575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

12月句会の投句が集まりました。   遅足

2015年12月16日 | Weblog
今年最後の句会。題詠は「牡蠣」です。
さまざまな牡蠣が集まりました。
どの牡蠣が一番おいしいのでしょうか?
みなさんの判定はいかがですか?

題詠「牡蠣」
①雑炊の中の幸福(しあわせ)牡蠣一つ
②牡蠣鍋のふっくら煮えてほっかほか
③生牡蠣や籠り呻きし嗚呼あの日
④三陸の牡蠣待ちかねた四年なり
⑤牡蠣殻に齢(ヨワイ)数へて波の跡
⑥牡蠣鍋や近所に止まる救急車
⑦山を父海を母とし牡蠣太る
⑧教へ子とオイスターバーに酌み交わす
⑨広島の生牡蠣届く無事の文
⑩妖怪に似たる生牡蠣ぐいと呑み
⑪牡蠣打ちの息子受験日手は止めず
⑫牡蠣の身は醜悪なりと幼き目
⑬信じるかぷっくり牡蛎は殻の上
⑭喧騒の中運ばれる酢牡蠣かな

自由題  
①紙漉の水音高き手の赤き
②子も巣立ち骨付きチキンなき聖夜
③鯛焼きの頭を母と譲り合い
④つながらぬ雪の電話を待っている
⑤冬麗や凛々しき富士よ恃まれよ
⑥不精にも追いかけてくる師走かな
⑦この橋を渡れば八十路冬紅葉
⑧御嶽の煙立つ見ゆ小六月
⑨キャンパスの灯消ゑゆきて年納め
⑩風の宮擬宝珠に冬の日差しゆれ
⑪喪中の報宛名はずして冬の朝
⑫夕暮れの散歩いざなう冬紅葉
⑬札(さつ)同士離れがたくて年の暮
⑭北風の雨戸を叩く午前二時



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山茶花ちらし   遅足

2015年12月15日 | Weblog
高橋順子さんの『雨の名前』を読みました。
四季折々の雨に付けられた名前が紹介されています。

そのなかで「山茶花ちらし」という言葉に出合いました。
山茶花を散らしてしまう雨。
別名「山茶花時雨」ともいうそうです。

花の名のついた雨といえば、梅雨の頃の「卯の花腐し」
春には「桜雨」と「菜種梅雨」があります。
日本人の美意識が生みだした宝石のような言葉です。

   脱ぎ捨てた靴へ山茶花ちらしかな  遅足

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ふく志るも喰へば喰せよきく乃酒   芭蕉

2015年12月14日 | Weblog
岐阜県の各務原市にある鵜沼宿を訪ねてみました。
中仙道の六十九次のうち五十二番目の宿場町。
近年、街並みの整備が進み、脇本陣の坂井家も復元されました。
ボランテイアのガイドさんに案内して頂きました。
その坂井家を訪れた芭蕉が詠んだのが冒頭の句です。
鵜沼は海から遠く河豚汁はなかったのではないでしょうか?
一説には鯰のことでは?とも言われています。
河豚と言えばこの句。

  あら何ともなやきのふは過てふくと汁

河豚の調理法が確立していなかった時代。グルメも命がけ。

菊の酒とは、重陽の節句に飲む菊の花を浸した酒のこと。
長寿になるとされるお目出度い酒です。
もし河豚汁が出されても、私は平気ですよ。
長寿を保障する菊の酒があるじゃありませんか、
と、菊の酒を褒めた機知の句ではないでしょうか?
この句を芭蕉自らが刻んだという珪化木の句碑もありました。

数多くの旅籠のならんだ鵜沼宿。武士や町民が行き来しました。
幕末には皇女・和宮など多くの旅人がここを通って江戸へ。

  勤王も佐幕も冬の影法師  遅足

木曽川をはさんだ対岸には犬山城があります。
あわせて一日、ウォーキングも楽しめるところです。
             (写真は鵜沼宿です)



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おもしろうてやがて悲しき鵜舟かな  芭蕉 

2015年12月13日 | Weblog
この句は芭蕉が長良川の鵜飼を見物して詠んだもの。

一緒だった弟子の落梧と荷兮も句を詠んでいます。
 
  鵜の頬に篝こぼれてあはれなり    荷兮

  篝火に見おぼえのある鵜匠かな    落梧

芭蕉の句は、見物人の立場で詠んだものと思っていました。
しかし、謡曲の「鵜飼」を習って少し読み方を変えなくてはと。

「鵜飼」の舞台は、甲斐の国・石和の里。
例によって旅の僧が登場。非業の死を遂げた鵜使いの亡霊に出会います。
そして僧の願いに応じて、鵜を使って鮎を捕える様子が謡われます。
以下は、鵜飼の様子を謡う地謡の大意です。

 篝火に驚く鮎を鵜が追い回す面白さよ・・・
 やがて月が出ると、鵜飼も終りである。悲しいことよ。
 鵜舟の篝火が消えて、私は、また闇路に帰らねばならない。

「おもしろうて」「かなしき」「鵜舟」というキーワードが
3つとも出てきています。
芭蕉を始め弟子たちは能を熟知していました。
弟子たちも、この句に「鵜飼」を重ねあわせて読んだはずです。

鵜飼が果てて、シテは再び闇路へ帰らなくてはと歎きます。
楽しい時間はあっという間に過ぎてゆく。
生あるものは皆、死の闇路へ帰っていく。
そんなメッセージが裏に込められた句でもあったのでは?

                     (遅足)



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薄氷の割れてピカソの顔となる  等

2015年12月12日 | Weblog
等さんから句集「岩ひばり」を頂きました。
学習院俳句会の第十二句集です。第一句集は昭和三十二年。
そのなかの岡田日郎さんの一句。

  天涯に雲たむろせり岩ひばり  

この句からの命名だそうです。
等さんの句をいくつか紹介します。

  「もう惚けた」てふ人長閑地蔵通り

東京・巣鴨の地蔵通り。お年寄りの町の風景。
同年齢の人といれば、気も楽に。長閑に過ごすことも出来ます。
余裕の心からユーモアが生れます。

  鳥帰る海の涙の浜小石

鳥帰るは、秋に来た鴨などが北へ帰ること。
花を迎える明るさのなかに、別れの寂しさも感じられる季節。
取り合わせたのは、海の涙の浜小石。
寄せては返す波に身をまかせている小石。
涙の浜小石と表現するリリシズムの持ち主です。

  花呑みぬややありて鯉吐き出しぬ

写生の模範のような句。映像がくっきりと浮かんできます。
等さんの句はしっかりした観察眼。それを詩にするリリシズム。
ユーモア感覚。三拍子揃っています。
さらに俳句を豊かにしているのが絵画の知識。
ピカソなど有名な画家の名が季語に準ずる効果をあげています。
                         (遅足)





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石臼も搗いて餅つき始まりぬ   遅足

2015年12月11日 | Weblog
先日、小学校で行われた餅つき大会に行ってきました。
PTAと消防団が中心となって毎年行われるイベント。
小学校が出来た昭和50年代から続いているそうです。
町内会の役員となって、初めての参加です。

校庭には3つの石臼。その周りには小学生や大学生。
消防団の方が、薪を燃やして蒸しあげたお米が石臼へ。
トップバッターの小学生が杵をもって、餅つき大会のスタート。
小さな一年生には杵は重たく、ふらふらして石臼へゴツン。
次の大学生も経験がなさそうで、腰が入っていません。

でも天気にも恵まれ、皆さん楽しそうです。
つき上がった餅は体育館へ。お母さんたちの出番。
手際よく丸めて、あんこや黄粉、大根おろしなどを添えていきます。
私もひとつ頂きました。美味しかった。

私たちの伊勝小学校は昭和50年に開校。当時の生徒数は700人。
しかし平成に入って減少、10年前には250人と3分の1に。
数年前から僅かながらも増加傾向。少子化に歯止めがかかってきました。

昔のわが家にも石臼があり、年末には一家総出で餅つき。
餅つき機が登場。今は餅つき機も姿を消しました。
ちょっと寂しい気持ちも。



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人生に美を添えて   麗

2015年12月10日 | Weblog
ノーベルウィークにすばらしい本に出会いました。
ノーベル生理学・医学賞を受賞された大村智先生、美術との出会いをまとめた一冊。
「人生に美を添えて」。

先生が韮崎大村美術館の館長さんであること、お隣に温泉を掘ったことなどはワイドショーなどで知っていましたが、この本を読んで先生が目指していたものがよくわかりました。優れた芸術家との交流録としても楽しめます。

30代から絵を集め始め、優れた美術品は個人で楽しむものでなく、できるだけ多くの方にみてもらいたいという気持ちで2007年に開館し、その後韮崎市に寄贈されたそうです。

大村コレクションは私の大好きな堀文子、三岸節子、片岡球子など女流作家の作品が多く、女子美術大学の理事もされていたことから卒業生の作品も多いようです。

愛妻を亡くされたことから奥様の名前の大村文子基金パリ賞も創設され、卒業生を海外で研修させるなど若手を育てる種もしっかりまかれており、その実も結実しています。

自然と芸術は人間をまともにすると言われるように、韮崎の絶景を眺めながら温泉につかり、大村美術館で作品に
ふれる旅、来年ぜひ行きたいと思っています。

そして今夜はノーベル賞受賞式ですね♪本当におめでとうございます。

         愛妻の写真とともに授賞式   麗

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12月句会ちかづく   遅足

2015年12月09日 | Weblog
もう今年もあとわずか。みなさん、風邪やノロウイルスにご注意。
我が家でも外出時にはマスク。帰宅後には手洗いを。
今のところ元気にすごしています。

今回の題詠は「牡蠣」です。
酢牡蠣よし、フライよし、鍋よしです。
牡蠣ごはんも良いですね。

私の母は大の魚キライでした。
子供の頃、食卓に牡蠣の姿はありませんでした。
初めて食べたのは牡蠣フライだったと思います。
生の牡蠣を食べたのは大人になってから。パリのレストランでした。
妻は美味しいといくつも喉に落としていました。
私は美味には感じませんでした。今も酢牡蠣は苦手です。

  牡蠣剥きて母なる海を啜りけり  遅足

         

今朝はかかりつけのお医者さんへ。
自転車で行きましたが、寒かったです。
名古屋は初霜を記録したそうです。


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十二月八日愚かなる日と記憶せよ   水岩瞳

2015年12月08日 | Weblog
昭和十六年十二月八日。日本は真珠湾を奇襲攻撃。
太平洋戦争が始まった日です。
朝7時の大本営発表をラジオで聞いた人たちの多くは、
もやもやがすっきりした、と回想しています。
アメリカの経済制裁のよる漠とした不安が払われたのでしょう。
戦争の結果を予測できる少数の人達を除いて。

水岩瞳さんの句集「薔薇模様」から。
他にこんな句もあります。

  八月のテレビシベリアから撫順

  何故なのか今も問ふべし敗戦忌

  戦争はいつも気を付け!いつも夏

作者は社会科の先生。問題意識の鮮明な句です。

          

私はまだ生まれていませんでした。
開戦から二年後、日本の負け戦が決定的となった頃です。

  十二月八日わが身のおきどころ   遅足
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降り積もり木の葉吐息の層となる   郁子

2015年12月07日 | Weblog
「降り積もり」「層となる」という慣用フレーズを上手く使った句。
着地点が「吐息の層となる」と、イメージが抽象的なのが気になりました。
吐息と木の葉を入れ替えてみると。

  降り積もる吐息木の葉の層となる

この方が木の葉のイメージがはっきりと残ると思います。

もう一点。降り積もる、と、層となる、は意味の重複があること。
動詞が2つあるために、句がゆるく感じます。

  降りつもり風の吐息の落葉かな

として見ました。
作者の意図をはずれてしまったかも知れませんね。

           

今日は二十四節季の「大雪」です。
もう根雪となった日本海側の人たちには困りものの雪です。
雪の埋もれて歩けなくなり遭難寸前だった、と
富山生まれの先輩から聞いたことがあります。
今年は大雪にならねば、と願っています。     遅足



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七五三七三分けの父誤算    郁子

2015年12月06日 | Weblog
七五三の数字を使ったことば遊びの一句です。
中七は髪を七三に分けている父。
そんな父にも誤算があった。
産み分けを七五三にしたかったが・・・
七三となってしまった誤算?

意味はあまり重視されていません。
声にして楽しんで下さい。

       

12月に入って雪の便りも。北国では暴風雪とテレビは伝えています。
伊吹颪は激しさを増していますが、まだ名古屋には雪は降ってきません。

 この道は通りませんと初雪の風の言葉が梢に届く  遅足


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商魂は七五三よりハロウイン   狗子

2015年12月05日 | Weblog
いつの間にか日本に定着してしまったハロウィン。
私の町内会の会合でも話題になるほどです。
若者たちのにも人気があるのは仮装出来るからか?
コスプレを楽しむ姿がテレビにも紹介されていました。
もちろん陰で支えているのは商魂でしょうね。

              

小さな子供たちの間で人気のあるままごと遊び。
女の子はお母さん役、男の子はお父さん役と決まっていました。
お父さんは会社へ。お母さんは夕食の支度。小さな子は子供の役。

ところが、今はお母さん役は嫌われているそうです。
お父さん役になった子は、寝転がってナイターをみているとか。
一番人気があるのはペット役・・・??

びっくりポンです。
ままごと遊びは家族の姿を真似する遊び。
日本の未来はどうなっていくのかしら?と、ちょっと心配。

                     遅足




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千歳飴引き摺り走り追う祖母の笑み   智恵

2015年12月04日 | Weblog
七五三には千歳飴が定番。なぜでしょうか?

京都に「みなとや幽霊子育飴本舗」という飴屋さん。
そこには、こんなお話が伝わっています。

妻を亡くした男が土の中から赤子の泣き声に気づきます。
不審に思った男が掘り返し見れば、それはわが子でした。
幽霊となった妻が、夜な夜な飴を買い、子供に与えていたと言います。

わが子のために幽霊が飴を買いに来るというお話は全国にあります。
飴には子供を育てる力があると信じられていたのでしょう。
こうした伝説が下敷きにあって、七五三には千歳飴となったのでは?

              

今朝は冷たい北風。伊吹颪です。

  北風や亡き人の声ふるさとへ   遅足


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753 麗

2015年12月03日 | Weblog
先月、753のピークに近くの神社にお参りに行ったら、このような
深曽木の儀に出会いました。
子どもたちは嬉しそうに碁盤に上がり弓矢を放つ真似をしてそこをカメラマンがパチリ。もちろん千歳飴を持ってです。
いつもと違うはれの日。何やらおめでたいことだと子ども心に感じるのでしょうか?皆神妙な顔つきでした。

それにしても、864でなくて753は音の響きといい、素数でもあるし、子どもの成長とともによくできた行事ですね。

今日は祖母の命日なのでこれから実家へ顔を出します。明治39年生まれでした。

    亡き祖母の声思い出す師走入り     麗
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手に草履袴に靴の七五三   すみ

2015年12月02日 | Weblog
着物を着た子供が靴を履いてやってきます。
母親の手には草履が。鳥居のところまで来ると。
靴を草履に履き替えて参りに。

七五三の男の子の着るものは洋服でした。
最近になって羽織・袴姿をよく目にします。
レンタルが普及したせいでしょうか?
観察眼の効いた句です。

        

先日、畑にサツマイモを掘りに行きました。
毎年、50本くらいの苗を植えます。
鍬で掘っていくと大きな芋が頭を出します。
傷つけないように丁寧に・・・
でもいくつかは傷つけてしまいました。
今年はまずまずの出来です。
寒さに弱いサツマイモ。新聞紙にくるんで保存。
これから毎日、サツマイモです。

  甘藷掘る空の高さをすぐそばに  遅足

芋といと俳句では里芋のこと。秋の季語です。
もちろん甘藷も秋の季語。
空高し、も季語。季重りの一句です。




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