575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

敗戦日ひとりテレビに黙禱す  静荷

2018年08月25日 | Weblog

  普段着で人を殺すなバスジャックせし少年のひらひらのシャツ

栗木京子さんの歌。この歌には詞書きがあります。
「そして平成十二年、十七歳の少年が・・」

歌集のなかでは、この歌の前に、社会党の浅沼稲次郎委員長の
暗殺事件が詠まれているそうです。
昭和三十五年、演説中に浅沼さんが右翼少年に刺殺された事件です。
この少年も、バスジャックの少年も同じ十七歳。
右翼の少年は学生服。バスジャックの少年はシャツ姿。
時代を隔てて、その対比が詠まれています。

出来事の間にある類似性を補助線にして詩歌を読む。
静荷さんの句からも73年前のあの日との類似点を発見しました。

昭和20年8月15日。国民はラジオの前に集まり、昭和天皇の放送を聞きました。
それから73年経った今、国民はテレビの前でひとり黙禱を捧げています。
放送というメデイアはラジオからテレビに変りましたが、
国家の意志を放送を通して国民に伝えるというシステムは変らぬまま。
日本国中で同じ光景が繰り広げられている。その不可思議さを感じました。

テレビの時代も終わりが近づいています。
平成のあとの新時代にはどんな光景が見られるのでしょうか?

浅沼さんが暗殺された時、私は同じ十七歳でした。
この暗殺事件の衝撃は忘れられません。(遅足)



コメント
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