金沢小校庭リンク開場 昨年より2週間遅く
2020年1月21日 6時00分
茅野市金沢小学校の校庭スケートリンク開きが大寒の20日朝、行われた。暖冬の影響で昨年より2週間遅く、全面結氷せず滑走可能区域も半分程度だったが、待ちわびたスケートクラブの子どもたちが元気いっぱい滑りを披露。大人たちは60年以上続く伝統の校庭リンク開場に安どの表情を浮かべた。
同小でリンク作りを担当する金沢体育協会によると、滑走可能区域は山際(西側)の長さ100メートル、幅40メートルで、氷の厚さは10~15センチ。氷を投入して水温を下げながら、先週から製氷作業を本格化。水まきは2度、氷点下5度まで冷え込んだ深夜に行い、安全に滑走できる状態に整えた。
リンク開きには金沢体協や公民館、PTAなどから関係者約40人が集まった。神事で安全を祈願した後、スケートクラブ員が「お願いします」と言ってリンクに飛び出し、氷を蹴る小気味よい音を響かせた。
クラブ長で6年生の鷲尾清龍さん(12)は「体協の皆さんが一生懸命作ってくれたリンク。コーナーを練習して県大会で優勝したい」と抱負を語った。金沢体協の黒澤英治会長(53)は「楽しみに待っているという声を聞いて何とか滑れる状態に持ってきた。リンクを維持するので皆さん滑りに来てほしい」と話した。
金沢体協は最終日を2月2日から8日に延期し、夜間は一般にも開放するという。同地区コミュニティ運営協議会会長で市スケート協会会長の池上泰司さん(68)は「全国、海外で活躍する選手が出ているのはこのリンクのおかげ」と語り、天然リンクを通じたスケート技術の向上と地域の活性化に期待を寄せた。
一方、暖冬の影響で泉野小(茅野市)が校庭リンクでのスケート学習中止の方針を決めた。北山小(同)と原小(原村)も滑走の見通しが立っていないという。
◎母は茅野市の当時玉川村の玉川小学校の校庭で毎冬下駄スケートを履いて楽しんだと話していた。
「大寒」も気温下がらず 御神渡り観察
大寒の御神渡りの観察で空を見上げる八剱神社関係者=20日午前6時35分ごろ、諏訪市豊田の舟渡川河口付近
二十四節気の一つで1年で最も寒い時期と言われる「大寒」の20日、寒気が入らない影響で諏訪の最低気温は平年と比べ7・3度高い1度となり、4月上旬並みの季節外れな陽気となった。毎朝、諏訪湖畔で御神渡り(御渡り)の観察を続け、大寒の冷え込みを期待していた八剱神社(諏訪市小和田)の総代たちは肩を落としていた。
同市豊田の舟渡川河口付近で湖面の状況を観察した宮坂清宮司は「気温が氷点下にすらなっていない。これでは凍らない。本来は氷の厚さや亀裂などを確認する時期なのに」と残念がっていた。
長野地方気象台によると、20日の最高気温も平年より5・7度高い、8・9度で3月中旬並みだった。気象庁によると長野県を含む関東甲信地方では26日からかなり暖かくなると予想している。
こんなに氷がない年は… 諏訪湖の御神渡り
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御神渡りの出現を期待して観察を続ける宮坂宮司(左)や氏子総代たち=19日午前6時47分
2020年1月20日 6時00分
暖冬の影響でいまだに氷が張らない諏訪湖。湖面に張った氷がせり上がる御神渡り(御渡り)の判定と神事をつかさどる八剱神社(諏訪市小和田)が6日から毎朝続ける観察でも今季は薄氷が3回確認されただけだ。長年、冬の諏訪湖の観察を続けている宮坂清宮司(69)は「こんなに氷がない年は珍しい」と少し寂しげ。それでも宮司、総代の顔に諦めの色はない。
大寒までに薄氷3回
二十四節気の一つで一年で最も寒いとされる「大寒」を前にした19日朝も、宮司、総代の観察が行われた。湖面には穏やかな波が立ち、持参した温度計では、午前7時ごろの気温が氷点下2・5度、水温は2・5度。宮坂宮司は「中途半端な冷えだね」と苦笑いを浮かべた。「大寒」を境に季節は春へと向かい始める。ただ、直近で御神渡りが出現した2018年は2月に入ってから確認され、2月5日に拝観式を行っている。同宮司は「大寒を過ぎて一気に冷え込むこともあった。(御神渡りの)出現を期待し、祈ろう」。宮坂平馬大総代(66)は「水温が下がってきた。結氷に向けて状況は良くなってきた」と語った。
諦めるのはまだ早い
朝の観察が始まった6日は参加者が小刻みに震える寒さだった。「これから大寒に向けて気温が下がれば御神渡りができる」と前向きだった。ところが、8日の諏訪の気温は3月下旬~4月上旬の陽気となり、朝は雨が降った。傘をさしての水温測定に総代らの表情も曇った。
だが、17日には再び冷え込み、3回目の薄氷発見。「今にも消えそうだけど氷が張った」などと喜びの声が上がった。「諦めるのはまだ早い」
長野地方気象台によると、諏訪の気温は観察初日に今季最低の氷点下6・1度を記録したが、8、9、10日は最低気温が氷点下にすらならなかった。16、17日は氷点下4度台を記録したが平年を上回った。日本気象協会長野支店によると暖冬は、昨年に比べて偏西風の位置が北に偏っているのが原因という。偏西風の影響で今後も寒気が入りにくく、気温は昨年を上回る見通しだ。
氷点下10度が一つの目安
神様の恋路と言い伝えられ、全国から注目を集める御神渡りは昭和の終わりから、御神渡りができない「明けの海」が増えている。過去10年で御神渡りができたのは3回のみ。それでも一昨年は2月2日に御神渡りができた。氷がせり上がるには湖面が全面結氷し、氷点下10度近くまで冷え込む日が2、3日ほど続くのが一つの目安になるという。観察総代の笠原清一さん(62)は「暖冬でまだ氷が張っていないが、全面結氷するくらい冷え込んでほしい」、藤森雅史さん(62)は「観察総代として御神渡りを記録したい。氷点下10度まで冷えてくれれば」と期待している。
◎八剱神社がある小和田の氏子の家に生まれた父は、毎冬の明け方に御神渡りが湖面を走るバリバリという音で必ず目が覚めたものだとよく話していた。
♪八剣神社は諏訪市小和田(こわた)にあります。諏訪が豊臣軍に占領されていたとき、秀吉の命を受けて配下の武将「日根野高吉」が諏訪湖の中にあった「高島」という島に城を築きました。その城が高島城です。八剣神社は高島の島内にあった島民の氏神ですが、島民が高島から現在の小和田の地に移された時、神社もともに移設されました。 この立ち退きのとき、島民は日根野氏と巧みな交渉を行い、諏訪湖全域の漁業権と、新たに広大な農地を獲得しました。我が家の先祖はこの半農半漁の島民の一人だと聞きます。八剣神社はまた、古来より諏訪大社の摂社(筆頭子社)で、諏訪湖の冬の自然現象“御神渡”を検定し、諏訪大社に出来を報告する役割を担ってきました。小和田に移った住民は、移住以来、藩主(日根野氏が他に移ったあと、諏訪氏が戻り、明治のはじめまで諏訪氏が殿様だった)の支配を受けず、行政は住民の自治によって行われました。諏訪湖から湧く温泉を引いた共同浴場で、裸の住人たちが侃々諤々論議を戦わせ、祭の拠出金や揉め事など自分たちで全てを決めていったそうです。
私も小学生のころ、夏休みに諏訪に行ったとき、まだ使われていた大きな共同風呂にイトコたちと入った楽しい思い出があります。