日本男道記

ある日本男子の生き様

徒然草 第二十二段

2019年11月19日 | 徒然草を読む


【原文】
 何事も、古き世のみぞ慕したはしき。今様いまようは、無下むげにいやしくこそなりゆくめれ。かの木の道の匠たくみの造れる、うつくしき器物うつはも、古代の姿こそをかしと見ゆれ。

 文ふみの詞ことばなどぞ、昔の反古ほうごどもはいみじき。たゞ言ふ言葉も、口をしうこそなりもてゆくなれ。古は、「車もたげよ」、「火かゝげよ」とこそ言ひしを、今様の人は、「もてあげよ」、「かきあげよ」と言ふ。「主殿寮とのもれう、人数にんじゆだて」と言ふべきを、「たちあかし、しろくせよ」と言ひ、最勝講さいしようこうの御聴聞所みちやうもんじよなるをば「御講ごこうの廬ろ」とこそ言ふを、「講廬かうろ」と言ふ。口くちをしとぞ、古き人は仰おほせられし。

【現代語訳】
 何を考えるにしても、古き良き時代への憧れは募るばかりだ。最先端の流行は見窄みすぼらしく、野暮ったい。たんす職人の名工がつくった道具なども、伝統的なほうが存在感がある。
 昔に書かれた手紙は、たとえチリ紙交換に出す物でも素晴らしい。日常生活で使う言葉なども、退化してしまったみたいだ。昔は「車を発車させてください」とか「電気をつけてください」と言っていたのに、最近では「発車!」とか「点灯!」などと言っている。照明係に「立ち上がり整列して灯りをともせ」と言えばよいものを「立ち上がって明るくしろ」と言うようになったり、世界平和を祈る儀式の特設会場に作った「大会委員本部席」を「本部」と略すようになったのは「誠に遺憾である」と頑固で古風な老人が言っていた。

◆鎌倉末期の随筆。吉田兼好著。上下2巻,244段からなる。1317年(文保1)から1331年(元弘1)の間に成立したか。その間,幾つかのまとまった段が少しずつ執筆され,それが編集されて現在見るような形態になったと考えられる。それらを通じて一貫した筋はなく,連歌的ともいうべき配列方法がとられている。形式は《枕草子》を模倣しているが,内容は,作者の見聞談,感想,実用知識,有職の心得など多彩であり,仏教の厭世思想を根底にもち,人生論的色彩を濃くしている。

Daily Vocabulary(2019/11/19)

2019年11月19日 | Daily Vocabulary
24356.stuffed(お腹がパンパン)full⇒stuffed
SI'm stuffed...I have no room for dessert.
24357.packed(ぎゅうぎゅう)crowded⇒packed
The train in the morning are always packed.
24358.empty(空の)not crowded⇒empty
Because of the rain,the stadium was empty.
24359.soaked(びしょびしょ) wet⇒soaked
You are soakedwhat happened.
24360.sparkling clean(ピカピカ)  clean⇒sparkling clean
Three hours later the little flat was sparkling clean.

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