【内容紹介】
読売新聞連載で感動の声、続出。
累計100万部突破「笑い」の『一路』に続く、「涙」の道中物語。
万延元年(1860年)。姦通の罪を犯したという旗本・青山玄蕃に、奉行所は青山家の所領安堵と引き替えに切腹を言い渡す。
だがこの男の答えは一つ。
「痛えからいやだ」。
玄蕃には蝦夷松前藩への流罪判決が下り、押送人に選ばれた一九歳の見習与力・石川乙次郎とともに、奥州街道を北へと歩む。
口も態度も悪いろくでなしの玄蕃だが、道中で行き会う抜き差しならぬ事情を抱えた人々は、その優しさに満ちた機転に救われてゆく。
この男、一体何者なのか。そして男が犯した本当の罪とは?
累計100万部突破「笑い」の『一路』に続く、「涙」の道中物語。
万延元年(1860年)。姦通の罪を犯したという旗本・青山玄蕃に、奉行所は青山家の所領安堵と引き替えに切腹を言い渡す。
だがこの男の答えは一つ。
「痛えからいやだ」。
玄蕃には蝦夷松前藩への流罪判決が下り、押送人に選ばれた一九歳の見習与力・石川乙次郎とともに、奥州街道を北へと歩む。
口も態度も悪いろくでなしの玄蕃だが、道中で行き会う抜き差しならぬ事情を抱えた人々は、その優しさに満ちた機転に救われてゆく。
この男、一体何者なのか。そして男が犯した本当の罪とは?
【読んだ理由】
久しぶりの浅田次郎作品。
久しぶりの浅田次郎作品。
【最も印象に残った一行】
貧乏は人を駄目にする。しかも僕らの貧乏は、二百幾十年も積もり嵩んだ借金を、背負いながらの貧乏だった。この宿命から抜け出るには、それこそ千両の富籤を突き当てるほどの強運が必要だった。なまじいの努力など、何の役にも立たないのだ。
さて、どうでしょう。自分のことはわからぬものです。
どれほど目を凝らそうと、世の中にはひとりだけ見えぬ顔がある。自分自死の顔ですね。鏡に映したところで右と左が逆様だじゃら、けっして正体ではない。
どれほど耳を欹てようと、世の中にひとつだけ聴こえぬ声がある。自分自身の声ですね。それは耳が捉えるのではなく骨に響いて伝わる音だから、じつは他人が聴く声とはまるでちがう。
それらと同じ理屈で、どれほど心静かに考えようと、自分の気性などわかるはずはない。
【コメント】
久しぶりの浅田次郎作品。楽しませてもらいました。