新年の初めに聴くアルバムは、今年も含め僕の場合ずーっと同じです。バド・パウエルのルースト盤、アート・ペッパーのミーツ・ザ・リズムセクションが不動の1、2番です。他にはキャノンボール・イン・シカゴやマイルス・デイビスのもので、自分の原点に回帰しています。ヴォーカルでは、アニタ・シングス・ザ・モストははずせませんが、他はその時々で選んでいます。2010年は伴奏も素晴らしい初々しいアルバムにしてみました。
MARLENE VER PLANCK (マーリーン・ヴァープランク)
I THINK OF YOU WITH EVERY BREATH I TAKE (Savoy 1955年録音)
マーリーンはたいへん幅が広い、長いキャリアのある歌手です。にもかかわらず日本国内では、このサヴォイ盤がCD復刻されているものの、他の作品が紹介される機会がないのは残念です。僕も彼女の歌をはじめて聴いたのは、1980年代にAudiophileから出された米国盤のLPでした。
彼女のデビュー作であるこの作品は、フレッシュや可憐という言葉がよく似合うもので、素直な声、自然なフレージングに惹かれます。伴奏が豪華で、ハンク・ジョーンズ(p,arr)、ジョー・ワイルダー(tp)、ハービー・マン(fl)、ウェンデル・マーシャル(b)、エディ・ジョーンズ(b)、ケニー・クラーク(ds)です。ソロも入り、ヴォーカルファンならずとも聴いてみたくなるかもしれません。
曲目は「I Think Of You With Every Breath I Take」、「Accent On Youth」、「Snuggled On Your Shoulder」、「Some Other Time」、「If I Love Again」、「We Could Make Such Beautiful Music Together」、「Deep In A Dream」、「Two Cigarettes In The Dark」、「Without A Word Of Warning」、「You Leave Me Breathless」の10曲で、佳曲が並びました。
恋の歌が多くスローテンポ主体ですが、マーリーンはフレーズをしっかりと歌い、気持ちをいっぱい込めているかのようです。クリフォード・ブラウン(tp)の演奏でおなじみの「If I Love Again」ではヴァースから歌いよくスイングします。ミルト・ジャクソン(vib)の名演がある「You Leave Me Breathless」では彼女の声の美しさが光り、表題曲や「Deep In A Dream」など伴奏も含めていいなあと唸りました。
また、お正月なので華やかなアビ・レーンのLP「The Many Sides Of」も聴き、ホームページにそれを追加しました。モダンジャズやヴォーカルを聴こう