日本男道記

ある日本男子の生き様

徒然草 第百二十二段

2021年10月19日 | 徒然草を読む


【原文】  
人の才能は、文明らかにして、聖の教を知れるを第一とす。次には、手書く事、むねとする事はなくとも、これを習ふべし。学問に便あらんためなり。次に、医術を習ふべし。身を養ひ、人を助け、忠孝の務も、医にあらずはあるべからず。次に、弓射、馬に乗る事、六芸に出だせり。必ずこれをうかゞふべし。文・武・医の道、まことに、欠けてはあるべからず。これを学ばんをば、いたづらなる人といふ道、まことに、欠けてはあるべからず。これを学ばんをば、いたづらなる人といふべからず。次に、食は、人の天なり。よく味を調へ知れる人、大きなる徳とすべし。次に細工、万に要多し。
この外の事ども、多能は君子の恥づる処なり。詩歌に巧みに、糸竹に妙なるは幽玄の道、君臣これを重くすといへども、今の世には、これをもちて世を治むる事、漸くおろかになるに似たり。金はすぐれたれども、鉄の益多きに及かざるが如し。

【現代語訳】  
人の能力は、多くの書物を吸収し儒教の教えを熟知するのが第一である。次は書道で、プロを目指すわけでなくとも習っておいた方が良い。いずれ勉強の役に立つ。その次は医療だ。自身の健康管理だけでなく、人命を救い、人に尽くすのは、医療の他にない。その次は、武士の六つの心得にもある射的と乗馬だ。この三つの分野は、何が何でも習得しておく必要がある。学問と武道、そして医療は三つ巴であり、どれ一つとして欠落してはならない。この道を究める人を「意味のないことをする人だ」と馬鹿にする者は、馬鹿でしかない。その次に料理があるが、生命にとって太陽と同じくらい重要である。料理が上手な人は、偉大な才能を授けられたと思って良い。次に日曜大工があるが、いざという時に役立つ。
この他にも様々な能力があるが、何でもこなす超人というのは恥ずべき存在でしかない。素晴らしき詩の世界や、音楽の超絶技巧などを知識人達がシリアスに考えがちだが、今どきアートの力で世界征服をするのは不可能に近い。純金はピカピカと光るだけで、鉄の利用価値に及ばないのと一緒である。

◆鎌倉末期の随筆。吉田兼好著。上下2巻,244段からなる。1317年(文保1)から1331年(元弘1)の間に成立したか。その間,幾つかのまとまった段が少しずつ執筆され,それが編集されて現在見るような形態になったと考えられる。それらを通じて一貫した筋はなく,連歌的ともいうべき配列方法がとられている。形式は《枕草子》を模倣しているが,内容は,作者の見聞談,感想,実用知識,有職の心得など多彩であり,仏教の厭世思想を根底にもち,人生論的色彩を濃くしている。

Daily Vocabulary(2021/10/19)

2021年10月19日 | Daily Vocabulary
27626.on cloud nine(至福の状態)informal to be very happy about something
I'm on cloud nine because I landed my dream job.
27627.in seventh heaven(幸福の絶頂)informal to be extremely happy
I just found out that I'm getting transferred to LA. That was my first choice. I'm in seventh heaven
27628.hands down(努力しないで、わけなく、明白に、明らかに)easily
This was hands down the best bowl of ramen I've ever had. I'm in seventh heaven.  
27629.Improve / Hurt one’s image(イメージアップ・イメージダウン)
The latest scandal hurt that singers image.
27630.a new look(イメージチェンジする・イメチェン)different from before, especially more modern or more attractive
I wanted a new look so I decided to dye my hair.