先日、愛知県の岡崎市に寄ることができて、八丁味噌のカクキューの工場と内田修ジャズコレクション展示室を訪問してきました。カクキューは江戸時代初期から続いている老舗で、その歴史のつまった熟成用の大きな木桶に圧倒されました。内田コレクションには、日本人ミュージシャンを録音したプライベート・テープがあって、1時間近く、高柳昌行や秋吉敏子、北村英治らの意欲溢れる演奏を聴くことができました。トランペットの熱い演奏を。
JOE GORDON (ジョー・ゴードン)
INTRODUCING JOE GORDON (EmArcy 1955年録音)
ジョー・ゴードン(1928~63年)は、寝たばこが原因で若くして亡くなってしまったので、2枚しかリーダー作を残していません。アート・ブレイキーが、クリフォードブラウンの後釜として起用したくらいなので、実力は良く知られていたのでしょう。そのバンド在団時に録音したのがこのアルバムです。
メンバーは、ジョー・ゴードン(tp)、チャーリー・ラウズ(ts)、ジュニア・マンス(p)、ジミー・シェンク(b)、アート・ブレイキー(ds)。ジュニア・マンス(p)は、まさにパウエル直系というべき生きのいい演奏をしていて、ヴァーヴやリバーサイドのソウルフルで端正な演奏しか知らなかった僕は、はじめてこれを聴いたときにはびっくりしました。
曲は、メンバー等のオリジナルです。ジョー・ゴードン作が3曲で「Toll Bridge」、「Flash Gordon」、「Bous Ber」、クインシー・ジョーンズ作が2曲で「Lady Bob」、「GrassHopper」、作者不詳の「Xochimilco」の全6曲。「Toll Bridge」は、コールマン・ホーキンス作「Rifftide」ですし、「Flash Gordon」は、後のジャズ・メッセンジャーズのナンバー「The Theme」と同じなので、親しみも湧きます。
ジョー・ゴードン(tp)の爽快感が感じられる勢いのいいプレイが聴けます。テンポの速い「Toll Bridge」では、ゴードン(tp)の火の出るようなプレイやマンス(p)のシングルライン中心の胸のすくようなソロが楽しめます。「Flash Gordon」は、ジャズ・メッセンジャーズのクロージングテーマで耳にすることもあり、懐かしい気分になります。「Bous Bier」は、コード進行を借りてきた「チュニジアの夜」と全く同じ雰囲気で、ゴードンが高音を中心としたバランスのよいソロをとり、マンス、ラウズ(ts)も好演をしています。
【愛知県岡崎市を訪問】
1 八丁味噌カクキュウの工場 岡崎市八帖街字往還通69番地
2 岡崎市内田修ジャズコレクション 岡崎市図書館交流プラザ りぶら2階
室内の撮影が許可されていないので、パンフレットだけです。聴いたプライベート・テープの中に、北村英治(cl)の低音部を用いた「Wihsper Not」の演奏があって、きわめてモダンでした。