日本男道記

ある日本男子の生き様

徒然草 第二十三段

2019年11月26日 | 徒然草を読む


【原文】
  衰へたる末の世とはいへど、なほ、九重の神さびたる有様こそ、世づかず、めでたきものなれ。

 露台・朝餉・何殿・何門などは、いみじとも聞ゆべし。あやしの所にもありぬべき小蔀・小板敷・高遣戸なども、めでたくこそ聞こゆれ。「陣に夜の設せよ」と言ふこそいみじけれ。夜御殿のをば、「かいともしとうよ」など言ふ、まためでたし。上卿の、陣にてま事行へるさまはさらなり、諸司の下人どもの、したり顔に馴れたるも、をかし。さばかり寒き夜もすがら、こゝ・かしこに睡り居たるこそをかしけれ。「内侍所の御鈴の音は、めでたく、優なるものなり」とぞ、徳大寺太政大臣は仰せられける。

【現代語訳】
 「やんぬるかな。世も末です」と、人は言うけれど、昔から受け継がれている宮中の行事は、浮世離れしていて、クラクラするほど煌びやかだ。

 板張りを「露台」と呼んだり、天皇がおやつを食べる間を「朝餉」と言ったり、「なんとか殿」とか「かんとか門」などと曰くありげに名付けられていると、特別な感じがする。建て売り住宅によくありそうな小窓、板の間、扉ななども、皇居では眩しく輝いている。警備員が「夜勤の者、それぞれの受け持ちに灯りをつけなさい」と言えば、敬虔な気持ちにさえなってしまう。ましてや、天皇のベッドメイキングの際に「間接照明を早く灯せ」などと言うのは、格別である。隊長が司令部から指示を出す際は当たり前だが、実行部隊が神妙な顔をして、それらしく振る舞っているのも面白い。眠れないほど寒い夜なのに、あちこちで居眠りをしている人がいるのも、気になる。そう言えば「女官が温明殿に天皇が来たことを知らせる鈴の音は優雅に響き渡る」と、藤原公孝が言っていた。 

◆鎌倉末期の随筆。吉田兼好著。上下2巻,244段からなる。1317年(文保1)から1331年(元弘1)の間に成立したか。その間,幾つかのまとまった段が少しずつ執筆され,それが編集されて現在見るような形態になったと考えられる。それらを通じて一貫した筋はなく,連歌的ともいうべき配列方法がとられている。形式は《枕草子》を模倣しているが,内容は,作者の見聞談,感想,実用知識,有職の心得など多彩であり,仏教の厭世思想を根底にもち,人生論的色彩を濃くしている。

Daily Vocabulary(2019/11/26)

2019年11月26日 | Daily Vocabulary
24391.work history(職歴)
She has a solid work history and is very smart.
24392.intelligent(知的な) an intelligent person has a high level of mental ability and is good at understanding ideas and thinking clearly
He 's super intelligent and has had an impressive career up to now.
24393.It doesn't hurt to (〜しても損はない / 〜してみたら )
It won't hurt to try. That's the only way you'll find out. .
24394.hurt someone's feelings (人の気持ちを傷つける )  
 I'm sorry if I hurt your feelings. I didn't mean it.
24395.hurt one's chance to/of (~するチャンスを駄目にする )  
You failed one of your classes? That's going to hurt your chances to study abroad.

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