575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

父の日      遅足

2014年06月15日 | Weblog
ずっとプレゼントから無縁だった父の日。
下の子供が結婚、その奥さんからプレゼントが。

振り返れば、私は父に贈り物をした記憶がありません。
唯一、還暦の時に赤いチョッキを兄弟夫婦で贈ったほかは。

そんな父からのお返しは遺書でした。
鉛筆の下書きがあり、それをボールペンで上書き。
幼い時に父を亡くし、母の手で育てられた父。
遺書は、母のことを観音菩薩に喩えて感謝することから。

遺された母を大切にするようにという
メッセージが込められていたのでしょうか・・・

  梨の花下書きのある父の遺書   遅足







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俳句は「もの」を詠む詩。

2014年06月14日 | Weblog
俳人の小澤實さんが季語を2つに分けた話をしていました。
「もの」の季語と、それ以外の「こと」の季語です。
そして、俳句はものを詠む時に強くなると。
そういった意味で、俳句は写真にとてもよく似ています。
写真は「もの」を映します。
そして、いい写真からは、もの以上のモノを感じます。

   夏服や死後のことなど話しけり

衣更えを機会に、また死後のことを話題に。
夏服にさらに「もの」を重ねてみます。

   夏服や終活ノート買いにけり

どちらが良いかは好みの問題ですが、
「もの」があった方が、イメージはクリアーになるようです。

                      遅足





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戦争が近いと説ける書を閉じてワールドカップのテレビを開く   遅足

2014年06月13日 | Weblog
いよいよサッカーのW杯が始まりました。テレビは「ニッポンがんばれ!」の声一色に。
スポーツは戦争ではないので相手に対するリスペクトを忘れないようにしたいものです。

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卯の花や伊吹の山にかかる雲   遅足

2014年06月13日 | Weblog
関ヶ原から、伊吹山麓を抜けて木之本へ向かう途中、
伊吹という集落があります。
昼食に利用するのが、蕎麦の店「伊吹野」です。

パンフレットによれば、奈良時代に中国から帰国した僧が
蕎麦を持ち帰り、ここ伊吹で栽培したのが最初とか。
店の自慢は、地元の名物である大根を添えたおろしそば。
訪れる時は平日ですが、お客さんが列をつくっています。

伊吹山は、日本海と太平洋の気候がぶつかる接点に。
風の集まる山。独特の気候から薬草の山としても有名。
水も美味しいところです。

地元の人たちの蕎麦は、専門店とは一味違っていました。
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ヒメヒオウギ 麗

2014年06月12日 | Weblog
この時期楽しみな草花。ヒメヒオウギです。
原産地は南アフリカの多年草です。

数年前母が丹後にすむ友人から種をもらい我が家の庭にも進出してきました。
直径2センチくらいの可愛い花。ピンクと白が咲いていますが
よく見ると赤色の班は三弁だけにあります。
神は細部に宿る感じがします。

この種をくださった母の友人も今は亡くなりましたがこのヒメヒオウギが咲く度に母の心になにかしらの感情が溢れだします。

種は自然にこぼれどんどん増えていきます。
種をまく人でありたいものです。

縁側で亡き人しのぶ梅雨の朝 麗
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「夏服」句会近づく。     遅足 

2014年06月11日 | Weblog
6月の句会が近づいてきました。
今回の題詠は「夏服」です。
更衣をすると夏衣に。
昔の宮廷では、衣服をはじめインテリアも夏向きに。
これが現代のクールビスに受け継がれています。
夏衣が和服。夏服は洋服を指します。
ク-ルビズも新しい夏服としてOK。

私は、映画「居酒屋兆治」の伊丹十三を思い出しました。
高倉健・演ずる英治になにかとケチをつける客の役。
上下ともに真っ白の夏服。靴も白。そしてサングラス。
なかなか決まっていました。

  夏服に変へ口紅の色も変へ  吉田慶子

どんな夏服の句が詠まれるのか?楽しみです。
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蝶、千里をわたる   鳥野

2014年06月10日 | Weblog
つい先ごろ、テレビがアサギマダラの長旅を、
話題にしていました。
1グラムにも満たない体重、薄い翅、限られ
た食草、どのようにして、海を渡るのか。
最近はマーキング調査が盛んに行われて、渡
りの様子が次々に実証されています。

日本の本土でマークされたものが、南西諸島
で、台湾でという報告もあります。

あの繊細な蝶が2000キロ、1日200キ
ロの旅を。
何故に、どのようにして。まだ研究の途上と
言います。

夏の休日。御在所岳山上の広場は、補虫網を
振る歓声で大賑わい。
丁寧にマーキングされ、蝶は空に帰っていき
ました。旅の始まりです。

 ・ マダラチョウ夏濤越えて千里行く
                  鳥野
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麦秋のなかの浅井(あざい)の里眠る   遅足

2014年06月09日 | Weblog
大河ドラマの舞台になると観光客が訪れる。
もう何年前からの現象でしょうか?
先日、訪れた滋賀県の木之本。
ドラマ「黒田官兵衛」のおかげで賑わっていました。
黒田家は木之本の黒田の出身とのこと。
賤ヶ岳もあり、資料館ではジオラマを使った解説も。

木之本のすぐ近くにあるのが浅井(あざい)の里。
3年前の大河ドラマ「お江」の舞台。
観光客を呼ぶための施設などもあって賑わっていました。
しかし今は人影もありません。

滋賀県は麦畑の多いところ。
麦秋のなかに浅井の里は眠ったようにひっそりと。
歴史に思いを馳せるには、この方がいいかも・・・


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安珍・清姫の鐘     遅足

2014年06月08日 | Weblog
紀州・道成寺に伝わる安珍と清姫の伝説。
清姫は、旅の僧・安珍に裏切られた怒りから蛇に変身。
鐘のなかに逃げ込んだ安珍を鐘ごと焼き殺す。

この伝説に登場する鐘が、京・岩倉の妙満寺にあるという。
ミステリーのようなお話。
妙満寺に、安珍清姫の鐘を訪ねてみました。

伝説には後日談がありました。
安珍が清姫に追われ、鐘のなかで焼け死んでから四百数十年後。
二度目の鐘が完成した時のことです。
一人の白拍子が現れて、舞いながら鐘に近づきます。
そして鐘を引きづり下ろすと、蛇に変身、日高川に消えました。

この後日談をもとに能の道成寺が創作されます。
以後、様々な芸能に取り上げられていったのだそうです。
ここでも妙満寺の名前は出て来ません。

この後日談には、さらなる後日談が。
道成寺の鐘は音も悪く、近隣に悪病災厄が続きます。
そして鐘は山林に捨てられました。
更に二百年余のち、秀吉の紀州攻めに加わった武将が登場します。
この仙石権兵衛秀久が、この鐘を拾い上げ、京に持ち帰ります。
そして妙満寺の大僧正の読経によって、清姫の怨念は解かれました。
鐘は美しい音を取り戻し、以後、今日まで、妙満寺に。
今は宝物館に安置されて、音を聞くことができないのが残念です。

とてもヤヤコシイお話でした。

この妙満寺。創建は1389年。
現在の京都・烏丸五条あたりにあったそうです。
その後、幾度か兵火で焼失。秀吉の時代には、寺町二条に移転。
さらに昭和43年、現在の岩倉に移転。
伝統を誇る京の寺にも様々な歴史模様が繰り広げられているのですね。
本堂の軒下では、ヨガ教室が開かれていました。

  雨足が駆けてくるなり梅雨の寺   遅足


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気弱でも強気になれるサングラス   能登

2014年06月08日 | Weblog
サングラスの特徴をズバッと言い切った句。

  サングラスかけ大胆に発言す   菊地凡人

  臆病に生きて濃い目のサングラス  増田守

そんな人がサングラスを外せば・・・

  サングラス強面(こわもて)気取る優しい目   すみ

そうです。優しい目があるのです。
今回の句会、さまざまなサングラスを詠んできました。

  サングラスかけ句ごころを遊ばせて  竹腰朋子

        (遅足)



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蜘蛛の巣の風に揺るるや遺髪塚   遅足

2014年06月07日 | Weblog
京都の北、岩倉の地。
明治維新の公家のリーダー、岩倉具視。
命を狙われて、幕末の数年間、身を隠したのがここ。
裕福な農家のような屋敷。南に庭がありました。
京の街に思いを馳せた具視。
京都での出来事を客観的に見る機会を天が与えたのかも。

最近、遺髪と言う言葉を聞くことはなく、死語になったのでしょうか。
庭の一角に遺髪碑がありました。

老人ホームや病院が建設され、老人の里の様相を呈していました。
岩倉さん、あの世でこの変遷ぶりを聞いたら・・・
なんとコメントされるかな?

昼食は祇園に近いうどん屋さんで、名物のねぎうどんを。
十人近い列に並んでのうどん。それなりの美味しいさでした。
ガイドブック片手の外国人は、諦めて別の店に。
うどんと九条ネギだけの一杯。
1300円でした。

ところで岩倉にほど近い場所に妙満寺という寺院が。
安珍清姫の伝説に登場する鐘があるとの看板が・・・
次回はこの妙満寺を紹介します。
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サングラス掛けてうとうと白昼夢   立雄

2014年06月07日 | Weblog
サングラスはいつ頃からあるのでしょうか?
エスキモーのスノーゴーグル。
木の板に薄い覗き孔を空けたものです。
サングラスの代わりに使われたと言われています。
エメラルドのレンズを入れた眼鏡。
古代ローマ皇帝ネロが観戦にかけていたとも。
大量生産のものは、1929年にアメリカで発売。
歴史があるんですね。

この句のサングラスは公園でうたた寝中。
どんな夢をみているのでしょう?
目が覚めた時、どんな世界が見えてくるのかな?

  サングラスかけ心眼を養へり    石井邦雄

  サングラスとれば荒野の殺到す   石倉夏生

どちらだったのでしょうね?  (遅足)

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川床(かわどこ)をゆらして料理運ばるる  遅足

2014年06月06日 | Weblog
京都の貴船神社に行ってきました。
奥の院よりさらに上流へ。
車を止めて清流に手をひたせば、川の水はひんやりと心地よい。
期待したホトトギスの声は聴けませんでした。
ふと堰の上を見ると、黒い鳥影が・・・二羽。
水の中に嘴を入れて餌を探していました。
清流に棲むカワガラスです。こんな近くで見たのは初めてです。

お昼は川床料理。女将の呼び込みにつられて貴船茶屋へ。
気温は30度近くありましたが、川床は半袖では寒いくらい。
奥さんは上着を取りに車へ。

二人連れは少なく女性のグループが中心。
川音とおしゃべりのなか、料理を楽しみました。
川床は、案外揺れるのでした。

            
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サングラスかけてあの世に旅立てり    佐保子

2014年06月06日 | Weblog
サングラス姿でしか思い出せない人。
そんな人はサングラスのまま、あの世に逝くのでは?
きっと三途の川もサングラス姿で渡って・・・と、作者。

郁子さんは、また別の読みを。
サングラスをかけると世界から色が消えていきます。
それを、あの世が見える、と読みました。

  サングラス掛くれば吾に霊界見ゆ   三好潤子

サングラスをかけると思わぬものが見えるようです。

  うつし世の裏をじつくりサングラス  加藤房子

  昭和史の裏まで視えたサングラス   上月大輔

マッカーサーのサングラスを思い出しました。
彼には日本人はどのように見えていたのでしょうか?

                    (遅足)
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地獄蒸し 麗

2014年06月05日 | Weblog
別府八湯のひとつに鉄輪(かんなわ)温泉があります。
ここでは地獄蒸しという温泉の地熱を利用した釜が各湯治場にあ
ります。
貸し間という宿の一部屋を借りて湯治に滞在する人も多いとか。
そこで好きな野菜やたまご、お肉等をただ蒸すだけの料理ですが、これがとてもおいしいのです。
体験工房もあり、材料を買ってお釜の使用料500円を払うだけ。半熟玉子は7分、じゃがいもなどは30分で蒸し上がります。
今回は時間がなく立ち寄っただけですが、次回は泊まりたいです。温泉はたった100円で入れます。
さすが湯の街です。

天国と思う地獄の釜の味 麗
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