マイケル・J・フォックス主演のコメディ映画「摩天楼(ニューヨーク)はバラ色に」(The Secret of My Success)を観ました。田舎からニューヨークに出てきた若者の出世物語です。スピード感のある映画で笑いどころが多いですが、社長室で社長夫人が歌を口ずさみながら彼に迫る場面も可笑しい。「The Song is You」、「I'm in The Mood for Love」、「I Get a Kick Out of You」、「Bewitched」という4曲の初めの部分が続けて歌われ、歌詞がちょうど場面とあっていて、思わずニヤッとしました。「The Song is You」は、その曲名がすぐに浮かばなかったので、「スタンダード・ジャズのすべて」で確認しました。ソロの中で有名曲が引用されているアルバムです。
BILLY MITCHELL (ビリー・ミッチェル)
THIS IS BILLY MITCHELL (SMASH 1962年録音)
テナー・サックスのビリー・ミッチェルですが、ディジー・ガレスピー楽団やカウント・ベイシー楽団に在籍し、リーダー作もありますが、比較的地味な名前だろうと思います。この作品は初リーダー作ながら、なかなかいい内容で、日本で早く発売されていればもっと注目されたかもしれません。
彼のテナーの自然で柔かい音がいいし、スタイルは初期のハードバップという感じで、フレーズがスムーズにつながるので、演奏に浸りきって聴いていられます。個性という点ではきわだってはいないのでしょうが、このアルバム(海外盤のCD)を聴いた後は、幸せな満足感を得ることができました。
メンバーは、ミッチェル(ts)、ボビー・ハッチャーソン(vib)、クラレンス・アンダーソン(org)、ハーマン・ライト(b)、オティス・フィンチ(ds)、デイブ・バーンズ(tp)、ビリー・ウォレス(p)。曲は、オリジナル中心で、「J & B」、「Sophisticated Lady」、「You Turned The Tables on Me」、「Passionova」、「Tamra」、「Automation」、「Just Waiting」、「Siam」の8曲。B・ハッチャーソンの名前が目を惹きます。
「J & B」は楽しい曲想で、ミッチェルは低音から高音まで自在に操る迫力のあるソロの中で、「オー・ソレ・ミオ」と「Fascinating Rhythm」(魅惑のリズム)の一節を引用していますが、決まっています。20年近く経った1980年録音の作品「DE LAWD'S BLUES」(Xanadu)の「B & B」でも同じ引用をしており、お得意フレーズなのでしょう。「Sophisticated Lady」、「You Turned The Tables on Me」などでも堂々たるプレイを行っています。ピアノのビリー・ウォレスの参加も嬉しい。
ホームページのジャズにビリー・ミッチェル(テナー・サックス)を掲載しました。時間があればご覧ください。モダンジャズやヴォーカルを聴こう ビリー・ミッチェル
【新版 スタンダード・ジャズのすべて(全音楽譜出版社)】
1と2があり401曲ずつ全部で802曲の、メロディ、歌詞、コードが載っています。メロディや歌詞を確認するために持っていますが、まれにピアノでメロディをなぞりながら、怪しい歌を唸ることがあります。奥様からは誰も家にいない時にやれと厳命されています(笑)。
【摩天楼(ニューヨーク)はバラ色に】
監督はハーバート・ロス。歌を歌いながら迫る社長夫人は、マーガレット・ウィットンが演じ、マイケルの相手役(ヒロイン)のヘレン・スレイターが綺麗です。