袴田事件“虚偽自白”の鑑定書 NHKwebニュース
9月28日 21時3分 静岡県で一家4人が殺害されたいわゆる袴田事件の再審を巡り、去年開示された袴田死刑囚の取り調べの様子を録音したテープについて、弁護側が「虚偽の自白をしている」と専門家が結論づけた鑑定書を裁判所に提出しました。 袴田巌死刑囚(76)は昭和41年、現在の静岡市清水区でみそ製造会社の専務の一家4人を殺害したとして死刑が確定しましたが、無実を訴え、2度目の再審請求を行っています。 28日は静岡地方裁判所で検察と弁護団を交えた協議が行われました。 この中で弁護側は、去年12月に検察が開示した取り調べの様子を録音したテープについて、心理学の専門家に分析を依頼してまとめられた鑑定書を裁判所に提出したことを報告しました。 鑑定書では、袴田死刑囚が取り調べの中で「夢中でやった」と繰り返すだけで具体的な供述をしておらず、犯行時の服装など事実と食い違っている点も多いとして、「捜査側の追及によって虚偽の自白をしている」と結論づけています。 協議ではこのほか、犯行時に着ていたとされる衣類の鑑定を行った2人の専門家の尋問を11月に行うことを決めました。 弁護団の西嶋勝彦団長は「取り調べ内容の鑑定結果はわれわれの主張を裏付けるものだ。11月の尋問でも袴田死刑囚の無実を明らかにしたい」と話していました。 |
原発事故捜査を本格化=来月から態勢強化―年度内にも立件判断・検察当局
2012年 9月 28日 ウオールストリートジャーナル 東京電力福島第1原発事故をめぐり、業務上過失致死傷容疑などの刑事告発を受理した検察当局が、来月上旬に応援検事を集めて態勢を強化し、捜査を本格化させることが27日、関係者の話で分かった。既に関係先から資料の任意提出を受けたもようで、今後、当時の東電幹部らの事情聴取を開始し、早ければ年度内にも立件の可否を判断するとみられる。 検察当局は8月、4地検で告発を一斉に受理した。このうち金沢、名古屋両地検への告発は東京地検に移送され、今後は東京、福島両地検が捜査を担当する。応援検事は周辺地検などから東京地検公安部に派遣され、同部が専従の捜査班を設置する。 受理されたのは、東電幹部や政府関係者が地震や津波への対策を怠り、事故当日に原子炉冷却などの適切な対応を取らずに、周辺住民に傷害を負わせたなどとする業過致死傷容疑などの告発。両地検は同容疑を中心に捜査を進める。 第1原発の格納容器に対する応急措置をすぐに実施させず、水素爆発により作業員らに傷害を負わせたとする原子炉等規制法違反など、2014年3月に時効となる告発も受理していることから、検察当局は態勢を強化して、捜査を急ぐ必要があると判断したとみられる。 [時事通信社] 引用元 |
「日本維新の会」 正式に発足 NHKwebニュース
9月28日 17時29分 大阪市の橋下市長が率いる「日本維新の会」は28日午後、総務大臣宛てに、7人の国会議員が参加し大阪に本部を置く新党の設立の届け出を行い、正式に発足しました。 新党「日本維新の会」は、大阪市の橋下市長による今月12日の結成宣言を受け、党の規約などを巡って参加する議員の間で調整を進め、これまでに取りまとめを終えました。 そして、28日午後、新党の幹部らが大阪府選挙管理委員会に出向き、総務大臣宛てに設立の届け出を行い、正式に新党「日本維新の会」が発足しました。 新党は、代表を橋下市長が務め、先の結成宣言にも立ち会った、民主党、自民党、みんなの党に離党届を提出した7人の国会議員が参加し、活動の拠点となる党本部は大阪に置くとしています。 橋下市長は、届け出に先立って記者団に対し、「大阪に本部を置いて政治をやるということは、政治の分野で、東京の一極集中を打ち破る第一歩を踏み出すという意義はあると思う」と決意を述べました。 新党の発足を受けて、代表の橋下市長らは、来月中旬に上京して、各政党へのあいさつ回りを行うほか、来週から候補者の選考に入り、次の衆議院選挙に向けた準備を本格化させることにしています。 |
大間原発、1年半ぶり建設再開へ 函館市、法的措置も 朝日新聞
2012年9月28日11時13分 Jパワー(電源開発)は28日、東日本大震災後に中断していた大間原発(青森県大間町)の建設工事を再開する方針を明らかにした。北村雅良社長が週明け1日に大間町、佐井村、風間浦村の地元3町村を訪れ、再開方針を説明する。 大間原発は2008年に着工し、全体の4割近くまで工事が進んでいる。完成した原発を動かすには原子力規制委員会の許認可が必要だが、工事再開には国の認可はいらない。Jパワーの社内手続きが終われば、約1年半ぶりに再開される見通しだ。 大間町などの地元自治体は賛成する意向を示しており、Jパワーに早く工事を再開するよう求めている。 一方、距離が近い北海道や函館市などは工事再開に強く反対している。特に津軽海峡を挟んで大間原発と向き合う函館市は、再開されれば法的措置で対抗する可能性を示唆している。 太字は管理人 大間原発建設再開へ 函館市、差し止め訴訟準備 市民にも反発広がる (09/29 )北海道新聞 【函館】電源開発が大間原発の建設工事を年内に再開する方針を固めたことについて、同原発から最短で23キロしか離れていない函館市の工藤寿樹市長は28日、市役所で記者会見した。市長は「市民の安全、安心を無視して前のめりに再開することは許されない」と強く反発し、再開に備え「(差し止め)訴訟の準備を早く進めるよう(担当部に)指示した」と述べた。 市長は昨年10月にも「市が司法的な手段をとることも考えている」と、法的措置の可能性に言及していたが、さらに踏み込んだ。 工藤市長は電源開発の工事再開方針について「政権が代わる前に既成事実をつくりたいのだろう。とんでもない話だ」と、不快感を表明。来月1日に函館市を訪れる同社幹部に抗議すると明言し、会談を報道陣に公開する考えを示した。 また、同15日に上京し、同社と政府に抗議する意向を明らかにし、渡島管内の他の全10市町の首長からも理解を得たと説明。訴訟を提起する時期などには触れなかったが、「戦いは長期化するかもしれない。覚悟の上だ」と述べた。 また、工藤市長は28日、函館地裁で審理中の「大間原発建設差し止め訴訟」の河合弘之弁護団共同代表と初めて会い、市が訴訟の場でどのような主張ができるか、などの検討への協力を要請した。<北海道新聞9月29日朝刊掲載> |
「回転寿司」政調会長はわかっているのか 田中康夫
一部引用・・ 「ハトを守るタカ」と自任する畏兄・亀ちゃん=亀井静香氏が24日付「毎日新聞」夕刊で、「『原発』争点にならない自民党総裁選」を「過去の反省ない証拠だ」と看破しています。 「私自身にも責任はある。自民党時代には政調会長を務め、派閥を率いてきた。地震国の日本に設置されている原発の危険性を直視しようとしなかった。申し訳ない」。 「総裁になって政権を取ろうとするならば、まず電力会社に電力需給のデータや石油や天然ガスの調達事情を全て出させ、その上で脱原発に向けての具体的なスケジュールを明示する事だ」。 「日本のあらゆる技術や資源などを総動員して、原発に代わるエネルギーを確立させる事は無理難題ではない。 自民党にとって、これが過去の責任を取る最大の方法」。「にも拘らず、総裁選でどの候補からも脱原発についての深い言及がないのは、これまで自民党が進めてきた原発推進政策への反省がない表れ」。 「自民党は結局、経済至上主義から抜け出せておらず、それは野党になっても何も変わっていない。その事に全く気付いていないように見える」。 続きはこちら |
尖閣問題と日中米の利害 田中 宇
日本が9月11日に尖閣諸島の土地を買い上げて国有化する方針を決めて以来、中国では、日本を非難するデモが各地で行われた。 デモでは、毛沢東元主席の肖像画が掲げられることが多かった。「抗日」という文字も目立った。 戦前に日本が中国を半植民地化していた時代、毛沢東は、共産党軍を率いて抗日戦争を続け、日本が戦争に負けた後、ライバルの国民党軍を中国大陸から台湾に追い出し、中華人民共和国を建国した。 日本を追い出して中国を植民地化から救ったというのが、中国共産党の中国人民に対する政治正統性で、毛沢東や「抗日」の文字はその象徴だ。 高度経済成長で貧富格差が増して貧困層の共産党に対する信頼が揺らぐ一方、共産党が胡錦涛から習近平への10年に一度の権力の世代交代を進めている今、中国の全土に日本敵視のデモが広がることは、共産党の政治正統性の再確認につながるので、共産党の上層部にとって良い。 だから共産党は、中国全土での反日デモを容認ないし計画した。日本政府が、尖閣諸島に関する領土紛争の棚上げという、これまで中国と(暗黙に)合意してきた枠組みを、尖閣の土地国有化によって破り、中国側を怒らせたことは、中国共産党にとって好都合だった。 (日本では「日本の領土である尖閣諸島の土地を国有化するのは日本側の自由であり、中国側がそれを非難するのは100%間違っている」という世論が強い。読者からの非難中傷、非国民扱いをおそれずに書くと、この考えは間違いだ。 尖閣諸島は、日本が実効支配しているが、中国と台湾が自国領であると主張しており、領有権が国際的に確定していない国際紛争地である。 米政府内では、国務省の日本担当者が「尖閣は日米安保の範囲内」として日本の領有権を認める発言をしたが、先日日中を歴訪したパネッタ国防長官は日中どちらの肩も持たず中立の姿勢をとった。尖閣問題について、米国の姿勢はあいまいだ) しかし同時に、毛沢東の肖像は「左派」のシンボルでもある。共産党の上層部には、トウ小平が敷いた路線に沿って、経済成長を最重視し、貧富格差の増大などの悪影響を看過する傾向が強い中道派(穏健派)と、経済成長重視の政策を批判する左派(急進派)がいる。 外交面では、中道派が米国との対決を回避(先送り)する対米協調戦略である半面、左派は米国との対決をいとわず、米国の覇権が弱体化する一方で中国が台頭しているのだから、中国は米国に遠慮する必要などないと考える傾向が強い。 外交面で、人民解放軍は左派的で、中国外務省は中道的だ。ここ数年、これまで外務省が決めてきた外交政策の決定過程に、軍の幹部が首を突っ込む傾向が強まっている。日本風に言うなら、中道派が官僚的で、左派は右翼的なナショナリストだ。 文化大革命後、左派は中国政界の主流から追い出されている。胡錦涛主席や温家宝首相は中道派で、胡錦涛は米国との対立回避を重視した超慎重派だった。 温家宝は、左派の突き上げに対抗し、リベラル的な政治改革によって貧富格差や人々の不満を解消しようとした(温家宝は、天安門事件以降、封印されてきたリベラル派の再起を望んだ)。これから主席になる習近平も中道派だ。 しかし、高度成長の持続は中国社会にさまざまなゆがみをもたらし、その結果、経済至上主義の中道派を敵視する左派への草の根の支持が広がっている。左派は、胡錦涛から習近平への世代交代を機に、中国政界の主流に返り咲くことを模索している。そして左派の代表だったのが、今春にスキャンダルで失脚させられた重慶市党書記の薄熙来だった。 薄熙来は根っからの左派でなく、優勢な左派に接近し、左派的な政策をやって人気を集めて政治力をつけ、共産党の中枢で出世しようとした。薄熙来の策は成功したが、同時に党中央で主流の中道派の人々は薄熙来の存在に脅威を感じ、胡錦涛から習近平への世代交代の政治儀式が始まる今夏より前に、薄熙来をスキャンダルで引っかけて逮捕し、権力を奪った。薄熙来自身は逮捕され失脚したが、薄熙来を担いでいた左派の不満と、党中央の中道派に対する怒りは残った。 そして、左派の不満がくすぶっていたところに起きたのが、尖閣問題での日本との対立激化だった。左派の人々は、毛沢東の肖像画を掲げてデモ隊を率いた。表向きは、日本に対する怒りが発露された。しかしその裏に、デモを激化させ、日本への怒りとは別の、貧富格差や役人の腐敗など中国国内の政治社会問題に対する怒りを発露させるところまで進める意図があった。 このような政治的手口は中国でよくあるので、中道派はデモ発生の当初からその危険性を知っていただろう。当局は、各地でデモが激化してくると取り締まりを強化し、デモを終わらせた。だが、尖閣問題で日中が対立している限り、中国で反日デモが再発し、それを左派が国内政争の道具に使おうとする動きが続くだろう。 中国では日本が尖閣の土地国有化に踏み切った背後に米国が黒幕として存在するという見方が強い。 米国が、日中対立を扇動しているとの見方だ。今回の尖閣土地国有化の動きの始まりは、今年4月に石原慎太郎・東京都知事が米国ワシントンのヘリテージ財団での講演で、東京都が尖閣の土地を買収する計画を唐突に表明したことだ。 米政界のいずれかの筋が、石原に対し、尖閣を買収して日中対立が激化したら、米国は日本を支持し、日米同盟を強化できると入れ知恵(提案)した可能性がある。 米国は、南シナ海の南沙群島問題でも、フィリピンやベトナムが領有権の主張を強めるのを後押しし、これまでASEANと中国の間で棚上げ状態にしてあった南沙問題を再燃させた。 米国は、比越などを代理にして中国包囲網の戦略を展開し、比越に最新鋭の兵器を売り込んでいる。そして、南沙と同じ構図が尖閣でも起きている。米国は、石原を誘って、日本が尖閣問題で領有権の主張を強めて島を国有化するのを後押しし、これまで日中が棚上げしていた尖閣問題を再燃させ、日本にミサイル防衛関連の新型兵器(レーダーなど)を追加で買わせた。 尖閣問題も、南沙問題と同様、米国がアジア諸国を代理役にして中国との対立を激化させる策になっている。中国側は、背後にいる米国への敵視も強めている。尖閣問題で反日デモが激しくなった9月18日には、北京の米国大使館前で50人の市民が米国大使の車を取り囲み、車を傷つける事件が起きた。 中国は、1989年の天安門事件で米欧に制裁され、当時の経済発展が初期の段階にあった当時、今よりも重要だった投資や貿易、技術移転を何年も制限されて、経済発展に悪影響が出た。その教訓から、中国の経済発展を主導したトウ小平は「経済力が十分につくまで、米欧に挑発されても反撃せず我慢せよ」と命じる遺言(24字箴言)を残している。トウ小平の弟子たちである中国政界の中道派は、この家訓を忠実に守り、米国の中国敵視の挑発に乗らないようにしてきた。 だが、経済優先の中道派の姿勢に反発し、近年のナショナリズムの強まりに乗って政治力をつけた左派や人民解放軍は「米国の敵視策を見て見ぬふりして我慢する必要などない。 米国に売られた喧嘩をかって反撃せよ」「中国は国際的にもっと自信を持った方が良い」「空母など新鋭機の開発、貿易決済の非ドル化や米国債の放出、発展途上諸国を味方につけて国際政治で米国を封じ込めるなど、米国の覇権を崩す策を強めるべきだ」といった主張を強めている。 中道派は、あと10年ぐらいトウ小平の家訓を守って慎重な外交姿勢を続けようとしているが、左派は、もう十分に経済力がつき、すでにトウ小平の家訓の範疇を過ぎたと考えている。 ドルの過剰発行、イラクやアフガニスタンでの失敗など、米国の覇権が経済・政治の両面で失墜していきそうな中、次の10年間に中国が米国の敵視策にどう対応するかをめぐり、政権が胡錦涛から習近平に交代する今の時期に、中国の中枢で議論が戦わされている。 習近平政権の外交戦略が定まっていない今の微妙な状況下で、日本が尖閣国有化で中国のナショナリズムをはからずも(背後にいる米国にとっては意図的に)扇動したことは、中国政界で左派を力づけることにつながっている。 尖閣や南沙の問題で、米国と同盟諸国が中国敵視を強めるほど、中国のナショナリズムが燃え、習近平の政権は左派に引っ張られ、対米戦略を協調姿勢から対決姿勢へと転換していくだろう。 日本政府や石原都知事にとって、尖閣問題で日中対立を煽った目的は、日米が共同して中国の脅威に対抗する態勢を強めること、つまり日米同盟の強化だろう。中国の左派が尖閣紛争を逆手にとってナショナリズムを扇動し、中国の日中に対する外交姿勢が協調型から対決型に転換したとしても、米国が今後も盤石な覇権国である限り、中国は米国にかなわないのでいずれ譲歩し、日米に対して協調姿勢に戻り、日米同盟の強化は成功する。 しかし、これまで何度も書いてきたように、米国の覇権は経済政治の両面で揺らいでいる。ドルや米国債の下落、米国の財政破綻、国連での米国の主導権喪失が起こりそうだ。半面、中国はロシアなどBRICSや途上諸国との連携を強め、これらの諸国が集団的に米国から覇権を奪う流れが続いている。 これまで米国の忠実な同盟国だったオーストラリアは、米国抜きのアジアを容認する外交戦略の白書を作り、近く発表する。「アジアの世紀のオーストラリア」と題する白書は、豪州が今後、中国、日本、韓国、ベトナム、インドネシア、インドとの経済関係を重視する戦略をとるべきだと書いている。米国に言及していない点が重要だ。豪州は米経済の回復に疑問を持ち、米国を軽視していると、WSJ紙が危機感をもって報じている。政治軍事的にも、豪州には、米国のアジア支配に協力すべきでないとする論調がある。 豪州には、国家戦略を表だって議論して決める政治風土がある。国家戦略をこっそり決める傾向が強いアジア諸国(東南アジアや韓国など)でも、豪州と似た議論が起きているはずだ。 この手の議論を、表でも裏でも見かけないのは日本ぐらいだ。今後、財政破綻などで米国の覇権が劇的に弱まると、その後の米国は、国力温存と米国債購入先確保のため、中国敵視をやめて、ベトナム戦争後のように、一転して中国に対して協調姿勢をとる可能性が高い。 米国の威を借るかたちで中国敵視を強めた日本は、孤立した状態で取り残されかねない。 中東では今、米国の威を借りてイラン敵視策をやってきたイスラエルが、米国からはしごをはずされている。9月25日、国連総会でのイランのアハマディネジャド大統領のイスラエル批判の演説に対し、席を立ったのはイスラエル代表団だけだった。 これまでイラン批判をしてきた米欧はどこも席を立たず、イスラエルの孤立が浮き彫りになった。中東政治における攻守が逆転した瞬間だった。 イスラエル同様、米国だけを頼みの綱としている日本人は、この展開 を他山の石として注目し、自国の戦略を深く再考する必要がある。だが実際のところ、もちろん日本のマスコミは、この国連総会の出来事をほとんど報じていない。 ここまで、尖閣問題をめぐる日本と中国の姿勢とその意味について書いてきた。日本の上層部は、日米同盟(対米従属)の国是を保持するために尖閣問題を煽った。中国は、左派が国家戦略を乗っ取る目的で、日本から売られた対立強化の喧嘩を積極的に買い、習近平の国際戦略を急進化しようとしている。 残るは米国だ。米国はなぜ尖閣や南沙問題を煽って中国包囲網を強化しているのか。 米国の上層部は一枚岩でないので、複眼的な考察が必要だ。軍産複合体の視点で見ると、尖閣や南沙問題を煽るのは、中国との敵対を煽って恒久化することで、米国と同盟諸国に末永く高価な兵器類を売り続けられる。米政府が財政緊縮に取り組んでも、中国の脅威が大きい限り、軍事費の削減に手をつけにくい。 しかし、中国を敵視し続けていると、中国で米国と対決したがる左派が強くなり、すでに揺らいでいる米国の覇権を、経済・外交の両面で崩されてしまう。米国が中国に左派の政策をとらせるのは自滅的な失策だ。 米国には中道的、穏健的な外交戦略を好むリベラル派もいる。だが、マスコミを握る軍産複合体と右派が結託して911以来展開している好戦的な戦略に圧され、リベラル派は弱くなり、好戦的なことを言う「ネオリベラル派」として何とか生き延びているが、ネオリベラルは右派と違いがない。 米国には、自滅的な失策とわかっている戦略を政府にとらせる勢力がいる。政治面では、軍産複合体と組んでいる右派(タカ派、ネオコン)である。大量破壊兵器がないと事前にわかっていたのに、ネオコンが大量破壊兵器の存在を主張し、開戦に持ち込んだイラク戦争が好例だ。 ネオコンなど右派は、過剰に好戦的な外交戦略をとり、米国の覇権を自滅させている。経済面では、公的資金や連銀のドル過剰発行によって、リーマンショック後に大量発生した金融界の不良債権を買い支えたバーナンキ連銀議長やポールソン前財務長官らが、米国覇権を自滅させる政策をあえて進めている。彼らは、政治面で軍産複合体、経済面で金融界と組み、マスコミの論調を決定しているので、自滅策の自滅性を指摘されずに突き進んでいる。 彼らは、なぜ米国の覇権を自滅させる策を続けるのか。私の見立てでは、彼らの上位にいるのはニューヨークの資本家層であり、世界システムを米欧中心(米国覇権)から多極型の体制(新世界秩序)に転換し、それによってこれまで米欧から経済発展を阻害されてきた途上諸国の経済成長を引き起こそうとしている。 私は数年前から、彼らを「隠れ多極主義者」と呼んでいるが、それについての分析は、これまで何度か書いてきたので、それらを読んでいただきたい。 最近の数年間で、BRICSやイランの国際台頭、米国の繁栄を支えていた債券金融システムのリーマンショックによる瓦解、G7からG20への国際意志決定権の移動など、彼らの多極化戦略は着々と成功している。私の「隠れ多極主義」の分析は、大半の人々にいかがわしいものとみられているが、人々がどう考えようが、私が隠れ多極主義の推論を考えた後、世界は多極化の方向にどんどん進んでいる。 米国の中国包囲網は、隠れ多極主義者が軍産複合体を誘って始めた戦略だ。 短期的には軍産複合体が儲かるが、長期的には中国の台頭と対米対決姿勢を誘発し、米国の覇権衰退と世界の多極化を早める。日本が米国に誘われて尖閣問題で日中対立を激化する策は、長期的に見ると失敗するだろう。 すでに日本政府は、特使を中国に派遣して日中関係の修復を目指すなど、早くも腰が引けている。日本は経済的に、中国との関係を断絶し続けることができないからだ。 日本政府は今後、尖閣問題を再び棚上げして中国との敵対を避ける姿勢に戻るかもしれず、腰が引けているがゆえに、大したことにならないかもしれない。 引用元 |
[官邸の100時間」という本は実名の調査報道書
内容紹介 巨大地震に続く原発過酷事故――あのとき、国家権力の中枢で何が起きていたのか? 打つ手の先を走って悪化していく事態に、政治家や官僚、東電幹部、専門家はどう対応したか。首相はじめ内閣危機管理監、原子力安全委員長など当事者への実名主義による徹底的な取材と、その証言を裏付けるメモや資料からあぶり出す「運命の100時間」。 内容(「BOOK」データベースより) 二〇一一年三月一一日午後二時四六分、東日本大震災発生―。 この巨大地震・津波に続き、東京電力福島原子力発電所が軋みを上げた。そのとき国家権力の中枢では、驚くべき事態が進行していた。打つ手の先を走って悪化する事態に翻弄される官邸、しかし政治家を支えるはずの官僚組織は機能不全を起こしていた。 言葉を失う東電幹部、責任を回避する専門家たち、そして各事故調査委員会で懸案となった「東電撤退」問題の真相は?首相はじめ内閣危機管理監など当事者への実名による徹底的な取材と、その証言を裏付けるメモや資料から炙り出す「運命の一〇〇時間」。 ☆こんな書評を読みました。 「あまり人に本を勧めることはないのですが、この本だけは読んでほしい。まさか震災からの100時間をこんなに詳細に知ることができるとは思わなかった。 原発を推進してきた人達の恐れおののく憐れな姿が伝わってくる。 この姿を日本国民が認識し、こんなことを繰り返してはいけないと、もう一度考えなければならないと思った。 もし他の原発で事故が起きても、きっと政府も学者も規制委員会も何もまともな対応はできないと思う。所詮原子力ムラが安全性を無視して再稼働しているのだから。 ここに登場する原発推進の学者や政治家が今もなお、原発を動かそうと必死になっている。 この時の事を彼らは思いだせないのだろうか。あの恐怖を、無力感を、いら立ちを思い出せないのだろうか。 とにかくぜひ読んでほしい一冊です。いら立ちと恐怖があなたを襲うと思いますが。」 引用元 |
沖縄県 “配備ありき”と政府を批判 NHKwebニュース
9月28日 16時36分 政府がアメリカ軍の新型輸送機、オスプレイを普天間基地に配備する姿勢を変えないことを受けて、沖縄県は28日、沖縄防衛局長と外務省の沖縄担当大使を呼び、「まさに配備ありきで、県民の思いに全く応えていない」などと政府の対応を厳しく批判しました。 オスプレイは、一時的に駐機している山口県の岩国基地での試験飛行を経て、28日にも普天間基地に向けて飛行する計画でしたが、沖縄に接近する台風の影響で、28日の飛行は見送られ、配備は来週月曜日以降になる見込みです。 こうしたなか、沖縄県の与世田兼稔副知事が、沖縄防衛局の武田博史局長と外務省の竹内春久沖縄担当大使を沖縄県庁に呼んで面談しました。 この中で、与世田副知事は「仲井真知事が、今週初め、官房長官と防衛大臣に直接、配備の中止を強く要請した直後に、早ければきょうにも普天間基地にオスプレイが移動するとの通知を受けた。まさにスケジュールありき、配備ありきであり、県民の思いに全く応えていない」と述べ、政府の対応を厳しく批判しました。 そのうえで、「県民の不安が払拭(ふっしょく)されないなかでの配備はまことに遺憾であり、断固、反対する」と述べ、配備の中止を改めて求めました。 これに対し、武田局長は「お話は大臣に伝えたい。県民の安全と生活されている方々の影響を最小限にするために、誠意を持って説明を尽くしたい」と述べるにとどまりました。 |
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