原節子さんという女優を知ったのは小津安二郎監督の「東京物語」という映画が最初だった。とても美しい女優さんだと思った。また存在感も感じた。
他の女優さんとどこか違いがあるように感じた。それは彼女の持つ品性かもしれない。
小津安二郎が60歳で亡くなり、その通夜に出たのを最後に彼女は42歳の時に人前から姿を消し 95歳で亡くなるまで表に出ることはなかった。
彼女に関する本はかなり読んできたが、この本は極めつけの本のようだ。読み進めるのが楽しみだ。
彼女の伝記は女優の盛りを太平洋戦争下の映画界で過ごした一人の人間の人生も見せてくれる。
新潮社のサイトの惹句から
その存在感と去り際、そして長き沈黙ゆえに、彼女の生涯は数多の神話に覆われてきた。
真偽の定まらぬままに――埋もれた肉声を丹念に掘り起こし、ドイツや九州に痕跡を辿って浮かび上がったのは、
若くして背負った「国民的女優」の名に激しく葛藤する姿だった。伝説を生きた女優の真実を鮮やかに甦らせた、決定版の本格評伝。
南沢奈央 (みなみさわ・なお 女優)の感想の一部
「本書は決して、女優原節子の素晴らしさを語るものではない。ひとりの女性の生々しさ、強烈な人間らしさが見えてくる。
普段の私がいかに“生きていない”か、思い知らされる。自分を押し殺し、周りの求めることに応えていくこと。
そんな環境や自分に、納得していなくても順応していくことが、生きる術だと思っていた。原節子がその世界に染まらずに
自分の意志を貫いたことはある意味、生きづらい選択だっただろう。だが小津映画をもうやりたくないと言う彼女も、
映画界を冷ややかな目で見る彼女も、何も告げずに引退する彼女も、その後五十余年沈黙を守った彼女も、そしてもちろん映画の中の彼女も、
とても人間らしい。女優であることより、いち人間でいることを全うした彼女は、何よりも美しかった。」 全文
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
0611 エクササイズ フルセット完