孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

中国で急速に進む先端技術とその問題点

2010-11-22 20:15:48 | 国際情勢

(こういうシーンを目にするのも、そんな遠くはないかも・・・ 問題も多々ありますが、その「勢い」が驚異的なのも事実です。 “flickr”より By mcgill112886
http://www.flickr.com/photos/30401414@N04/2909364745/ )

【「中国が科学研究分野で世界レベルに達する日は我々の想像よりも早く訪れるだろう」】
スーパーコンピューターの性能番付を年2回発表している「TOP500」が公開した最新のランキングで、中国・天津スパコンセンターの「天河1A」がトップの座を獲得したことが話題になりました。
第3位に中国曙光公司開発の「星雲」もはいっており、中国製のスパコンは500位圏内に41台。その総数でアメリカ(275台)に次ぐ2位となっています。

一昔前の中国と言えば、低賃金労働を武器にした低コスト生産のイメージでしたが、着実に技術的に進歩をとげ、先端技術の分野でもハイスピードで欧米・日本に迫りつつあります。
ただ、一部の核心となる技術や部品は依然として輸入に頼っており、「創造性」などの面でまだ問題があることも指摘されています。

****中国の科学技術は米・日・欧に追いつきつつある―ユネスコ*****
2010年11月19日、ユネスコはこのほど発表したレポートで、中国は過去5~10年の間に学術研究、工業発展、イノベーション、科学研究などの分野で米国、日本、EU(欧州連合)の「3強」に追いつきつつあると評した。シンガポール紙・聯合早報が伝えた。

同レポートでは、「中国は過去10年間に研究開発費、論文発表数、人材育成のいずれの分野においても著しい進歩を示している」と高く評価。ただし、研究者の人数、論文の質、特許申請などの分野においては欧米の先進国とはまだ一定の距離が存在すると指摘した。
レポートの作者、オランダ・マーストリヒト大学のリュック・ソエテ(Luc Soete)国際経済学教授は、「中国の科学研究分野には創造性と影響力が足りない。大量のハイテク製品は生産できるが、一部の核心となる技術や部品は依然として輸入に頼っている」と指摘。「大部分の中国企業はまだ技術の最先端レベルに達していないだけでなく、関連の知的財産権も獲得しておらず、この距離を埋めるためにはまだ時間がかかるだろう」との見方を示した。
一方で、ソエテ教授は「中国の研究者とエンジニアの人数は1~2年のうちに米国を抜いて世界一になり、中国が科学研究分野で世界レベルに達する日は我々の想像よりも早く訪れるだろう」と予測している。(後略)【11月21日 Record China】
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【宇宙ステーション、大型旅客機、戦闘機、高速鉄道】スーパーコンピューター以外でも、最近、中国技術に関する話題は多く目にします。
*****中国:宇宙ステーション実験機11年打ち上げ*****
中国初の国産有人宇宙ステーションの実験機「天宮1号」が来年中ごろに打ち上げられる。珠海で開催中の航空・宇宙ショーで担当者が明らかにした。中国は20年までに長期滞在可能な宇宙ステーションを完成させ、将来は月面着陸を目指している。米露に続く有人宇宙プロジェクトを国威発揚につなげていく思惑がありそうだ。(中略)
中国は03年に初の国産有人宇宙船「神舟5号」の打ち上げと回収に成功。来年中ごろに天宮1号を、同年後半に神舟8号を無人で打ち上げ、宇宙空間でドッキングさせる。さらに12年には神舟9号(無人)、同10号(有人)を打ち上げ、ドッキング技術の完成を目指すという。(後略)【11月17日 毎日】
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****エアバス、ボーイングに続け 中国、大型旅客機に本腰*****
エアバスの「A」、ボーイングの「B」、そしてチャイナの「C」――。中国は悲願の大型旅客機で、いつの日か三つどもえを夢みる。
中国が自主開発中の旅客機「C919」(約160人乗り)。14年に初飛行、16年に運航を目指す。16日から広東省珠海で始まった航空ショーで前半分の試作機が展示され、中国の航空会社数社から計100機を早々と受注した。
手がけたのは「中国商用飛行機」。米マグドネル・ダグラスと協力して旅客機を生産していた上海飛行機製造を前身とし、国をあげて旅客機産業に乗り出すために設立された国策会社だ。「国産機の購入優遇策を検討する」(中国民間航空局)方針で、今後20年以内に世界で累計2千機の販売を見込む。
中国共産党・政府は大型旅客機の開発を「重大な戦略」(胡錦濤〈フー・チンタオ〉国家主席)と位置づける。ハイテク技術の塊であり、軍用技術とも一体だからだ。部品は米ゼネラル・エレクトリック(GE)など多くの外資系企業が供給しており、国産化率向上を目指す。(後略)【11月17日 朝日】
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*****中国:新多用途戦闘機「梟竜」が登場 珠海航空ショーで*****
北東アジア最大の航空ショー「中国国際航空宇宙博覧会」が16日、広東省珠海市で開幕。中国がパキスタンと共同開発し、アフリカ諸国などに売り込む多用途戦闘機「梟竜(きょうりゅう)」が中国国内で初登場した。
「梟竜」は03年に初飛行に成功。パキスタンが中国から150機を購入することを決めた。価格は1機約1500万米ドル(約12億円)とほぼ同性能の米戦闘機F16の約3分の1。中国は低価格を武器にしてスーダンやジンバブエ、タンザニア、アゼルバイジャンなどと契約、または交渉中とされる。(中略)
中国は、世界の戦闘機輸出国の中で米露に次ぐ世界3位に浮上。しかし、梟竜にはロシア製戦闘機ミグ29の技術とロシア製エンジンが使われており、技術を供与して追い上げられるロシア側の反発を引き起こしている。【11月16日 毎日】
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****時速500キロ列車、中国が開発着手 実現なら世界最速*****
新華社通信によると、中国が時速500キロ以上のスピードで走る超高速列車の研究開発を始めた。実際に乗客を運ぶ列車が実現すれば、営業運転で中国の高速鉄道がもつ世界最高の同350キロを大幅に上回るスーパー列車が登場することになる。
中国鉄道省の何華武・首席エンジニアが18日、湖北省であった国際フォーラムで明らかにした。今年9月、中国が独自開発したとしている次世代高速列車が、上海―杭州(浙江省)間の試運転で時速416.6キロを達成。同氏によると、さらに性能を高めた時速400~500キロで走る超高速列車の開発がすでに始まっており、500キロ以上で走った際の振動制御の研究などが進んでいる。
中国の高速列車は、もともと日本や欧州の技術移転を受けて開発された。9月末現在で同国内の高速鉄道網は7千キロを超え、2020年までに日本の新幹線網の8倍近い1万6千キロを整備する計画がある。海外輸出にも力を入れており、超高速列車の開発で中国の鉄道技術の高さをアピールする狙いもありそうだ。【10月21日 朝日】
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【「中国がイノベーションの問題に直面している」】
「創造性」に欠ける、他国技術の模倣云々は、ある程度はどこの国も発展段階でたどる過程であり、日本も同様の批判を過去受けてきました。(現在それが克服されているのかはわかりませんが)
ただ、中国の場合、戦闘機や高速鉄道にしても、また、社会に溢れるコピー商品にしても、手っ取り早く他人の技術を安易に利用する風潮が強く、知的財産権が軽視され、結果的に技術革新の障害になる傾向も窺えます。

教育体制においても、創造的な業績を残す人材育成につながっていないとの指摘があります。
****中国、教育体制が超大国としての成長スピードに追いついていない―米メディア*****
2010年11月16日、米ABCニュースは「中国の教育体制は超大国としての成長スピードに追いつけるか?」と題した記事を掲載した。中国政府は革新型の人材を求めているが、現行の教育体制の下では優秀な人材が生まれておらず、教育体制の転換に迫られていると報じた。17日付けで環球網が伝えた。
中国では今年約950万人が大学入試に参加した。毎年成績の優秀な学生が話題になるが、成績優秀な学生がその後ビル・ゲイツやマーク・ザッカーバーグ(Facebookの創始者)になることはほとんどない。

1977年から2008年までの中国の大学入試で特に優秀な成績を上げた約1000人に対し、中国メディアが追跡調査を行ったところ、学術・経済あるいは政治分野で突出した業績を残した人物は1人もいなかったという結果が出た。専門家は「中国がイノベーションの問題に直面していることを証明している」と評している。
また、米ミシガン州立大学で中国教育体制を研究する専門家ジャオ・ヨン氏は、「中国政府はイノベーションのセンスを備えた多種多様の人材を求めているが、教育体制がこうした人材の誕生を制約している」と分析する。
中国の学生は、優秀な成績を上げさえすれば良い大学に入れる。しかし、その後、経済活動の中で成功するためには試験の優秀な成績以外の何かが必要とされる。ジャオ氏は「中国のような新興国家では、経済活動においては高級人材ではなく、安い労働力が求められる。しかし今後は、人口大国からマンパワーの資源大国に転換しなければならない」と指摘する。(後略)【11月21日 Record China】
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問題は中国だけではありません。日本は高度な技術力を誇ってきましたが、今や上記のような中国、更には韓国の激しい追い上げを受けて、その地位が大きく揺らいでいるのは周知のところです。

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