【原文】
或曰、雍也、仁而不佞、子曰、焉用佞、禦人以口給、屡憎於人、不知其仁也、焉用佞也、
【読み下し】
或るひとの曰わく、雍や、仁にして佞(ねい)ならず。子の曰わく、焉(いずく)んぞ佞を用いん。人に禦(あた)るに口給(こうきゅう)を以てすれば、屡々(しばしば)人に憎まる。其の仁を知らず、焉んぞ佞を用いん。
【通釈】
或る人が「雍は、仁だが弁が立たない[惜しいことだ]。」といったので、先生はいわれた、「どうして弁の立つ必要があろう。口先の機転で人をおしとめているのでは、人から憎まれがちなものだ。彼が仁かどうかは分からないが、どうして弁の立つ必要があろう」
【English】
Some one said, "Yung is truly virtuous, but he is not ready with his tongue."
The Master said, "What is the good of being ready with the tongue? They who encounter men with smartness of speech for the most part procure themselves hatred. I know not whether he be truly virtuous, but why should he show readiness of the tongue?"
『論語』とは、読んで字の如く「論じ語る」、孔子と弟子達や要人達との間に交された対話録。
『論語』は私たちの生き方の原点を見つめた思索の宝庫であり、人間性を磨く叡智が凝縮した永遠の古典。
読めば読むほど胸に深く沁み込む簡潔な言葉の数々。
『孟子』『大学』『中庸』と併せて儒教における「四書」の一つに数えられる。
全20編(学而第一~堯曰第二十) 構成され、編の名称は各編の最初の二文字を採ったものであり内容上の意味はない。
したがって、学而第一から順に読む必要はなくどこから読んでもかまわない。