![]() | 必笑小咄のテクニック (集英社新書)米原 万里集英社このアイテムの詳細を見る |
【一口紹介】
◆出版社 / 著者からの内容紹介◆
不愉快な事も途端に楽しいやりとりに化学変化!
日本人離れしたユーモアセンスの持ち主である著者が、世間全般の笑いの法則を追究・分類し、豊富な例をあげて解説。
短くて人を笑わせる話の創り方を覚えて、窮地に立ったときこそ笑いで逆転!
◆内容(「BOOK」データベースより)◆
短くて人を笑わせる話―単にネタを暗記するのではなく、笑いの構造を理解すれば、臨機応変・自由自在に小咄を創り出せる。
本書では、日本人離れしたユーモアセンスの持ち主である著者が、世間に流布する笑いの法則を突き止めて分類し、自作も含めて豊富な例をあげながら、笑いの本質に迫る。
詐欺にも似た、相手を錯覚させる方法、同じ内容の順番を変えるだけで悲劇が喜劇になる方法、マクロとミクロを反転させる方法など、思いがけないオチをつけるテクニックをマスターして、窮地に立ったときこそ、周囲に笑いを呼び込もう。
◆内容(「MARC」データベースより)◆
日本人離れしたユーモアセンスの持ち主である著者が、世間に流布する笑いの法則を突き止めて分類し、自作も含めて豊富な例をあげながら、笑いの本質に迫る。この一冊で、ユーモアとジョークの達人になる!
◆著者◆
1950年東京生まれ。作家、エッセイスト。少女時代プラハのソビエト学校で学ぶ。ロシア語会議通訳として多方面で活躍。著書に『不実な美女か貞淑な醜女(ブス)か』(新潮文庫、読売文学賞)『魔女の1ダース』(新潮文庫、講談社エッセイ賞)『オリガ・モリソヴナの反語法』(集英社文庫、Bunkamuraドゥマゴ文学賞)など多数。
生前最後の著作は、『必笑小咄のテクニック』(2005年)。
卵巣癌を患い、除去したが1年4ヶ月で再発。2006年5月25日に鎌倉の自宅で死去したことが、5月29日に報道されて明らかになった。享年56。
【読んだ理由】
米原 万里さんの作品。
【印象に残った一行】
とある婦人が美容整形外科医に訴える。
「先生、四十過ぎましたら、とたんにシワが目立つようになって。鏡を見るのが辛くて悲しくて」
「では、最新シワ取り術を施しましょう。美容外科の最先端の方法では。メスで顔を傷つけたりしません。再手術の必要もないんです。頭のてっぺんにネジを取り付けます。あっ、ご心配なく。髪の毛で巧く隠しますから他人には分かりません。ネジを巻くと皮膚が引っ張られてシワが伸びるという寸法です。シワが増えるたびにネジを締め上げればシワは消えます」
ネジを取り付けてもらい、上機嫌で婦人は帰っていった。一週間後、婦人がまたやって来た。
「先生、大満足ですわ。皮膚はまるであかちゃんみたいにすべすべになりました。ただ一つだけ気になることが。目の下に大きな袋が出来てしまって。どうしましょう」
「奥さん、ネジの巻きすぎですよ。そりゃ袋じゃなくて、奥さんの乳房です。その調子でネジを巻いていくと、もうすぐ顎鬚が現れますよ」
愛らしい天使が天国の門を叩いた。
「入ってもよろしいかしら」
聖ペテロが尋ねる。
「未婚ということは、処女なんだろうね?」
「もちろんです」
と乙女は長い睫毛を伏せて消え入るような声で答え、ポッと頬を染めた。すぐさま聖ペテロに呼ばれ飛んできた係りの天使は、乙女に衣服を脱いで雲の上に横たわるよう指示した。診察後、天使はかすかにはにかみながら報告した。
「処女膜に微細な穴が七つありましたが・・・・」
「気にするものではなさそうだな。入国を認めよう」
という聖ペテロのお墨付きが得られたので、乙女は門をくぐり、登録カウンター受付の天使に名を尋ねられて答えた。
「白雪姫と言います」
【コメント】
米原 万里さんの最後の作品が本書とは知らなかった。
また彼女このような小咄に造詣が深いことも知らなかった。
多方面才能豊かな彼女の夭逝がいまさらながらに悔やまれる。
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