(トルコのシリア難民キャンプで この笑顔が消えないうちに・・・ “flickr”より By Mo'een Mustafa https://www.flickr.com/photos/113362615@N07/15702737678/in/photolist-pVACQw-qfNgXV-piZ7tA-qfYciZ-q2Qtsy-pb4C61-pYqmTA-qdGaeo-qfNdx8-pYwWcB-pjduRK-pjduDR-pjdxvx-qdG7jA-qfNjt6-qfYhLT-piZcPA-pYwT3F-qfUYrj-qfYgrD-pYwRdi-pYyi92-qfYeDa-qfYegB-piZ8fA-pjdu9H-pYykxF-piZbVb-pYpzTy-pYqnaN-qfYhc6-pYwVbD-pYpydu-qdG473-pjdvqa-qfV1Ny-qfYe9H-pYqpsy-qfYk6x-pYwWQk-pjdvXn-qfV2R5-pYwXqi-qfYjEH-pYpDhC-pYyqk6-piZfvY-pYpCPy-pjdwha-pYpCUJ)
【「このまま難民たちを飢えさせてはいけない」】
終わりの見えない内戦や「イスラム国」との戦闘拡大で急増するシリア難民(国内避難民が720万人、国外難民が190万人)の窮状、特に迫りくる冬の寒さの脅威などについては、11月13日ブログ「シリア 混沌とした内戦が続く中で、アレッポ限定停戦案、市民生活を描くコメディー、男女同権法」(http://blog.goo.ne.jp/azianokaze/d/20141113)でも取り上げたところです。
その後、停戦等については動きは報じられていませんが、難民に関して言えば、事態は急を要しています。
国連機関からも危機的状況に関するメッセージが出されています。
****<UNHCR弁務官>難民の対応で「能力超えた」****
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のアントニオ・グテーレス高等弁務官は14日、東京の日本記者クラブで会見し「イラク・シリア危機で避難民が計1200万人に達し、もはや人道支援の対応能力を超えた。問題の解決は政治でなされるべきだ」と述べ、支援の危機を訴えた。(後略)【11月14日 毎日】
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****シリア難民急増 支援拡大の必要性訴え****
UNHCR=国連難民高等弁務官事務所のグテーレス高等弁務官は、シリアからの難民が急増している隣国のヨルダンやレバノンで、受け入れ態勢が限界に近づいているとして、インフラ整備などに使われる開発援助の資金を活用して学校を整備するなど、支援を拡大する必要があると訴えました。
UNHCR=国連難民高等弁務官事務所のグテーレス高等弁務官は18日、アメリカの首都ワシントンで、320万人に上るシリア難民の現状について講演しました。
この中で、グテーレス高等弁務官は「周辺国への大規模な追加支援が行われなければ、状況は劇的に悪化する」と述べ、隣国のヨルダンやレバノンの受け入れ態勢が限界に近づいているという認識を示しました。
そのうえで、「インフラ整備などに使われる開発援助のための資金は人道支援の10倍に上るのに、危機の克服に利用できずにいる」と述べ、開発援助の資金も活用して、学校の建設など受け入れ側への支援を拡大する必要があると訴えました。
シリアの難民問題を巡っては、対応に苦慮するヨルダンのアブドラ国王が18日から来日し、日本に対しても支援を呼びかけることにしています。【11月19日 NHK】
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ついには、日々の生活を支える食糧支援も資金不足から中断に追い込まれています。
****WFP、シリア難民への食料支援を中断 資金不足で****
国連(UN)の世界食糧計画(WFP)は1日、内戦を逃れて周辺国に避難しているシリア難民170万人以上への食料支援を資金不足のため中断したことを明らかにした。
ヨルダン、レバノン、トルコ、イラク、エジプトのシリア難民に年末まで食料配給券を支給し続けるのに必要な6400万ドル(約76億円)が緊急に拠出されなければ、難民たちは今冬を飢えて過ごすことになるという。
こうした事態に、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のアントニオ・グテレス高等弁務官は声明で「至急、国際社会にお願いしたい。今すぐWFPを支援してください。このまま難民たちを飢えさせてはいけない」と訴えた。
内戦が始まってからの3年半、WFPはシリア国内の数百万人の避難民に加え、レバノン、ヨルダン、トルコ、イラク、エジプトに逃れた最大180万人の難民に食料支援を行ってきた。
WFPのアーサリン・カズン事務局長は、シリア難民への食料供給が滞れば、難民たちの健康が危機的状況に陥るだけでなく、難民受け入れ国の社会不安や治安悪化につながると懸念を示した。【12月2日 AFP】
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シリアの状況についてはいろんな主張もあろうかとは思いますが、まずは難民が寒さと飢えで苦しむことがないように願います。
国連WFP(世界食糧計画)の支援窓口
http://ja.wfp.org/get-involved
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の支援窓口
http://www.japanforunhcr.org/activities/landing-theme_em-syria/?utm_source=google&utm_medium=cpc&utm_content=search_Text&utm_campaign=Regular&gclid=CjwKEAiA4_WjBRCNgf7A_KeE9jwSJADtegYdxZo8sQEZwdlGI9P7Xl-W0_2lGtU4LGNHDaZUanjwxhoCsqfw_wcB
【民間人に犠牲が出ても米欧からの批判は限定的?】
最近のシリア情勢に関しては、シリア政府軍が「イスラム国」の拠点ラッカへの空爆を行い、多数の民間人犠牲者が出ているとのことです。
***シリア軍 イスラム国「首都」空爆 95人死亡、批判限定的と判断か****
シリア政府軍は25日、イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」が“首都”と位置づけるシリア北部ラッカを空爆し、多数の民間人を含む少なくとも95人が死亡した。ロイター通信などがシリア人権監視団(英国)の話として伝えた。政府軍によるラッカ空爆としては最大規模となる。
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アサド政権はこれまで、住民への無差別的な空爆作戦を行っているとして米欧から強く非難されてきた。しかし、今回の空爆では、国際社会との「共通の敵」であるイスラム国への攻撃のためであれば、民間人に犠牲が出ても米欧からの批判は限定的だという計算も働いたとみられる。
人権監視団は、空爆はラッカ東部を中心に少なくとも10回行われ、死者のうち52人は民間人であることが確認されたとしている。救助活動中にさらなる空爆を受けるなどして多数が負傷し、死者は増える可能性がある。
ラッカにあるイスラム国の拠点などには、有志連合を主導する米国なども空爆を実施している。
政府軍のこれまでの空爆作戦は、反体制派やイスラム国の部隊が入り乱れる北部アレッポ周辺や反体制派支配地域が中心で、ラッカには多くの戦力を割いていなかった。
アサド政権存続に向け、米欧や湾岸アラブ諸国の後押しを受ける反体制派の弱体化を優先してきたためだ。イスラム国と反体制派の戦闘から距離を置くことで、双方を消耗させる狙いもあるとみられる。
アサド政権が今後、この方針を転換してイスラム国支配地域への攻勢を本格化させるかは不透明だ。ただ、政権側にはイスラム国の問題で米欧と利害の一致点を探り、政権存続を認めさせたいとの思惑がある。
民間人にも多数の死傷者が出たとされる今回の空爆は、米欧が政権側のやり方をどの程度許容するかの判断材料にもなりそうだ。
イスラム国は昨年、ラッカを制圧し、その後、周辺地域や隣国イラクでの支配を拡大。今年9月以降は、シリア北部のトルコ国境沿いにあるクルド人地域の町アイン・アラブ(クルド名コバニ)をめぐって激しい戦闘を繰り広げている。【11月27日 産経】
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少なくとも95人が死亡、死者のうち52人は民間人・・・・民間人犠牲者の方が多いということになります。
アメリカとシリア政府、同じ「イスラム国」を相手にするのであれば、互いに連携して民間人犠牲をなるべく少なくするようにすべきかと思いますが、互いを認めない国際政治上の立場の違いから、そうした配慮もなされず、犠牲者だけが増えていきます。
【「子どもを殺すなんて人間じゃない」】
小学校の子供たちも容赦ない攻撃対象となっています。
そこには戦闘の大義も何もないように思われます。
****シリア内戦、狙われる小学校 平和願い、懸命に学ぶ子たち****
内戦が続くシリアで学校を狙った攻撃が絶えない。級友の死を目撃した子どもたちは心の傷を抱えながら、今も攻撃に遭う危険と隣り合わせの中で懸命に学んでいる。
首都ダマスカスの北約150キロにあるシリア第3の都市ホムス。反体制派とアサド政権軍の戦闘で旧市街は破壊し尽くされた。現在は政権軍が市内の大部分を掌握している。
中心部にあるアクラマ・マクフゾミ小学校の校門前の路上で車が爆発したのは10月1日正午過ぎ。サーリア・ディア・ザマトゥリ校長によると、男が車の下に仕掛けた爆弾を遠隔操作で爆破させた。
下校時だった。子どもたちは吹き飛ばされ、あちこちで悲鳴が上がった。迎えに来た家族たちもパニック状態に。
男はしばらくすると、数十メートル離れた場所から「車がもう1台来る。早くこっちに逃げるんだ」と叫んだ。子どもたちや家族が集まってきたところで男は自爆した。二つの爆発で子どもたちと家族の計45人が死亡したという。
小学校のある地区は、アサド大統領と同じイスラム教アラウィ派の住民が多く住む。政権打倒をねらう反体制派による攻撃だった可能性がある。
学校は11日後に再開したが、校門に近づくと泣き出す子もいた。精神的なショックを癒やすため、遊びや音楽の時間を多くした。絵の時間。「好きな絵を描いていいよ」と言うと、多くの子どもが事件の場面を描いた。倒れて血を流した子ども、ちぎれて散乱した腕、燃え上がる車や木……。
今月2日、武装グループが潜む地区の方角からミサイル弾が飛んできて学校の外壁前に着弾した。爆発の破片で校舎の窓ガラスが割れた。けが人はなかったが、泣いたり、吐き出したりする子どもがいた。ミサイルは翌日も飛んできて通行人が死亡した。
ザマトゥリ校長は「子どもを殺すなんて人間じゃない。私たちは4年近く続く内戦に疲れ果て、その日常に慣れてしまった。平和な日々に戻してほしい」と語った。
ユニセフ(国連児童基金)による今年1月から9月末までの集計では、シリアでは学校や教師、児童を狙った攻撃が35件あり、少なくとも105人の子どもが死亡した。
これに10月以降の攻撃を加えると、今年は少なくとも140人の子どもが犠牲になったとみられる。【11月27日 朝日】
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【だから明日も吹き続ける】
隣国トルコには、国連の統計で約100万人、トルコ政府によれば160万人に上る難民が押し寄せています。
その生活は過酷です。
****路上で笛吹くシリアの少年、一家の希望のために****
大勢の人通りでにぎわうトルコ・イスタンブールの路上で、歩道に座って笛を吹くホームレスの少年。時折小銭を置いていく人もいるが、ほとんどは気にも留めずに通り過ぎる。
1日の稼ぎは米ドルにして10ドル(約1180円)程度。それでも母親と4人の兄弟の生活の足しにするため、何時間も吹き続ける。
6歳だという少年は、内戦が続くシリアのアレッポを逃れ、一家で1年ほど前にトルコにやって来た。今は公園で暮らしているという。
反体制派の拠点となったアレッポは、政府軍に攻撃されて激戦地となり、父は同地で死亡した。
少年は頭痛がすると訴え、アレッポの銃撃のことを口にする。
街中での物乞いは禁止されている。この日は帰宅途中に警察に見つかって笛を取り上げられ、5ドルで新しい笛を買い直した。1日の稼ぎの半分がなくなっても、家族が希望を持ち続けられるなら高い出費ではない。
だから明日も吹き続ける。
トルコに逃れた難民は、国連の統計で約100万人、トルコ政府によれば160万人に上る。この数カ月はイスラム過激派「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」の台頭で、シリアからの難民が再び急増している。【11月28日 CNN】
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