575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

新蕎麦や山水食らう峡の宿  紅

2020年11月30日 | Weblog

◆山峡の美しい水をたっぷり使って打った蕎麦を出す宿、おいしそう。(千香子)
◆山水は「さんすい」と解釈。山と水のある風景を食べる。思わず吐息がこぼれます。(殿)

読み仮名をつけてくださったおかげで
峡の宿を 「かいのやど」と読むのだと知りました。

「峡」すなわち両側に山が迫っている所。山と山の間。
いかにも温泉が湧いていそうで、いかにもその土地でとれた蕎麦を打って
野趣あふれる山菜とともに食べさせてくれそうな
山間のひなびた宿が目に浮かんできました。
殿様の言う通り、風景もご馳走として召しあがったと思います。

また、この句は声に出して気持ちがよいのです。音の並びとして、
「新蕎麦」「山水」のS  「食らう」「峡」の K という
摩擦音と破裂音の無声の子音が続くことで口が喜んでしまうのです。
そして、切れ字の「や」、宿<やど>のÝがやさしく響きあうという設計図も見えてきました。

俳句は、文字だけでなく発音することでさらに良さが増すものがあるように思います。郁子
コメント (1)
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