新年明けましておめでとうございます。いつもは自宅の玄関にしめ縄を飾っていますが、今年は奥さんが小さな門松を買ってきました。見方によっては、干支の兎の耳のようにも見えます。お正月は馴染みの作品を聴いています。バド・パウエル(ピアノ)のルースト盤でスタートし、ソニー・クラーク、ウィントン・ケリーと続け、ヴォリュームを上げて聴いた「Kelly at Midnight」(Vee Jay)に体を揺らしていたのですが、バリー・ハリスを取り上げたことのないのに気付きました。
BARRY HARRIS (バリー・ハリス)
BREAKIN' IT UP (ARGO 1958年録音)
バリー・ハリス(p)の初リーダー作です。彼は、一般的に地味なピアニストと言われます。確かに、ケリーのようにフレーズが跳躍するわけでもなく、ガーランドのようにブロック・コードを用いるのでもありません。しかし、近い音を連続させることによりアドリブを展開しており、それを飽きさせずに聴かせるのは、たいへんな技だといえましょう。
リバーサイドやプレスティッジレーベルに録音した諸作がよく知られていますが、案外と僕はこの第1作を好んでいます。メンバーは、ハリス(p)、ウィリアム・オースティン(b)、フランク・ガント(ds)。フランク・ガントは、モンティ・アレキサンダー(p)・トリオの一員として来日し、僕はその公演に行ったので親近感があります。
曲は、スタンダードの「All The Things You Are」、「Embraceable You」、「Stranger in Paradise」、チャーリー・パーカー作「Ornithology」、「Passport」、デンジル・ベストの「Allen's Alley」、ハリス自作の「Bluesy」と「Sro」で全8曲。スピードを求められる曲でどんなプレイをしているのか気になるところです。
はじめの「All The Things You Are」のイントロからすぐに引き込まれます。もともと名曲ですが、テンポの設定、メロディの歌わせ方など、ハリスのプレイは哀愁を感じさせます。同じく「Embraceable You」もいいムードで、彼はスタンダードの良さを引き出すのに長けています。テンポが急速な「Allen's Alley」は、息をもつかせぬ早さの指さばきに、大きくとらえていると思われる構成で、短い演奏ながら傑出しているのではないかと。
【モニカ・ボーフォース】
ホームページのヴォーカルに、この頃贔屓にしているモニカ・ボーフォース(Monica Borrfors)を掲載しました。時間があればご覧ください。モダンジャズやヴォーカルを聴こう モニカ・ボーフォース
【自宅(長野市)玄関脇の門松】
竹が二本揃って兎の耳のように見えなくもありません。