
【原文】
逹巷黨人曰、大哉孔子、博學而無所成名、子聞之、謂門弟子曰、吾何執、執御乎、執射乎、吾執御矣。
【書き下し文】
達巷党(たつこうとう)の人曰わく、大なるかな孔子、博く学びて名を成す所なし。
子これを聞き、門弟子(もんていし)に謂(い)いて曰わく、吾(われ)は何を執(と)らんか、御(ぎょ)を執らんか、射(しゃ)を執らんか。吾は御を執らん
【通釈】
達巷党(たつこうとう)という村から来た人が言いました、
「孔子は何て偉大なんだろう。幅広く学問を学んで一つの分野の専門家とはならない。」
これを聞いた孔子は弟子達におっしゃいました、
「それじゃあ馬車の操縦と弓術、どちらの専門家になろうか?私は馬車の操縦の方が好みだな。」
【English】
A man from Da Xiang Tang said, "How great Confucius is! He studies extensively and does not become a specialist of one field."
Confucius heard this and said to pupils, "Then, which fields should I take, driving a carriage or archery? I prefer driving a carriage."
『論語』とは
読んで字の如く「論じ語る」、孔子と弟子達や要人達との間に交された対話録。
『論語』は私たちの生き方の原点を見つめた思索の宝庫であり、人間性を磨く叡智が凝縮した永遠の古典。
読めば読むほど胸に深く沁み込む簡潔な言葉の数々。
『孟子』『大学』『中庸』と併せて儒教における「四書」の一つに数えられる。
全20編(学而第一~堯曰第二十) 構成され、編の名称は各編の最初の二文字を採ったものであり内容上の意味はない。
したがって、学而第一から順に読む必要はなくどこから読んでもかまわない。