575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

新蕎麦や野武士のごとき指が打つ  遅足

2020年11月19日 | Weblog
メール句会で行われた「新蕎麦句会」。見事トップ賞に輝いたのは、現在、圧迫骨折で辛い日々をお過ごしの遅足主宰でした。俳句はどんな状況でも作れるのですね。以前、遅足さんが、「幸せな時より、ちょっと悲しい時、苦しい時の方がいい句が生まれる」とおっしゃっていたことを思い出しました。

選句された方のコメントです。

殿様「野武士の指など見たことがない筈。しかし太く武骨な指が浮かびます。」
紅さん「いかにもゴツゴツした指先の力強さが伝わります。」
能登さん「こんな容貌の打ち手が、腰の強い美味しい蕎麦を出してくれそうな気がします。」
晴代さん「野武士の指より華奢な指の方がおもしろいかな、、?」
智恵さん「蕎麦は、黒々、ゴツゴツの、こういう手で打っていただきたい。」
すみさん「 野武士のごとき指が楽しい」
等「蕎麦を打つのを見ていると、さぞ力が要るものと感じられます。特に指先には力が必要でしょうね。」
亜子さん「「野武士のごとき指」の表現が具体的で目に浮かぶ。」

私も採らせていただきました。蕎麦打ち職人の指に目をつけたのはこの句のみ。今まで何回その指で蕎麦を打ったのでしょうか?
「野武士のごとく」に職人を敬う気持ちが感じられました。

ちなみに野武士は山伏のことも指すようです。中世に全国的に広がった農民の武装集団のこと。追いはぎのようなことをしたという説もありますが、人里離れた山野で修業したのでしょう。ごつごつとした指が目に見えるようでした。

実際には見たことのない野武士を登場させたところに、病床にあっても、遅足さんの絶えることない想像力と冴えわたる描写力を見た思いでした。おめでとうございました。麗子
コメント
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