日本男道記

ある日本男子の生き様

風呂敷

2008年06月08日 | 私の好きな落語
【まくら】
『風呂敷』は生粋の江戸艶話で、上方にも伝えられた古い咄だ。もともとは亭主持ちの女が、亭主の留守に間男を家に引っ張り込んでいるという設定である。さあこれからという時に亭主が戻り、何とか風呂敷を使って間男を逃がすという咄だ。ところが明治維新になって姦通罪が制定され、書物から芸能にいたるまで検閲を受けることになる。亭主持ちの女が間男を家に引っ張り込むなどは、もってのほかという訳である。そこで以降、間男は登場せず、この女は知人の男に会って、話をするために家に入れる。嫉妬深い亭主の誤解を受けないために風呂敷を使って男を逃がす。という具合に脚色されたのである。戦後になって姦通罪が廃止され検閲もなくなったが、脚色された咄のほうが伝えられてきたようだ。昼夜問わず不倫が横行している昨今、襟を正したくなるような歴史である。

出典:TBS落語研究会

【あらすじ】
ある日、亭主の熊五郎の留守中にお崎の幼馴染の半七が遊びに来る。

二人で語り合っていると、路地のどぶ板で足音が…。

戸をとんとんたたいて「おい、今けえった」

こんなところを嫉妬深い亭主に見られたら、『不倫』と勘違いされて殺されかねない。
如何しよう…と悩んだ挙句、半七を戸棚に押し込んで隠すことに。

どうせ亭主は酔っぱらっているだろうから、うまく寝かせてその隙に逃がそうという算段だ。
ところが、入ってきた熊五郎は問題の戸棚の前に寝そべると、そのまま大いびきで寝込んでしまった。

これでは戸を開けられない。かみさんが困っていると、そこへ鳶頭の政五郎がやってくる。
「助かった!」、そう思ったお崎さんは鳶頭に相談。鳶頭も快く後処理を引き受けた。
隣の家から風呂敷を借りてくると、お崎さんを外出させてから熊をゆさぶり起こす。

「あぁ、鳶頭。お崎は如何しました?」
「買い物に行ったよ。ところで、面白い話があるんだが…聞くかい?」
「へぇ」
「今日、友達の家に行ったらな、おかしな話があったんだよ。そこのかみさんが留守番をしていると、そこへ幼馴染が遊びに来た。乱暴者の亭主の手前、追い返そうとしたかみさんだが、結局男を家に入れた」
「悪いアマだ!! 俺が亭主だったら張り倒してやりますよ」
「そうか。マァ、その幼馴染と語り合っていると、亭主が不意に帰ってきたと思え。で、そのカカアがあわ食って、戸棚に男を隠しちまった」
「へえー」
「すると、亭主が酔っぱらって、その戸棚の前に寝ちまった」
「そりゃ、困ったろうなぁ」
「そこで、オレがかみさんに頼まれて、そいつを逃がしてやったんだ」
「どうやったんです?」
「よく聞け! 寝ころんでたやつを、首に手をこうかけて起こして」
「ふんふん」
「余所見をされちゃいけないから、脇から風呂敷を持ってきて亭主の顔へこう巻き付けて…。何か見えるか?」
「いいえ」
「そこでな、俺は戸をこういう塩梅にガラリと開けた」
「なるほど」

開け放たれた戸棚から、ヘニャヘニャになった半七が出てきて鳶頭に平身低頭。

「拝んでねえで逃げろ、と目で合図をして…下駄なんかを忘れるなと声をかける」
「へぇ」
「そいつが影も形もなくなったら、戸を閉めて、それから亭主にかぶせた風呂敷を、こうやって」

とぱっと取ると、熊が膝をポンとたたいて

「なあるほど、こいつはいい工夫だ」

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

【オチ・サゲ】
間抜け落ち(会話の調子で間抜けなことを言って終わるもの。また奇想天外な結果となるもの。)

【噺の中の川柳・譬(たとえ)】
『名月や畳の上に松の影』
『貞女両夫にまみえず』

【語句豆辞典】
【女三界に家なし】江戸時代、女は若いときは父に、嫁しては夫に、老いては子に従うものであるから三界(世の中のこと。但し、本来の意義は仏説の欲界・色界・無色界の三つの世界)に決まった家は」ないということ。

【間男】間男とは結婚し、夫のある女性が他の男性と肉体関係など男女の関係をもつこと。また、そういった男性をいう。さらに先のような形以外でも、男女が密かに持つ関係を間男という。こういった関係や男性を間男と呼ぶ理由は諸説あるが、「夫婦の間に入ってくる男性」からきたとする説が浸透している。また、読みは「まおとこ」以外に「まお」とも読む。

【この噺を得意とした落語家】
・五代目 古今亭志ん生
・十代目 金原亭馬生

【落語豆知識】
【鹿芝居】噺家が歌舞伎芝居などを洒落に演ずるもの。噺家芝居に花鹿芝居という字をあて、その略。

落語・古今亭志ん朝「風呂敷」(2/2)



 




Daily Vocabulary(2008/06/08)

2008年06月08日 | Daily Vocabulary
5816.be bound to(~しなければならない、~する運命にある)
After signing the contract, he was bound to fulfill its conditions.
5817.hit one's head on(頭をぶつける)
I hit my head on something hard.
5818.preclude(不可能にする、妨ぐ、邪魔する)
A peace settlement was precluded by more violence.
5819.conquer(克服する)
Kindness is the noblest weapon to conquer with.
5820.enthusiast(熱心な人、熱中している人)
He is a model airplane enthusiast.
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