575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

新聞の片隅に載ったニュースから(44)    大西五郎

2012年08月13日 | Weblog
新聞の片隅に載ったニュースから(44)

    英国「五輪価値あった」55%(2012.8.1毎日新聞)

「11日付の英紙ガーディアンは、ロンドン五輪について英国民の55%が『開催費用に見
合う価値があった』と評価している、との世論調査結果を伝えた。開催前は五輪に対し
懐疑的な意見も多かったが、大きなトラブルが起きていないことや、英選手団の予想以
上の活躍が作用しているとみられる。
 今大会の開催費用は、当初計画の約3倍に当たる約93億㍀(約1兆1400億円)に上っ
たが、若い世代で肯定的評価が特に高く、35歳以下では60%以上に上った。ただ地域別
では、英国からの独立論がある北部スコットランドで肯定派と否定派が42%ずつと分かれた。」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 

「ロンドンオリンピックで英国選手が予想以上の活躍をした」って知ってました?
 日本の新聞やテレビでは日本人選手やチームの活躍と「それを支えた家族(先輩)の
愛」報道が中心で、外国選手の活躍は陸上短距離のU・ボルトら有名選手や日本のチー
ムのライバルチームについての報道が主で、あまり大きく扱われませんでした。

同じ日の朝日新聞では、開催国の英国は金メダル29個で米中に次いで3位だそうです。
そう云われて13日の各紙のスポーツ欄を見てみると、最終日の決勝記録欄に、陸上男子
5000㍍①モハメド・ファラ(英)13分41秒98、1600㍍リレー⑤英国3分24秒76、水泳高
飛び込み③デーリー(英)556.95点などが、見出しや解説もなく、ただ記録として記載
されていました。

また朝日新聞は、英国は強化費4倍かけて躍進したと伝えています。英国は、金メダル
1個だった96年アトランタ五輪の1年後、宝くじの売上金をトップスポーツや文化事業
に振り向ける基金の制度を導入。08年北京、12年ロンドンの2大会に向けて計5億㍀
(625億円)の強化費を投じた。その前の2大会と比べて4倍だそうです。

 日本も選手強化の拠点としてナショナルトレーニングセンターや国立スポ^ツ科学セ
ンターを作り、ロンドンでも5億4千万円の予算を投じてマルチサポート・ハウスをつ
くりました。

 オリンピックは国別対抗戦ではなく、選手個人が力と技を競うものだと云われてきま
したが、最近は国家が「国威」を発揮する場になっています。マスコミもその風潮を煽
っているキライがあります。例えば、最終日に、男子レスリングフリースタイル66㌔級
で米満達弘選手とボクシングミドル級で村田遼太選手が共に金メダルを獲得したことを
伝える新聞の1面は、「米満 金 村田 日本メダル最多閉幕へ」(朝日)、「村田ボク
シング48年ぶり(金)米満レスリング24年ぶり メダル最多38 日本勢有終」(毎日)
「米満レスリング金 村田ミドル級V メダル最多『38』」(中日)という具合でし
た。クーベルタンさんはこれを見て何と言うでしょうか。
                                       大西 五郎
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戦争と俳人② 三橋鷹女

2012年08月13日 | Weblog
 夏痩せて嫌ひなものは嫌ひなり

戦前の女性として珍しく自己をはっきり表明した女性。
戦争については、どんな句を詠んでいたのでしょうか?
日中戦争の始まった頃。「戦火拡大す」という前書きのある句。

  曼珠沙華咲いてまつくれなゐの秋

曼珠沙華の紅に戦火のイメージが重ねられています。
心象風景を詠った鷹女らしい句です。
やがて戦死者が身近にも。「町民葬」という前書き。

  夜霧濃く戦死兵ありこの町に

太平洋戦争へ。男の子が軍関係の学校を卒業。
「我子、卒業とともに下関港より出征」とあって、

  一群の飛魚波を蹴立てゆきぬ

写生として出征を詠んでいないところが詩人なのでしょうか。

戦争が終わっても我が子は帰ってきませんでした。
そして「昭和二十一年二月四日。我子、奇跡的に生還」

  あはれ我が凍て枯れしこゑがもの云へり

ガラスのような感性の藤木清子の句とは違いますね。
寡婦と主婦という環境の違いも影響しているかも・・・
戦後、まもなくこんな句もあります。

  コスモスの戦後の花影踏むなよ君

平和への思いが伝わってきます。「反骨無頼の俳人たち」より。

                       遅足


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