575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

人形の手に泣く春の巡礼歌  遅足

2019年04月15日 | Weblog

 

先週、徳島市へ行ってきました。船旅で小松島港に入港。 バスで半日の徳島観光でした。 徳島といえば阿波踊りですが、人形浄瑠璃も有名です。

傾城阿波の鳴門の「巡礼歌の段」。 「ととさんの名は十郎兵衛、かかさんはお弓と申します」 子供の頃に聞いた巡礼・お鶴の台詞は、いまも耳から離れません。

舞台には義太夫節を語る太夫に三味線。 続いて、人形遣いが三人登場。 一人が頭と右手。ひとりが左手。そして最後の一人が足。 上演後まもなく三人の人形遣いは消え、 お弓とお鶴の母子の姿だけが見えてきました。

傾城阿波の鳴門は、江戸時代、藩の犠牲となって処刑された 板東十郎兵衛の名を借りてつくられたお家騒動の物語。 上演しているのは県立阿波十郎兵衛屋敷ですが、 ここは板東十郎兵衛の屋敷跡だった所だとか。

30分ほどの短い公演が終わって外へ。 吉野川から吹き寄せる春の風が首筋に肌寒く感じられました。

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亀鳴くや父から母へのラブレター  麗子

2019年04月14日 | Weblog

「亀鳴く」にはいろいろ説があります。

科学的と思われるのに“春には亀のオスがメスを慕って呼ぶ”という説がありました。

 この説に最も近いのがこの句です。

 ”父からのラブレター“とは暖かい家庭ですね、と等さん。

        

そうですね。私の父は明治生まれ。

ラブレターとは縁遠い存在と思っていましたが、いやいや。

ちゃんと母へ送っていたとか。

明治の農村に生まれ育った父はやがて文学青年に。

石川啄木に憧れて上京したこともあったそうです。

もっと若い頃の話を聞いておけば、と思うこの頃です。遅足

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「 津島天王祭屏風絵 」 ① クローン文化財 ~ 竹中敬一

2019年04月13日 | Weblog

 

今年1月27日、愛知県の愛西市文化会館で開かれたイベントに合わせて

「 津島天王祭屏風 」が複製品ながら公開され、見に行って来ました 。

愛知県津島市の津島神社に伝わるお祭りの模様を描いた江戸時代の屏風絵です 。

本物は大英博物館の所蔵になっていますが、この程、日本の 「綴 ( つづり )

プロジェクト」が最新のデジタル技術を駆使して製作 。

平成30年 、津島市と愛西市に寄贈されています。

八曲一双  ( 八面で構成された屏風が一組になっているもの ) 。

縦 1・5メートル  横 4・7メートル 。時々、公開されますが、いつでも見られるもの

ではありません。

現在、同種の屏風絵は大英博物館のほか、ギメ国立東洋美術館 ( 仏 )、名古屋市博物館 、

徳川美術館、個人蔵など国内外で8点が確認されているそうです 。

ある専門家の話では、大きなお屋敷のある旧家も少なくなり、最近の住宅事情から屏風

を手放す人もあって、画商を通じて今も大きな屏風が海外へ流出しているようです。

ところで、最近の複製技術はめざましいものがあり、クローン人間ならぬクローン文化財

という新しい造語が生まれています 。

東京芸大のチームが開発した文化財の超高精細の複製品 。

最新のデジタル技術を取り入れ2017年にはこのクローン文化財の展覧会が開かれています。

最近、テレビでも紹介されましたが、例えばゴッホの油絵の微妙な凹凸まで立体的にリアル

に再現されています 。

「綴プロジェクト」( キヤノンと京都文化協会 ) も同じように、

文化財の高精細複製品の制作に取り組んでおり、

その一環として津島天王祭屏風の複製品が作られたものです 。

複製品といっても、今までの概念を超えたまさに、もう一つの本物を見せてもらっている

わけです。

今回  、愛西市の許可を得てこの高精細複製品を撮影させてもらいました 。

次回からこの高精密複製品を通じて 、豪華絢爛 、さんざめく祭りの世界を紹介して

みたいと思います。

 

写真は今年1月、愛知県愛西市で公開された大英博物館蔵「津島祭礼図屏風 」の 高精密複製品

 ( 綴プロジェクト)より

なお写真は綴プロジェクトと愛西市のご好意により許可を得ています。

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陽炎につまずいているご老体  晴代

2019年04月12日 | Weblog

陽炎。春になると温められた地面から水蒸気が立ち上り、

空気が乱れることで、風景やものが揺らめいて見える現象。

春に限りませんが、のどかな感じのすることから

春の季語として親しまれてきました。

 

  東の野にかぎろひの立つ見えて返り見すれば月かたぶきぬ

 

教科書にあった柿本人麻呂の歌。『万葉集』の時代、ひろびろとした野の陽炎。

こころが解放されるようでした。

 

     ちらちらと陽炎立ちぬ猫の塚

 

こちらは夏目漱石の句。吾輩は猫であるの猫の塚でしょうか。

この猫の最後を思い出せば、苦いユーモアが感じられます。

そして、ご老体が陽炎にもつまずく超高齢社会の日本。行く末はいかに?

 

   かぎろへば来し方行く末定かならず  静荷

 

未来は陽炎のなか。誰にも分らないようです。(遅足)

 

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ブラレイコ  五条川編   麗

2019年04月11日 | Weblog

初めて五条川のお花見に行きました。五条川の源流は岐阜県多治見だそうです。28.3キロの間に大口町、江南市、岩倉市などを通りますが、このあたりが「日本さくら名所100選」に選ばれています。

今回私が訪れたのは大口町の五条川のほとり。ちょうど満開で花びらが川面をながれる花筏も始まった頃でした。土日は混んでいるようですが、平日はゆっくり遊歩道を歩くことが出来ます。いろんな橋からの眺めもすばらしかったです。

帰り際、川から少し離れたところにこんもりとした見事なさくらの大木に気づきました。近くまで寄って行くと「桜塚古墳」とありました。奈良時代に一人の行者が鬼門よけの天神を祀ったそうです。その時、杖として持ってきた桜の枝をこの塚にさしたものが芽吹いたという言われが書かれていました。最近、なぜか古墳に惹かれます。

新しい好きな桜に出会えて嬉しい一時でした。そんな桜もまもなく「落花」の季節。俳句も作らないと!!

             新たなる桜に出会い恋をする  麗

 

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4月句会が近づいてきました。

2019年04月09日 | Weblog

今回の題詠は「落花」あるいは、新元号の「令和」です。
「令和」は「令」と「和」の分けて詠み込んでもOKです。

新元号は「令和」。海外メディアはどう英訳したのでしょう。
ロイター通信は、「令」は主に「命令(command、order)」の意味で
「権威主義的なニュアンスが一部に不快感を与えている」と指摘。
英BBC電子版は「令」が「命令」、「和」は「調和(harmony)」や
「平和(peace)」を意味すると報道。
これに対して日本政府は「美しい調和(beautiful harmony)」を
意味していると説明しているそうです。

句に詠み込む時、「令」をどちらに選ぶ決める必要があります。
私は「命令」の「令」と読みました。

  一声の令に和しゆく落花かな

もちろん「落花」だけでもOKです。

どんな句が集るのでしょう?楽しみです。遅足
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中日歌壇!

2019年04月08日 | Weblog

今朝の中日新聞、中日歌壇

島田修三 選 見つけました!!

おめでとうございます。宗匠の歌です。

 

生者死者分け隔てなき夢からの帰り道なり椿散る道

 {評}夢には生死に関係なく家族や知己が登場する。その夢からのさめぎわに  

 「椿散る道」をたどったという。夢うつつの感を歌った一首。

 

あまりに理不尽なもらい事故、宗匠がそこから生還された時、

リアルな幻覚に悩まされた話を伺いました。この歌からそのことを思い出しました。

生と死、かけ離れているようで紙一重。「死」はひとが認めたくない事実かもしれませんが

植物はあたりまえに受け入れていきます。よほど高次元なところに存在しているのでしょうか。

桜もそろそろ散り始めそう  郁子

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亀啼けば酒を呑ませて堀に返す  静荷

2019年04月07日 | Weblog

 

作者が子供の頃のこと、名古屋城のお堀で亀を捕まえました。

 家にもって帰るとお母さんは「帰して来なさい」と。

 そして返す前にお酒を呑ませて、と諭されたそうです。

「鶴は千年 亀は万年」と言われ、鶴とともに亀は長寿の象徴。

 おめでたい動物として大切にされてきました。

 そんな風習がまだ残っていた時代。

 太平洋戦争の空襲で名古屋城が焼失する前のことでしょうか。

 

今のお堀には外来種の亀や魚。水遊びも魚釣りも禁止。

 子供たちがドロンコになって遊ぶ姿を観ることもありません。

 ちょっとサミシイと思うのは私だけでしょうか。(遅足)

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補聴器   竹中敬一

2019年04月06日 | Weblog

 

私は最近  、耳が聞こえにくくなり 、総合病院の耳鼻科で診察を受けた

ところ、難聴と診断されました。

そこで、この病院に出入りしている補聴器を扱う業者の方に相談する

ことにしました。

補聴器も色々あるようで すが、私が勧められたのは、ドイツ製のもので、

値段を聞いて驚きました。14万円から50万円まで。しかも片方の耳だけ

とのこと。

保険は適用されないそうで、年金暮らしの高齢者にこの高額の負担は

どうにかならないものか、叫びたい気持ちですが、致し方ありません。

私の場合は両耳が難聴。でも、両耳は煩わしいし、費用もかかるため、

右耳だけということにして、しばらくの間 、借りて試聴してみました。

自分でも高音、低音を多少、調整できましたが、どうしても満足いきません。

例えば、テレビの音量。喋っている人の言葉が聴きたいのに、BGが邪魔して

聴きにくいとか 。テレビからかなり離れて話し合っているのに、

テレビの音量が高すぎて、相手の声が聴きにくいなど。

主治医がおっしゃるには、人間の耳は良くできていて、長年の間に、

自分が必要とする音を優先して脳に伝えてくれているが、補聴器は

どんなに性能が良くなっもそこまでは無理、慣れて行くしかありません

といわれました。

音量といえば、テレビのドキュメンタリー番組を制作する過程で一番 、

神経を使うのは、ナレーションとBG 、元々 映像を撮る時に入っている

風や騒音のような自然音をミックスする時です。今は各種の音量の波形

を見て、予めコンピュータにその適量のデータを入れ、最後に自動的に

ミックスしているようですが、私たちの頃はミックス作業の際、音調さん

の音感に頼ることが大でした。

また、私の場合、どうしても音楽が高すぎることで、BGを選曲する音効

さんとよく言い合ったことを思い出します。

音量というのは、人それぞれ、状況によっも微妙に違っており、厄介な

ものだと思います。

今は、主治医がおっしゃるように、慣れるより仕方がないと思って、

補聴器を使っています。


写真は放送直前に私が載せた中部日本放送の社報 ( 昭和50年10月号 )

この番組は当時の芸術祭優秀賞を受賞しましたが、私はこの作品で初めて音楽を 作曲してもらいました 。当時の社報より

「 … この作品では音楽が大きな役割を果たすことになります。 音楽は信州出身の作曲家、小山清茂さんが担当されます。… 木曽の山々にいる珍しい鳥の声を音楽的にアレンジしたものや、廃村のシーン では、もの悲しい土俗民謡「 須原ばねそ 」を素材にした音楽を使用するなど 小山さんの音楽は作品を一層、効果的にしてくれることと思います 。」

期待通り、小山清茂氏が作曲した音楽は映像のイメージによく合っていました 。      

             

私もしばらく前から補聴器のお世話になっています。

でも充分使いこなせていません。遅足

      

 

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水底に黄泉(よみ)の入口亀鳴けり  亜子

2019年04月05日 | Weblog

黄泉に繋がる穴。宗教や伝説における架空の話に思えます。
しかしブラックホールやワームホールなど未知の穴が存在することが
最新の研究であきらかになってきました。
そして事象の水平線を超えると、光や時間すら存在しない異空間。
亀が鳴きました。水底<みなそこ>の小さな穴。
その穴は黄泉へと繋がる入り口。
兎を追いかけ穴に入る「不思議の国のアリス」を彷彿とさせます。
絵本の冒頭といった感、と殿様。

すばらしい読みですね。
亀が鳴く。この季語から発想をどう飛ばすのか?
その模範解答のような句だと思いました。(遅足)

  水底の浄土見にゆく鳰  堀正男

  亀鳴くや黄泉は何処と問はれたる  池田栄子

  曼珠沙華黄泉のとば口此処にあり  高澤良一

  かの蛍黄泉を往き来の舞ひぐあひ  橋本榮治

黄泉の国は案外、身近なところにあるようですね。


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ブライクコ&レイコ  名古屋城編   麗

2019年04月04日 | Weblog

花冷えのさむーい昨日。郁子さんとブラリ名古屋城へ。まず、市役所駅前で待ち合わせ。金シャチ横町宗春ゾーンで腹ごしらえ。名古屋に来て33年目。初めて名古屋名物「あんかけスパ」を食べました。これですっかり名古屋人です。

東門から二の丸庭園へ歩き、名古屋城本丸御殿へ。約10年かけて去年6月すべての復元工事が終わりました。今回初めてお披露目されたのは、将軍専用のお風呂だった湯殿書院と寝室だった黒木書院。実はこの新しいゾーン。今は30分ごとの定員制になっており毎回、15名の整理券が配布されての入場になります。この写真が入り口です。

(本丸御殿の入り口とは違い、名古屋城西南隅櫓の近くが入り口になりますのでご注意下さい。)

整理券をもらってから重要文化財の名古屋城西南隅櫓にも初めて入りました。急な階段をのぼって三階まで。風が強く長居はできませんが、なかなかの眺めです。

そして、いよいよ湯殿へ。湯船はなくサウナ式の蒸し風呂ですが、総檜作りです。

黒木書院は檜ではなく松を使っているので柱の色が少し黒いのです。そのため黒木書院と呼ばれる落ち着いたお部屋です。

桜はまだ満開ではありませんでしたが、お城の城壁に桜はやはりよく似合います。

二の丸庭園の茶室でお抹茶とお菓子を頂き、そのあとすみさんに会いに行きました。なかなか句会に来られないすみさんですが、相変わらず優しくお元気そうでした。寒かったけど心は暖かい一日となりました。

           桜咲くぶらり句友に会いに行く  麗

 

 

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石庭に心乱れて亀鳴きぬ  狗子

2019年04月03日 | Weblog

句を禅の公案と捉えました。
美への造詣が深く優美な心がある。
しかし禅ではものへのこだわりや人への執着がある
として否定します。
この逆に美に興味がなく他人への情けもない。
しかし禅では物事にとらわれないと肯定します。
これは公案の矛盾を考え尽くすことで悟りを得ようとする
看話禅という修行。
作者は石庭を眺め心乱れています。
答えは得られたのでしょうか、と殿様。

人間とはめんどくさい存在ですね。巨大な脳細胞のせいでしょうか?
座禅は脳の働きをコントロールする修業かもしれませんね。(遅足)


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満開のなかに「令和」の蕾あり   遅足

2019年04月02日 | Weblog

新元号が決められました。

「令和」です。

私の印象は「令」は命ずる。 「和」は和を以て貴しとなす、でした。

「令夫人の令」という安倍さんの説明とは違いました。

 辞書をひくと「神の前に跪く」という姿から生まれた文字。

もともとは命令という意味。 そこから美しいという意味が派生したようです。

 

蕾がどんな花になるかは国民次第。

10年後にはどんな時代になっているのでしょうか・・・ 見届けたいものです。

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春寒や回り舞台を押す奈落  等

2019年04月01日 | Weblog

場の設定がいいと思います。
奈落というと、底辺を連想、明るい表現ではないですね。
それと春の持つ先への明るさとの対比を買いました。と、結宇さん。

今日、新元号が発表されます。
官房長官の発表のあと、総理の説明があるそうです。
テレビで中継される場面が表舞台とすれば裏もあります。
しかも代替わりと言う回り舞台ですから舞台を回す奈落も。
そんなことも連想させる句。
普通は奈落に光が当てられることはありません。
本番の舞台が台無しになってしまうからです。
でも新元号決定という政治劇。
舞台裏も奈落もみてみたいです。遅足

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