日本男道記

ある日本男子の生き様

徒然草 第百二十三段

2021年10月26日 | 徒然草を読む


【原文】  
無益のことをなして時を移すを、愚かなる人とも、僻事する人とも言ふべし。国のため、君のために、止むことを得ずして為すべき事多し。その余りの暇、幾ならず。思ふべし、人の身に止むことを得ずして営む所、第一に食ふ物、第二に着る物、第三に居る所なり。人間の大事、この三つには過ぎず。饑ず、寒からず、風雨に侵れずして、閑に過すを楽びとす。たゞし、人皆病あり。病に冒れぬれば、その愁忍び難し。医療を忘るべからず。薬を加へて、四つの事、求め得ざるを貧しとす。この四つ、欠けざるを富めりとす。この四つの外を求め営むを奢りとす。四つの事倹約ならば、誰の人か足たらずとせん。

【現代語訳】  
無駄な時間を過ごすのは、馬鹿者とか勘違い人間と言うに値する。国のため、経営者のためと、やりたくない事をやる羽目になる時は結構ある。その結果として、自分の時間は情けないほど少なくなる。よく考えてみれば、人として生きていくために必要な事と言えば、一つ目は、食べ物、二つ目は、衣服、三つ目に住居ぐらいである。世間で大切と思われている事は、この三つ以外クソと同じだ。餓死せず、凍死せず、雨風しのいで、静かに過ごせるならそれで良いではないか。しかし、人間は誰でも病気になる。病に冒されると苦しくて仕方がない。そこで医療も忘れるわけにはいかない。衣食住に薬を加えて、四つのことがままならないのを貧乏という。四つが何とかなれば裕福という。四つ以外の物欲を満たすのを強欲という。この四つ、爪に火を灯して生きていけば、誰だって「満たされない」などと思うだろうか?

◆鎌倉末期の随筆。吉田兼好著。上下2巻,244段からなる。1317年(文保1)から1331年(元弘1)の間に成立したか。その間,幾つかのまとまった段が少しずつ執筆され,それが編集されて現在見るような形態になったと考えられる。それらを通じて一貫した筋はなく,連歌的ともいうべき配列方法がとられている。形式は《枕草子》を模倣しているが,内容は,作者の見聞談,感想,実用知識,有職の心得など多彩であり,仏教の厭世思想を根底にもち,人生論的色彩を濃くしている。

Daily Vocabulary(2021/10/26)

2021年10月26日 | Daily Vocabulary
27661.real life experience(実体験)
You can get real life experience.
27662.regroup(気を取り直す)American English to stop and think about something, so that you can start to do something again in a better way
She’ll be fine. Let’s just give her some time to regroup
27663.cover all the bases(万全の準備) to make sure you can deal with any situation or problem so that nothing bad happens
This is a very serious issue. Make sure we cover all the bases
27664.broaden one’s horizon(視野を広げる)
Living in a foreign country is a lot of fun and it broadens your horizon
27665.snobby(横柄な )behaving in a way that shows you think you are better than other people because you are from a higher social class or know more than they do
He’s such a snob. He thinks he’s better than everyone.