このところあちこち出かけたり、飲会が続いていたので、静かに過ごそうと今日は読書などをしていました。たまには詩もよいかと、本棚から田村隆一詩集(思潮社)を取り出しました。その昔、新聞に載った彼の詩「四千の日と夜」に感銘を受けて、この詩集を買い求めました。田村隆一にお酒は欠かせませんが、アメリカ滞在中も「ドナリー」という酒場に顔を出していたことを発見しました。今夜はパーカーの「ドナ・リー」を。
CHARLIE PARKER (チャーリー・パーカー)
THE COMPLETE STUDIO RECORDINGS ON SAVOY YEARS VOL.2 (SAVOY 1945年~47年録音)
学生時代にチャーリー・パーカーのダイアルやサヴォイへの吹き込みを、LPを何枚も購入して聴いたのですが、プレイには感嘆しつつ、別テイクも含めて多数並んだトラックは扱いにくいものでした。気に入ったトラックをかけるのに難儀し、次第にしまいこんだままになっていきました。
CDは、繰り返しと飛ばしができるのは画期的で、トラックが多数並んでいるアルバムにはことに威力を発揮します。今回CDで聴いているコンプリート・スタディオ・レコーディングス・オブ・サヴォイ・イヤーズは、音質がよく、ゆきとどいた内容です。そのVol.2に「Donna Lea」(ドナ・リー)が入っていて、5つのテイクが収録されています。
市岡仁著「チャーリー・パーカーの音楽」という本があります。「ドナ・リー」について書かれた部分を引用すると、”古いスタンダード「インディアナ」のコード進行に新しいメロディをのせたもの。ここでのベースはトミー・ポッターだが、タイトルはべーシスト、カーリー・ラッセルの娘の名に依っているとされる。”とあります。というわけで、田村隆一が通ったバーとはなんの関係もなさそうです。
「ドナ・リー」の作曲者は、パーカーとされていますが、マイルス・デイビスとする説もあります。この曲には、アート・ペッパー(as)、レッド・ロドニー(tp)、ジャコ・パストリアス(b)ら多数のヴァージョンがありますが、パーカーの演奏を聴くと、スピード、音色、アドリブの連続と、信じられないような創作意欲に圧倒されます。他に忘れられない「ドナ・リー」は、宮間俊之とニューハードのモンタレー・ジャズ・フェスティヴァル出演時の演奏(1974年録音)で、日本のビッグ・バンドもやるもんだと感嘆したアルバム。
ホームページのBOOKSに、市岡仁著「チャーリー・パーカーの音楽」を掲載しました。時間があればご覧ください。モダンジャズやヴォーカルを聴こう チャーリー・パーカーの音楽
【田村隆一の詩集】
「ドナリー」がでてくるのは、新選田村隆一詩集(思潮社)収録の「灰色の菫」という詩です。
はじめの部分を引用すると、
67年の冬から
68年の夏まで
ぼくは「ドナリー」でビールを飲んでいた
朝の九時からバーによりかかって
ドイツ名前のビールを飲んでいると
中年の婦人が乳母車を押しながら
店に入ってきて
ぼくとならんでビールを飲んだりしたものだ