この10月10日~11日は、安曇野市の地区のお祭りで、父と一緒に神社にお参りに行きました。境内には船(柴船といいます)が停めてありましたが、このへんでは、屋台とか神輿ではなく、車輪をつけた船を出します。船の中では、中学生が太鼓、鉦をたたき、大人が笛を吹いてお囃子をやりますが、人数が多く迫力があります。お囃子には3つの曲想があり哀調を帯びていますが、早いテンポのものは勇壮さがあります。最近、危険ということで、お囃子をやりながらの曳航が行われず、境内に据え付けになりました。お囃子の後は、哀愁名盤を聴いてみました。
KENNY DORHAM (ケニー・ドーハム)
MATADOR (United Artists 1962年録音)
哀愁ハードバップというと、僕の場合はジャッキー・マクリーン(as)の数々のリーダー作に手が伸びます。ケニー・ドーハム(tp)は、このアルバムで意欲的なプレイを行っていますが、マクリーンが曲の提供を行い、また、ハードながら甘さも感じられる音で吹いた名曲が収められていて、いつも手元に置いておきたい一枚です。
メンバーは、ドーハム(tp)、マクリーン(as)、ボビー・ティモンズ(p)、テディ・スミス(b)、J.C.モーゼス(ds)で、ホーンの二人による双頭バンドによる作品と言ってもいい内容です。また、ティモンズの活躍も目立ち、Melanie(パート3)におけるソロは、アイデア豊かで煌めいていて、初めて聴いたときには、びっくりしました。
曲は、ドーハムの「El Matador」、マクリーンの「Melanie Part1~3」、チャップリンの「Smile」、ビクター・ヤングの「Beautiful Love」、ヴィラ・ロボス作「Prelude」、ナット・キング・コールが歌った「There Goes My Heart」と前半はオリジナル、後半はほぼスタンダードという配列です。「Beautiful Love」は、郷愁を誘うような美しい曲で、「学生時代」(平岡精二作、ペギー葉山歌)には、似たメロディが出てきますが、それもまたよいです。
「El Matador」と「Melanie」(「Melody for Melonae」)は、たいへん充実した演奏で、聴き逃せませんが、哀愁ハードバップファンの僕としては、Smile、Beautiful Love、Prelude、There Goes My Heartと続くLPでいうとB面を楽しむことが多いです。とりわけ、マクリーンが吹く、ミディアムテンポのバラード「Beautiful Love」は絶品といってよく、同曲はビル・エバンス(p)の名演(「Explorations」(Riverside)に収録)が知られていますが、この演奏も素晴らしい。
【地区のお祭りの柴船】