介護も人手不足、お年寄りの話しを
聞いたりする余裕はありません。

老いの嘆きは良寛さんも感じていたようです。

   うつつにも夢にも人の待たなくに
         訪ひ来るものは老にぞありける

   今更に死なば死なめと思へども
         心に添わぬ命なりけり

いつ死んでもいいと思っているのに、こころに添わぬ命だなあ、
というココロは今も昔もかわらぬもののようです。

年とともに、さまざまな能力が落ちてしまっています。
老後も楽しめるといって、俳句などにも挑戦していましたが、
言葉をあやつる力は早く失われてしまうようです。
母も俳句のまねごとをしていましたが、もうダメと言っています。

母をみていると、特に、
時間の観念が失われていくのがよく分かります。
昨日のことはスッカリ忘れ、
明日という観念も弱くなっていくようです。

こんな歌もあります。宮友子さんの歌。

   眼をあけて暗闇に寝て思ふこと
          未来なし未練なしわれ明日なし

夜中に起きて、どうしてこんなになってしまったのか・・・・
と泣く母です。
                   (遅足)




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俳句教室より    遅足

2009年06月28日 | Weblog
荻原俳句教室。
もう一つの宿題は「かたつむり」


にたようないちにちづつをかたつむり  晴代

先生のコメント
全部平仮名表記は面白い。
中七がちょっとこなれた表現でないのが惜しい。
「ひとひひとひ」として

にたようなひとひひとひのかたつむり

にしては。
また平仮名で通す時に、ゆっくりと読者が
読み解いていく工夫のひとつとして
歴史仮名遣いを使う方法もある。

にたやうなひとひひとひのかたつむり

(ゆっくりと声にして)

  

雨降れば角と目玉の蝸牛かな  Aさん

先生のコメント
雨降れば、を、作者が傘をさして外にでた状況にして
傘させば、としたら。

傘させば角と目玉の蝸牛かな

家背負いどこへ引越す蝸牛  Bさん

先生のコメント
家を背負い、と、引越し。
イメージだぶっているので、どちらかを消す。
たとえば、家背負いの上五を、雨の状況に変えて

どしゃ降りをどこへ引越す蝸牛

(いずれも読者が読みやすくなっていると思いました)

  

かたつむり銀河の水をのみにゆく  遅足

先生のコメント
下五の主語は?
ゆく、が意思なら作者。
推測ならかたつむり。
どちらともとれる。
この句の場合は、のみにゆく、と
私がというニュアンスも残したほうが良いかも。



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