575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

虱いる暗い日本の餓鬼だった   朱露

2009年06月21日 | Weblog


       シラミという昆虫で哺乳類の血を吸う。
       羽根はなく眼も退化し縫目に行列する。
       こう書いていて総毛立つ虱の日の暗さ。
       虱をもたらしたもの全て絶対に許さぬ。

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「かぐや」お役目終了   遅足

2009年06月21日 | Weblog
月探査衛星の「かぐや」が月面に投身、
お役目を終えたそうです。
このニュースを読んで、この句を思い出しました。

水の地球すこしはなれて春の月  正木ゆう子

科学は俳句にどんな影響を与えるのか?
そんなことを考えさせる句です。
この句の視点は地球でも月でもなく
まさに宇宙船のなかからのもの。

作者の想像力がつくらせた句であっても
読者の側に読み取る力がなければ句として成り立ちません。
つい、半世紀前までなら、この句は荒唐無稽として退けられたでしょう。

しかし、ソビエトの人工衛星が飛び、人間が宇宙空間に出る。
さらに「かぐや」からの映像が月に上る地球の姿を映し出す。
こうした科学技術の成果があって、
読者のなかに、この句に共感できる条件が整ったわけです。

俳句が自然を詠むものであるとしたら、
科学は、自然の境界を大きく広げてくれたわけで、
それだけ俳句の領域も広がったことになります。

「かぐや」さん、ご苦労様でした。


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