暖かな陽気に長野でも桜が咲きました。「世の中に絶えて桜のなかりせば春の心はのどけからまし」という在原業平の歌があります。「世の中に一切、桜というものがなかったら春をのどかな気持ちで過ごせるだろうに」と意味をとりますが、高校時代の古文の先生は「桜の花で、その年が豊作かどうか占うからだ」と、実利的なことを言っていました。冗談だらけの先生なので、本当かどうかはわかりません。暖かくて、情緒が感じられるテディ・キングの歌を聴いてみます。
TEDDI KING (テディ・キング)
BIDIN' MY TIME (RCA 1956年録音)
テディ・キングは、1929年生まれで50年代に活躍した歌手ですが、1977年には若くして亡くなってしまいました。ジャズ・ヴォーカルというよりスタンダードを歌うポピュラー歌手といった方がイメージがわくと思います。ややノスタルジックでもあります。
折り目正しい感じの歌唱で、可憐なイメージです。したがって、編曲と伴奏が大事になりますが、この作品ではアル・コーン(テナー・サックス)が編曲し、大型コンボが伴奏をしています。メンバーに、アル・コーンのほかジョー・ニューマン(トランペット)、ハンク・ジョーンズ(ピアノ) 、ジーン・クイル(アルト・サックス)らが加わり、テナー、トランペットらのソロも入ります。
曲目は、「Bidin' My Time」、「That Old Feeling」、「Careless Love」、「For All We Know」、「When I Grow Too Old To Dream」、「I Can't Get Started」、「Love Walked IN」といったスタンダードと、ちょっと珍しいところでエロール・ガーナー作曲の「I'm not Supposed to Be Blue Blues」が入っており、全12曲です。
タイトルにするだけあって、「Bidin' My Time」が甘い魅力がでており、最も印象に残ります。「That Old Feeling」は遅いテンポで丁寧に歌われ、ハミングも交えています。「For All We Know」でもソフトな表現で、声を張り上げたところなどキュートな魅力が漲ります。楽しいのは「Careless Love」で、スイングした歌とトランペットのソロが光ります。
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