近くのTSUTAYAで目にとまった「ある愛の詩」(Love Story)を借りてきました。アリ・マックグロウとライアン・オニールが主演し、大ヒットした作品で、「愛とは決して後悔しないこと」というセリフも有名になりました。そして、さまざまなアレンジで流れるフランシス・レイの音楽もヒットしました。今見てもよくできた映画ですが、富豪の父親とその息子がどうして対立しているのか今ひとつ不可解です。保守的な父に対する反発なのでしょうが、どうでしょうか。ラブストーリーのテーマが収録されたアルバムです。
CEDAR WALTON (シダー・ウォルトン)
BREAKTHROUGH! (COBBLESTONE 1972年録音)
このアルバムは、一応、シダー・ウォルトン(p)のリーダー作としましたが、ジャケットからもわかるようにハンク・モブレイ(ts)との双頭リーダー作です。モブレイは、健康上の理由から1975年に引退してしまうので、本作が事実上最後の作品となりました。ここにおける彼のプレイを聴くと、早すぎる引退が残念でなりません。
メンバーは、シダー・ウォルトン(p)、ハンク・モブレイ(ts)、チャールス・デイビス(bs,ss)、サム・ジョーンズ(b)、ビリー・ヒギンズ(ds)。デイビスをいれたことでサウンドに厚みが加わり、また、モブレイとデイビスとの2ホーンによる掛け合いも聴かれます。
モブレイ作が2曲で「Breakthrough」と「Early Morning Stroll」、シダー作「House On Maple Street」、アントニオ・カルロス・ジョビンの「Sabia」、フランシス・レイの「Theme From Love Story」(ある愛の詩のテーマ)、ガーシュイン作「Summertime」という6曲。「Love Story」の主題歌は米国でもヒットし、シダーはジャズ化しここに録音しています。
ハンク・モブレイが張りのあるトーンで、ちょっと硬派なプレイをしているのが目立ちます。「Summertime」、「Early Morning Stroll」などのソロでは、メンバーか関係者からと思われるかけ声もかかり、インティメイトなセッションという雰囲気も出ています。シダーは、2曲でエレピを弾いていますが、あまりピンときません。ピアノ・トリオでやった「Theme From Love Story」が、短いながらイントロも付けて、愛らしくてよいです。
【1971年のヒット、映画音楽の参考本】
「ある愛の歌」(1970年公開)は、1971年3月に日本で封切られています。フランシス・レイの書いた曲の方は、アンディ・ウィリアムスの歌でもヒットしました。また、同年6月、イギリス映画「小さな恋のメロディ」が封切られ、この映画の主題歌ビージーズの「メロディ・フェア」は日本で大ヒットしました。
「ある愛の詩」を観たり、2つの曲を聞いていたら、当時の様々な出来事が、一気に思い浮かんできました。いずれも結局はさえない話ばかりですが(笑)。
「映画音楽」(浅井英雄著、誠文堂新光社)
僕は、「小さな恋のメロディー」を松本市縄手通りにあった映画館「中劇」で観ました。1971年ですから40年近く前になりますね。
シダーはこれからコアなトリオとなる、サム・ジョーンズ、ビリー・ヒギンズと組んだ記念すべき録音です。シダー・ウォルトンのアルバムも多いですが、ホーンいりのものから聴き始めるのも面白いと思います。
僕の持っているのは、コブルストーンのオリジナルLPです。他のLPやCDを聴いたことがないので比較はできませんが、サックスの鳴りっぷりがいいです。
モブレイのブルーノート後期作品にも哀愁フレーズが飛び出しいいものがありま。その勢いを本作品でも持続しているのでしょう。東京めたぼさんご指摘のように、とりわけ「サマータイム」です。「ラブ・ストーリー」を取り上げたのは、C・ウォルトン、S・ジョーンズ、B・ヒギンズという3人が揃った録音になっているからです。
ピンボケ・コメです.
Cedar Walton といえば、映画 "Round Midnight" にも出ていて、驚いてしまいました.
ただ、ボクは彼の演奏をあまり聴いたことがありません.
食わず嫌いな部分が多々あります.
71年ですか・・・・中学生でした、"小さな恋のメロディ"は想い出の映画です(笑)
僕が持っているのはMUSEの再発盤でポップなイラストジャケですが、やはりコブルストーンのオリジナルジャケの方が良いなぁ・・、おそらく音質もいいんでしょうね。かつてCD化されたミューズ(とザナドゥ)諸作の音質は全般に力なくイマイチなんですよね。
かつてはジャズ喫茶の人気盤だったそうで、それもむべなるかなの好内容、冒頭「ブレークスルー」からビリー・ヒギンズの軽快なドラミングに煽られてノリノリのモブレー、ボッサ・チューンの「サビア」も味わい深いし、「メイプル街の家」ではシダー・ウォルトンのどこか不穏なフェンダー・ローズにのってソロをとるチャールス・デイビスとモブレー、いずれもよいです。
昔は「アーリー・モーニング・ストロール」の名調子に気を取られていましたが、今は「サマータイム」冒頭のソロにシビれますね~、男モブレー、カッコよすぎっ、これぞ男の哀愁!泣けます・・。続くプレイもジャズの色香漂う鬼気迫るもので、これがハンク・モブレー最後の閃光かと思うと胸にグッとくるものがありますね・・。
ウォルトンにモブレー、ジャズ界きっての美メロ派の二人ががっぷり四つに組んだメロディアスな佳作といえましょうね^^