575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

合歓の咲く湯涌温泉      遅足

2012年08月05日 | Weblog
金沢の奥座敷と言われる湯涌温泉へ行きました。
この温泉、1300年の歴史があるとか。
お目当ては、公共の湯「白鷺の湯」です。
一人350円というお値段。
平日とあって、地元の人たちが温泉を楽しんでいました。
無色透明、なめらかなお湯です。

白鷺の湯の裏手にあるお寺の境内に歌碑が。

  湯涌なる山ふところの小春日に
     眼閉ぢ死なむときみのいふなり

竹久夢二の歌だそうです。
この「きみ」は誰なの?
金沢は夢二の奥さんの生れた所。でも奥さんではありませんでした。
愛人の彦乃さんと遊びにきたそうです。恋の逃避行?
君とは彦乃さんのこと。
幸せのあまり、もう何時死んでもいいわ、という歌なんでしょうか?

彦乃さんは、東京の絵草紙店で夢二と出会ます。
そして、親の反対を押し切って京都で同棲。
金沢に旅行。この時が二人の一番幸せだった時。
この旅の後、病に倒れ、二十五歳でその生涯を閉じたそうです。

幸福の絶頂で自らの死を予感していたのでしょうか・・・
合歓の花がしずかな風に揺れていました。
                    (写真は歌碑です)

  合歓の花しずかにしずかに目を閉じて死なんと誘う夢二の女



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ハンカチを持ちかへて子等帰り道    結宇

2012年08月05日 | Weblog
子供たちが学校からの帰り道に、ハンカチを持ち替えている?
あるいは、右手に持った手提げと左手のハンカチと
持ち替えているのでしょうか?

作者からは「実景ではないのです。心情としては幾人かの子供です。 
昔は、家の子も含め、分団で集まって登校したりしてましたよね。
すっかり様変わりで・・・」という返事。

 ひだりてから みぎてににもつ もちかえて 
         またあるきだす ときの優しさ

持ち替える、ということを詠った村木道彦さんの歌です。
持ち替えることによって、気分を新たにする、という意でしょうか。
たしかに身に覚えのある気がします。頭ではなく身体の記憶です。

句の場合も、さあ!下校、という気持ちを整えるための
無意識の行動かも知れませんね。

17世紀のイギリスの詩人、リチャードウェストの詩。

  鼻水のでているお鼻をば、ソクラテスがしたように
  帽子でふいてはならないよ、着物でふいてはならないよ
  いつでも用意にもっている ハンカチーフでおふきなさい
  ゆびでも袖でもいけません そんな子供は叱られます

300年前ですって!
紳士の国・イギリスならではの詩ですね。   遅足

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