今回の題詠は「春寒」あるいは「牡丹の芽」です。
♪春は名のみの風の寒さや 谷のうぐいす歌は思えど
「早春賦(そうしゅんふ)」という歌曲。
まさに季語の「春寒」を歌ったものです。
というか、明治になって新しく歌をつくる時、
伝統的な美意識を基礎にして作詞していたからでしょうね。
「春寒」は、暦の上では春になっても、まだ寒いこと。
「余寒(よかん)」と同じ意味です。
余寒が寒さに力点を置くのに対し、春寒は春に想いを置いています。
春寒や竹の中なるかぐや姫 日野草城
「牡丹の芽」も春の季語。
牡丹は寒さに強く、早春には芽が膨らみます。
朱色の芽からは生命力を感じさせ、春の到来を告げているようです。
人ごゑの遠巻きにして牡丹の芽 岸田稚魚
どちらか一つを選んで下さい。