575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

猫額の庭の木立は夏の中     朱露

2012年08月15日 | Weblog
  もちの木・コブシ・山法師の三巨頭。
  二階の窓から眺め続けて三十年経つ。
  私は変わらないが彼らは大木になる。
  明日のことは考えないようにしよう。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

戦争と俳人③ 西東三鬼

2012年08月15日 | Weblog

  国飢えたりわれも立ち見る冬の虹

敗戦の年の冬に詠んだ句。
都市はどこも焼け野原、皆飢えていました。
そこに虹が・・・作者も一緒になって見上げています。
自註に、次のように書いています。

昭和20年暮。独り、移り住んでいた神戸で作った。
敗戦のため俳句を作り発表できるようになったが
5年間、俳句で物を云わなかった私は、舌がこわばって
当分はろれつが廻らなかった。
それを矯正するための写生という方法を採った。

三鬼は、新興俳句運動に参加しましたが、
これが当局から危険思想とみなされ、昭和15年、
治安維持法の問われて逮捕、有罪となります。
執行猶予でしたが、俳句を禁じられたのです。

  寒燈の一つ一つよ国敗れ

三鬼を有罪とした治安維持法は、昭和の初めに成立。
戦後に廃止され、三鬼も、俳句を再開。以後、精力的に活動。

  おそるべき君等の乳房夏来る

  広島や卵食ふ時口ひらく

などの句を残しています。

大学時代、哲学を学んだM先生。やはり治安維持法で有罪となりました。
8月15日。特高警察の監視下にあった先生は、警察署へ。
そこでは中庭で書類を焼く煙があがっていました。
証拠隠滅を図っていたそうです。

今朝の中日に「玉音放送」を知らない高校生が圧倒的という記事。
玉音というコトバも死語でしょうね。

                        遅足

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする