575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

泥をかぶる    遅足

2010年01月11日 | Weblog
演出家の蜷川さんが、若者たちに「真田風雲録」を
演出しているところがテレビで紹介されていた。

蜷川さんは、若者たちの演技に満足できない。
なにかが欠けている。
コトバで、実際に演技して、指導する。
が、意に添わない・・・

蜷川さんが考え付いたことは奇想天外であった。
若者たちに、頭から、バケツ一杯のドロをかぶせたのである。

演技が変わった。

本番の舞台はドロの海。
若者たちは何かを掴んだようである。

   

最近の若者は「ゆとり世代」と呼ばれているとか。
ゆとり教育を受けてきたこと。
いま一つの特徴は、ケータイで育った世代であること。

その特徴は、直接、人と話すことに極端に慎重。
人を傷つけたり、傷つけられることを恐れるという。
ましてドロをかぶることなど思いもよらないであろう。

蜷川さんが行ったのは、こうした間接的なコミュニケーションを壊し、
体の原始的な感覚を呼び覚ますことだったかも知れない。

オーケストラの指揮者も、コトバでイメージを伝えるが、
肉体感覚に根ざした比喩がよく使われるという。

春の季語に「春泥」がある。
しかし、ドロ道など、もうあまり見ることがない。

そういえば、ドロをかぶる、という表現があったが・・・
もう死語かな?


   春泥や曽祖父にもつ博打うち  


コメント (1)
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