仕事をやりくりして、一泊二日の人間ドックに行ってきました。宿泊は病院指定のワンルーム・マンションでしたが、部屋にはテレビはあるものの、外出は原則禁止(門限あり)、お酒はご法度です。仕方がないので、持参した本を読んでいたのですが、結局、午前2時過ぎまで読み耽ってしまい、二日目はうとうとしながらの健診でした。帰宅してから、直訳すると「深夜の油」という作品を聴きました。
JEROME RICHARDSON (ジェローム・リチャードソン)
MIDNIGHT OIL (NEW JAZZ 1958年録音)
「Midnight Oil」は、「深夜の油」だから、アルコールつまりお酒のことだろうと、とっていたのですが、「深夜の油」はランプの灯りのことで、「burn the midnight oil」と使われ、「夜更かしをする」、「夜遅くまで仕事や勉強をする」という意味だと知りました。電気が無い時代に、ランプを灯しているのは、勤勉な人だったのです。今では僕のようにそうとは限りません(笑)。
ジェローム・リチャードソンは、ソプラノ、アルト、テナー、バリトンの4種類のサックス、そしてフルートも吹くというマルチ奏者でした。当然、勤勉だったのでしょう。ビッグバンドやスタジオでの活動が長く、クインシー・ジョーンズ楽団やサドメル楽団に参加しています。
メンバーが多彩で、J・リチャードソン(ts fl)、ジミー・クリーヴランド(tb)、ハンク・ジョーンズ(p)、ケニー・バレル(g)、ジョー・ベンジャミン(b)、チャーリー・パーシップ(ds)。曲は、リチャードソンの自作「Minorally」、「Way In Blues」、「Delerious Trimmings」に、ファン・ティゾール作「Caravan」、アーティー・ショー作「Lyric」の5曲。テナーを吹くのは「Minorally」だけで、あとはフルートを吹いています。
「Delerious Trimmings」は、ギターによるイントロに続きアルト・フルートが魅力的なメロディーを奏します。「Caravan」では、テーマをフルートが吹きあげ、それを装飾するバックの動きが面白く、リチャードソンのフルート・ソロも熱演。「Lyric」のアンサンブルに「くるみ割り人形」(チャイコフスキー作曲)を思い浮かべます。ケニー・バレルが、ソロにオブリガートにと活躍もしており、聴きどころが多い作品です。
ホームページのジャズにジェローム・リチャードソンを掲載しました。時間があればご覧ください。モダンジャズやヴォーカルを聴こう ジェローム・リチャードソン
【読みふけった本】
和田誠著「銀座界隈ドキドキの日々」(文春文庫)。広告業界はじめすべてが若かったのだという感慨を抱きました。イラストレーター、作家、音楽家など出てくる人たちが多彩で面白い。
このアルバムは、 JEROME RICHARDSON の初リーダー・アルバムなんですね.
このあたりのメンバーですと、聴いたことなくてもそれなりの演奏かな、なんて思ってしまいます.
マルチ・リードはどうしても評価が低く見られてしまうんでしょうかね.
ジェローム・リチャードソンは、サックスセクションの一員ということでとらえられることが多いのでしょう。やはり個性という点ではもう一つという気がします。
これは、彼のフルートに焦点をあて、ケニー・バレルも聴けるということで、たまにはいいのではないかと取り出したものです。
私もお酒は大好きですが、「Midnight Oil」はお酒だとは思いませんでしたよ。(笑)
目立たないリチャードソンと深夜の油ですが、ニュージャズの雰囲気あるジャケとキャラヴァンに惹かれたアルバムです。マルチリード奏者はスタジオの便利屋扱いですが、ビッグバンドをスムーズにする潤滑油の役割も果たしておりますね。
ジャケット写真には、ランプがうつっていて、そのランプの灯りに照らされたリチャードソンの横顔とフルートがいいムードを出しています。恥ずかしながら、このブログ記事書くまでランプには全く気づきませんでした(笑)。
リチャードソンは地味で、ブログとホームページで取り上げたはいいけれど、名前が知られていないですね。マーシャル・ロイヤル、カーティス・ピーグラーとか、カウント・ベイシー楽団のリードでもあまり知られていないので、仕方ないところです。