僕の職場に、東京出身で、アメリカの大学を卒業し、長野で就職したという同僚がいて、外国は面白いと言っては、今でも年に2~3回は海外へ出かけて行きます。行き先は英語圏が多いのですが、最近はヨーロッパに惹かれているようです。このごろ、二人で出張した折に、フランスの美術館の話をしていたのですが、途中からジャズの話題になりました。彼はピアノ・トリオを好んでおり、ビル・チャーラップのファンです。
BILL CHARLAP (ビル・チャーラップ)
'S WONDERFUL (Venus 1998年録音)
ビル・チャーラップ(p)は、日本でも知られていて人気があります。このアルバムは、僕の職場の同僚の推薦盤でもあります。トリオでのアルバムが多いチャーラップですが、歌の伴奏もやっており、手元にあるキャロル・スローン(vo)の「When I Look In Your Eyes」(1994年録音・Concord)の伴奏も彼で、そこでは粒だった音が際立っています。
ビルの父のマーク・ムース・チャーラップは作曲家で、いくつかミュージカルを作曲していますが、代表作が「ピーターパン」(1954年)。母が「My Coloring Book」をヒットさせた歌手のサンディ・スチュワートというわけで、両親の才能を受け継いだのでしょう。この出自もよく話題とされます。
メンバーは、ビル・チャーラップ(p)、ピーター・ワシントン(b)、ケニー・ワシントン(ds)。選曲に凝ったものがあり、レパートリーが広く、「Time After Time」、「My Shining Hour」、「The Blue Room」、「Boy, What Love Has Done To Me」、「Isfahan」、「Lover」、「Something To Live For」、「'S Wonderful」、「Summer Serenade」、「Only The Lonely」。ジョージ・ガーシュイン作「Boy,What Love~」は珍しい。
トリオはバランスがよく、ベースがずっしりときます。テンポが速いものでは、チャーラップはバリバリと弾いていますが、ミディアムくらいまでのものは、ピアノの音色に変化をつけ、また、音の強弱にも気を使い効果をあげています。ペダルと指使いのなせる技でしょうが、簡単ではないはず。そんな繊細さとダイナミックさが合わさった「Time After Time」、「Lover」が代表かと。録音が良いのも特徴です。
【キャロル・スローン (vo) When I Look In Your Eyes】
1994年録音、Concordレーベル。メンバーは、Carol Sloane (vo)、Bill Charlap (p)、Steve Gilmore (b)、Ron Vincent (ds)、Howard Alden (g)。チャーラップとともに、ハワード・アルデンがソロをとっています。キャロル・スローンは好調で、秀作の部類に入るのではないでしょうか。