日本男道記

ある日本男子の生き様

笠碁

2008年06月01日 | 私の好きな落語
【まくら】
今は雨具と言えば傘ぐらいで、雨ゴートもあまり着なくなったし、長靴もはかなくなった。しかし江戸時代では雨具がずいぶん充実している。なかでも蓑や笠は優れものだった。植物は水を吸うと膨張し、乾燥すると縮む。蓑や笠はそのような性質を利用した雨具であった。そのうえ蓑は、雨が草に沿って下に垂れるのでしみこむこともなく雨を防いだ。笠は、雨具にも日よけにも使うことができた。両手があくので旅人はたいてい笠である。平らなものから顔が隠れるほどのものまで、笠にはさまざまな種類があった。雨天の履き物には草鞋や下駄がある。草鞋は濡れると弱くはなるが、安価でしょっちゅう交換できた。草鞋を捨てる時は、旅先であれば宿場の決まった場所に捨てた。肥料や燃料になったのである。また都会では高下駄を履いた。雪や雨のときに裾が濡れないで便利である。

出典:TBS落語研究会

【あらすじ】
囲碁・将棋というのは、娯楽の少なかった時分には、大変人気のあった遊びでございまして、夏の夕暮れともなると縁台なんか持ち出して、近所の連中が集まってきては、パチリ、パチリとやっていたのだそうです。
 この碁や将棋というのは、相手の打った手が、いい手だったりすると、思わず「待った」なんて声が出る訳で、「いいや、待たない」「そこをなんとか」と、これが元で、10年来の友人が、たった1日でケンカ別れなんてことになるわけで、負けん気の強い江戸の庶民にとっては罪つくりな遊びでした。

「ちょっと、その手を待っておくれ」
「なに言ってんです。待ったなしと決めたのは、あなたじゃないですか」
「いやまぁ、確かに決めたんだけど……これは、ちょっと困る」
「困ると言いますけれど、碁というのは、一方が良くなって、片方が困るところで勝敗がつくものですから」
「そんな理屈を言うことないだろ。もういいよ、お前がそんなに頑固者だとは思わなかった。帰っとくれ」
「あぁ、帰るよ。こちとら、忙しいんだ。ヘボを相手にしてる暇はないんだ」
「ヘボとはなんだ。もう二度と来るな」

 なんて騒ぎは日常茶飯事でして、それじゃあ、この2人がこれっきり会わないかというとそうでもない。「碁がたきは憎さも憎し懐かしし」なんて言いまして、雨が2日も続くと、2人ともたまらない。

「よく降るなぁ。こう降ると、することがなくて、いやになっちゃうね。こういう時にあいつが来ればいいんだけれど……ふふ、ふふふ。来た、来ましたよ。被り笠なんか被って、来た来た。おい、早く湯を沸かしな。座布団も出すんだよ。もうこっちのもんだ。来た来た……行っちまいやがった。イヤな野郎だなぁ。他に行くとこなんかないだろうに。あ、戻ってきた。やっぱりここに来たんだなぁ。強情な野郎だ。わざとむこうを向いて歩いていやがる。こっちを見ないか。また通り過ぎやがった。電柱の陰に隠れて、こっち見てるよ。馬鹿だなぁ。強情はってないで、さっさとこっちに来ればいいのに。やいやい、ヘボ、ヘボやい」
「なにを? ヘボだと。どっちがヘボだ。お前さんの方がよっぽどヘボじゃないか」
「俺がヘボだ? ようしどっちがヘボか、勝負しようじゃないか」

 こんな具合に再び勝負が始まります。

 落ちは、どうも碁盤の上に水が滴れてくるので、どこか漏れてるんじゃないかと、ひょいと顔を上げると、相手が被り笠をしたまま、碁に夢中になっているというもの。

出典:古典落語5 金馬・小圓朝集 (ちくま文庫)

【オチ・サゲ】
途端落ち(最後の一言で結末のつくもの)

【噺の中の川柳・譬(たとえ)】
『碁がたきは憎さも憎し懐かしし』
『禍も三年経てば役に立つ』

【語句豆辞典】
【根岸の隠居】江戸時代から明治の初期にかけての根岸は、俗に「根岸の里」、時には「呉竹の根岸の里」などと雅称され、閑静な場所であった。都心からもあまり遠くなく、静かな割には便利も良かったので、江戸中期以降は、日本橋・京橋・神田辺りの大店の隠居が余生を送るのに恰好の地であるとして、隠居所を建てるものが多かった。

【この噺を得意とした落語家】
・立川談志
・八代目 三笑亭可楽
・五代目 柳家小さん
・十代目 金原亭馬生

【落語豆知識】
【サラ】一番初めの出番のこと。

 




Daily Vocabulary(2008/06/01)

2008年06月01日 | Daily Vocabulary
5781.best fit(最良適合、適合度)
Which one will give you the best fit?
5782.expertize(専門的意見を述べる、専門的判断を下す)
Communication skills are equally as important as technical expertize.
5783.come in handy(役に立つ、役立つ、重宝する)
I knew this book would come in handy someday.
5784.multinational company(多国籍企業)
The company was sold to a multinational company.
5785.verbal communication(言語コミュニケーション)
Mobile phones are not used merely for verbal communication.
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