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(インド北部ジャム・カシミール州の夏季首都スリナガル インド軍兵士の前を通るイスラム系学校の女子学生
“flickr”より By Jabar Adnan http://www.flickr.com/photos/99765940@N06/9425782517/in/photolist-fmVAKF-fnaNPs-fm81Xs-fpoAED-fpaB3w-fkQxkC-fkQCKL-foRYha-fpDtQt-fnaL4y-fmVyZH-fncDWm-foXWSD-fmqrig-fneke1-fnQKVC-fpywTb-fpKqbC-fofJzP-fovwuo-fmVzpX-fonLhr-fmVzkT-fnaL2J-fnaL7E-fmVz7T-fmVyYx-fnaKWq-fnaL7y-fnaL3h-fmVzgD-fnaKMQ-fnaKSh-fmVzin-fnaKUS-fodK8r-fn8Sqe-fno4sQ-fnpE3z-fnDS4Y-fmVyNM-fmVzB4-fmVADP-foYn8k-fmVzLn-fnaLoW-fmVzPe-fnaLv9-fnaLpA-fnaLmf-fnaLtf)
【モスクでコーランを朗唱していた子供らが犠牲】
アフガニスタンやパキスタンでは自爆テロは別に珍しくもありませんが、3日、アフガニスタンで起きた自爆テロはインド領事館を狙ったもので、結果、モスクでコーランを朗唱していた子供らが犠牲になるというものでした。
****インド領事館付近で自爆テロ=子供ら8人死亡―アフガン****
アフガニスタン東部ジャララバードで3日、インド領事館を狙ったとみられる自爆テロがあり、アフガン人の子供ら8人が死亡、22人が負傷した。反政府勢力タリバンの報道官は時事通信の取材に関与を否定した。
当局によると、爆弾を積載した車がインド領事館に向かっていたが、100メートルほど手前で警察に制止され、自爆したという。
近くにはモスク(イスラム礼拝所)があり、イスラム教の聖典コーランを朗唱していた子供らが犠牲になったという。【8月3日 時事】
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インド領事館を標的としていることから、“パキスタンを拠点としインドを敵視する武装勢力などによる犯行の可能性がある”【8月3日 毎日】とも指摘されています。
いずれにしてもイスラム原理主義を掲げる勢力の犯行と思われますが、コーランを朗唱していた子供らを犠牲にしたことをどのように考えているのでしょうか?さすがに、いつもすぐに犯行声明を出すタリバンも今回は手をあげていません。
【印パ関係は厳しい局面に逆戻り】
インドとパキスタンが領有権を争うカシミールでも、不穏な動きが起きています。
****カシミール:攻撃受けインド兵5人死亡 印パ関係悪化へ****
インドとパキスタンが領有権を争うインド北部のジャム・カシミール州で5日深夜、インド軍が待ち伏せ攻撃を受け、インド兵5人が死亡、1人が重傷を負った。
インドのメディアは、「パキスタン軍と、パキスタン軍の支援を受けた武装集団による合同越境攻撃」(ヒンドゥスタン・タイムズ紙)などと報じており、印パ関係の悪化は避けられない情勢になっている。
ロイター通信によると、パキスタン治安当局者は、パキスタン側からの攻撃を否定した。だが、インド側は強く反発。6日のインド国会では、「パキスタンとの関係改善へ向けた交渉などありえない」などと主張する議員が相次いだ。
両国関係は今年に入り、カシミール地方で起きた印パ両軍の交戦(1月)でインド兵2人が死亡し、和平へ向けた交渉も中断。しかし、パキスタン下院選挙に勝利し6月に首相に返り咲いたシャリフ首相が「インドとの関係修復」を訴えたため、関係改善へ向けた期待が出始めていた。だが今回、1月の交戦を上回る被害をインド側が受けたことで、両国関係は厳しい局面に逆戻りしている。
今回の事件は、アフガニスタン東部ジャララバードで今月3日、インド総領事館が自爆攻撃を受けた直後に起きた。総領事館攻撃については、「パキスタン人による犯行の可能性」がメディアで取りざたされている。【8月5日 毎日】
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カシミール問題は、ともに核保有国であるインド・パキスタンの対立の根幹をなす問題です。
その時々で、緊張したり緩和したりはしますが、何十年経過しても解決の糸口がみつかっていません。
****カシミール問題*****
印パが分離独立した1947年、カシミール地方の藩王(ヒンズー教徒)がパキスタン側の侵攻を受け、インドへの帰属宣言と引き換えにインド軍の出動を要請。領有権を主張する両国は交戦状態になり、49年に停戦ライン(72年に実効支配線)が引かれた。
国連安保理は住民(約7割がイスラム教徒)による投票で帰属を決めるべきだとの決議を採択したが、インドはパキスタン軍の撤退を条件とし、住民投票は実現していない。北東部は中国が実効支配する。【8月5日 産経】
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イスラム教徒の国として建国したパキスタンにすれば、イスラム教徒が多いカシミールは自国に属すべき地域ですが、多宗教国家を国是とするインドにすれば、宗教的理由による分離は国の基本理念を否定するものになります。
印パ双方とも、互いの国家理念から一歩も引けない問題でもあります。
なお、カシミールにおいては、中国によるインド支配地域への越境事件も頻発しており、“開会中のインド議会では、「インドは、パキスタンと中国双方の脅威に直面している」と政府に対策強化を求める意見が相次いだ”【8月7日 産経】とのことです。
【内なる国際問題】
カシミールにおいては、多数派のイスラム教徒住民による分離独立運動が続いています。
****「インドの支配は不当」 独立運動が続くカシミールの影には…****
インド北部ジャム・カシミール州では、多数派のイスラム教徒住民による分離独立運動が続いている。
州政府は、こうした活動家の影にはカシミール地方の領有権を争うパキスタンがいると主張しており、分離独立派への監視網を厳重に敷いている。
イスラム教の信仰心が高まるラマダン(断食月)の中、州都スリナガルで両者の対立を目の当たりにした。
■「印支配は非現実的」
ジャム・カシミール州には20以上もの分離独立派イスラム組織が存在する。政府との対話に応じる穏健派から対話を一切拒否して革命を目指す強硬派、そして強硬派の中でも隣国パキスタンとの統合を求める親パキスタン派まで主張はさまざまだ。
サイード・アリ・ギラニ氏(83)はパキスタン統合派の頭目としてインド政府から最も警戒されている人物の1人だ。
ギラニ氏は過去、何度も投獄と軟禁の目に遭ってきた。腎臓がんを患い、今年3月、ニューデリーの病院で治療を受けてスリナガルに戻った際にも拘束され、現在も自宅軟禁下にある。7月18日、警察の許可を得てギラニ氏の自宅を訪ねた。
ギラニ氏は「インドのカシミール支配は不当で、非現実的であり、軍事力によって維持されている」といい、「印パ独立時にパキスタンの力が弱かったために、カシミール地方を助けることができなかった。インド支配から自由を得ることが人々の望みだ」と訴えた。
この日、ジャム・カシミール州では、イスラム教徒指導者がパキスタンからの越境テロリストと誤認されたことに怒った数百人のデモ隊が国境警備隊と衝突し、デモ隊の4人が死亡したばかりで、スリナガルの町には緊張感が走っていた。
多くの分離独立派指導者が翌金曜日の礼拝日にストライキと抗議デモを呼びかけ、次々に逮捕されたり、自宅軟禁下に置かれたりした。
■失踪者家族会に1500人
穏健派の分離独立派指導者のミルワイズ・ウマール・ファルーク氏=写真=に、自宅軟禁直前に会うことができた。ファルーク氏は政府との対話を支持しているものの、選挙への参加は一切拒否している。
「住民はみな、平和を求めている。しかし、インド政府はカシミールを支配するために軍を展開し、わざと暴力と緊張を生み出しているのだ」とインド政府を批判した。
住民の中にもインドの支配に反発する人は多い。パービーナさん(57)は1990年、当時16歳の息子の消息がわからなくなった。イスラム過激派と疑われた別人と名前が同じだったために人違いで軍に逮捕された。州政府当局や連邦政府に何度足を運んでも、息子がどうなったかわからない。
パービーナさんはその後、インド軍に連行されるなどして行方不明になった住民の家族でつくる「失踪者家族協会」を立ち上げ、会長になった。会員は現在約1500人。「まだ被害を明らかにしていない人がいるはずだ。カシミールの住民の安全はインドでは確保されていない」と訴えている。
■内なる国際問題ただし州政府は、こうした主張に真っ向から反論している。カシミール問題はインドにとり、「内なる問題」であるとともに、カシミールの領有権をめぐって対立する隣国パキスタンとの国際問題でもある。
オマル・アブドラ州首相(40)は、「分離独立派がパキスタンの支援を受けているのは疑いようがない。資金援助も軍事訓練もしている」と非難した。また、行方不明者についても、「多くはパキスタンに越境して帰ってこない者たちだ。中にはインド側へ戻って社会復帰訓練を受けている者もいる」と指摘した。
住民の中にも政府を支持するイスラム教徒がいる。ストライキや抗議デモが「経済の妨げ」になっていると考える人たちだ。ある男性は、「3年前のストでは、期間を短くしてもらうために、やつらにカネを渡した。腐っている」と怒りをぶちまけた。
アブドラ州首相は「住民の中には分離独立派もいれば、彼らを嫌う人もいる」と話す。インド、パキスタン、そしてさまざまな住民と思惑と利害が交錯し、「白か黒では割り切れないグレーゾーンなのだ」と強調した。【8月5日 産経】
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