575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

「あんみつ」

2020年10月24日 | Weblog



橋本夢道<はしもとむどう> 1903年 徳島の農家
の生まれ。都内深川の藍染問屋に奉公。俳句は休
日に図書館に通い独学。黒岩涙香<くろいわるい
こう>の「萬朝報」<よろずちょうほう>に掲載さ
れていた荻原井泉水<おぎわらせんせんすい>の句
に感化され句作を始め自由律俳句誌「層雲」に投
句。才能が認められ井泉水の弟子となります。

自由律俳句はプロレタリア文学とされたことから
藍染問屋から解雇され、俳句仲間の紹介で銀座の
輸入雑貨店に職を得ます。「栗林一石路」<くり
ばやしいっせきろ>らとプロリタリア俳句誌「旗」
を創刊しますが「新興俳句弾圧事件」に関わった
とされ2年間の抑留生活を余儀なくされます。

戦後、銀座の「月ヶ瀬」の役員となり「新俳句人
連盟」の創立に寄与。やがて「秋刀魚」を創刊。
その自らが主筆を務める秋刀魚で「農民の労働歌
のような句をユーモラスに詠みたい」と記してい
ます。夢道の妻「静子」は月島小町といわれるほ
どの美人。そのため、夢道は愛妻家で知られ句集
「無類の妻」で「多喜二・百合子賞」を受賞。

「妻よ おまえはどうしてこんなに 可愛いんだろうね」<夢道>

余談ですが、夢道は「あんみつ」の考案者。自ら
がコピーライターとなり「みつまめを ギリシャの
神は 知らざりき」「君知るや このみつまめの 伝
説を」をキャッチコピーとした電車の中吊り広告
を電通に依頼。俳人の作った広告として話題とな
りました。

「古今東西 人胃袋のために貧乏して つねに空腹」<夢道>

橋本夢道 新興俳句で活躍した愛妻家。享年71歳。
下記は墓誌に記された句。獄中で詠まれたといわ
れています。

「動けば 寒い」

写真と文 <殿>






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