日本男道記

ある日本男子の生き様

子罕第九の六

2013年09月17日 | 論語を読む

【漢文】
太宰問於子貢曰、夫子聖者與、何其多能也、子貢曰、固天縦之將聖、叉多能也、子聞之曰、太宰知我者乎、吾少也賤、故多能鄙事、君子多乎哉、不多也、

【書き下し文】
太宰(たいさい)、子貢に問いて曰わく、夫子は聖者か。何ぞ其れ多能なる。子貢が曰わく、固(もと)より天縦(てんしょう)の将聖(しょうせい)にして、又た多能なり。子これを聞きて曰わく、太宰、我れを知れる者か。吾れ少(わかく)して賎(いや)し。故に鄙事(ひじ)に多能なり。君子、多ならんや。多ならざるなり。

【通釈】
太宰が子貢に訊ねて言った、「あの方[孔子]は聖人でしょうな。なんとまあ多くのことが出来ますね。」子貢は答えた、「もちろん天の許した大聖であられるし、その上に多くのことがお出来になるのです。」先生はそのことを聞かれると言われた、「太宰は私のことを知る人だね。私は若いときには身分が低かった、だからつまらないことが色々出来るのだ。君子は色々するものだろうか。色々とはしないものだ。[聖人などとは当たらない]」

【English】
A minister asked Zi Gong, "Is Confucius really a saint? He is too versatile as a saint." Zi Gong replied, "Confucius is not only a great saint heaven dispatched, but also versatile." Confucius heard this and said, "The minister knows me well. I was a person of low birth, so I grew up learning various things. should a gentleman be versatile? I don't think so."
『論語』とは
読んで字の如く「論じ語る」、孔子と弟子達や要人達との間に交された対話録。
『論語』は私たちの生き方の原点を見つめた思索の宝庫であり、人間性を磨く叡智が凝縮した永遠の古典。
読めば読むほど胸に深く沁み込む簡潔な言葉の数々。
『孟子』『大学』『中庸』と併せて儒教における「四書」の一つに数えられる。
全20編(学而第一~堯曰第二十) 構成され、編の名称は各編の最初の二文字を採ったものであり内容上の意味はない。
したがって、学而第一から順に読む必要はなくどこから読んでもかまわない。


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