今年は、小説家の池波正太郎生誕100年に当たります。それを記念して映画の製作などが行われていますが、その関連で「鬼平と梅安が見た江戸の闇社会」(宝島社新書)という新書が出たので読みました。
表紙
(カバー裏面にある本書の内容紹介)
(目 次)
(感想など)
池波正太郎の小説のうち、真田太平記など軍記ものは、史実を元にして書いていると思っていましたが、「鬼平犯科帳」や「仕掛人・藤枝梅安」といった捕物や暗黒街を描いたものも、当時の制度、世相をきちんと踏まえて、話を膨らませていることが、本書により実感できました。
長谷川平蔵の岡っ引きを使うなどの犯罪捜査方法が、高い検挙率を挙げたということや、「新刀徳次郎」、「葵小僧」の実録捕物を書いた一節は、本物の鬼平が非常に有能であり、さらに世界初の罪人更生施設「石川島の人足寄場」を設立したという史実には、感動を覚えました。
架空の人物、藤枝梅安の時代は、鬼平より後の1800年代前半で、武家の堕落が目立ち、身分社会に疑問がもたれた江戸時代中後期を反映していることも理解できました。江戸時代の実際を簡便に書いているので、時代小説のファンには面白い一冊です。
「鼠小僧次郎吉は、19世紀初頭の武家屋敷専門の盗賊。権力の象徴である武家を狙った手口は、のちに歌舞伎の演目となり人気を博した」そうです。
映画のチラシ。「藤枝梅安2」が、4月7日から上映されます。観に行くのが今から楽しみです。
【宝島社の本書のページ】
鬼平と梅安が見た江戸の闇社会│宝島社の公式WEBサイト 宝島チャンネル (tkj.jp)
【映画「仕掛人・藤枝梅安公式サイト】