兄弟の多かりし世のさつまいも
作者は、自解に、こう書いています。
戦前の軍国主義の時代、「産めよ増やせよ」と男子の出生を奨励。
十人、十二人の子供を産めば表彰された。
それを「兄弟の多かりし世の」と詠んだ。
戦争も末期になると食糧難に。戦後はさらに深刻。
闇に流れた食べ物といえば、さつまいも・じゃがいも。
私が、こうした句を詠むのは、あの時代の語り部として、
世界平和への願いからである。
作者は大正11年生まれ。平成20年に亡くなられています。
「現代俳人像」より。
私は父から戦争の話を聞いた記憶はほとんどありません。
海軍にいった叔父さんからは数回。
乗っていた船が魚雷にやられて二つに。幸い、沈まなかった方に。
「良い奴はど早く死ぬ」と。
昭和18年生まれの私は、子供に戦争の話をしたことは全くありません。
遅足