安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

ジュリー・ロンドン ALL THROUGH THE NIGHT 

2009-02-06 00:02:08 | ヴォーカル(E~K)

サライという雑誌(小学館発行)があります。昨年12月の号ではシェイクスピア特集をしていましたが、買いそびれてしまいました。その代りというわけではありませんが、シェイクスピアの「じゃじゃ馬ならし」が原作であるミュージカルの映画版「キス・ミー・ケイト」のDVDを借りてきました。その中の曲「So in Love」が入っているアルバムです。             

JULIE LONDON (ジュリー・ロンドン)
ALL THROUGH THE NIGHT (LIBERTY 1966年録音)

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1953年に製作されたMGMのミュージカル映画「Kiss Me Kate」は、日本に輸入されませんでしたが、アメリカで大ヒットしました。キャスリン・グレイソン、ハワード・キール、ボブ・フォッシーらが出演し、歌あり、ダンスあり、お笑いありと50年以上経った今からみてもたいへん面白く、特にダンスが革新的で感嘆しました。

作詞作曲はコール・ポーターで、「So in Love」がテーマとして使われるほか、「Too Darn Hot」、「From This Moment On」など、場面にふさわしい曲が続々と登場します。「So in Love」は、弦だけでメロディーが奏されているところがありますが、これが物悲しく聞こえ、僕がこの曲に抱いていた明るい歌というイメージと異なりました。

この曲は、ジョニー・ソマーズのスイングする歌唱とアート・ペッパーの華麗なソロ(「Positively The  Most」に収録)の印象が強く、元気のよい明るい歌という記憶があったのです。ところが、あらためて楽譜をめくると、短調で始まっていました。だから物悲しく聞こえるのも当たり前かもしれません。

ジュリー・ロンドンのコール・ポーター集「ALL THROUGH THE NIGHT」収録の「So in Love」は、早いボサノヴァで処理しています。ジュリーのストレートな歌唱とバド・シャンク(as)以下伴奏陣の好演があって、「At Long Last Love」や「Ev'ry Time We Say Goodbye」など他の曲も聞き逃せません。

ホームページにキャロル・シンプソン(ヴォーカル)を掲載しました。時間があればご覧くださいモダンジャズやヴォーカルを聴こう キャロル・シンプソン


アニー・ロス SINGS A HANDFUL OF SONGS

2009-02-03 23:11:31 | ヴォーカル(A~D)

本日2月3日は節分です。豆まきをするものとばかり思っていたら、最近では恵方巻といって、太巻き寿司を食べるのが流行っているとか。職場の有志で、権堂(長野市の繁華街)の鮨屋さんに太巻き付きの寿司を注文して、お昼に食べました。美味しくいただいたので、きっと何かいいことがあるでしょう。恵方とは、よい方角のことだそうです。方角が読み込まれている「All of You」の入ったアルバムです。

ANNIE ROSS (アニー・ロス)
SINGS A HANDFUL OF SONGS (Ember 1963年録音)

 Sings_a_handful_of_songs

コール・ポーター作詞作曲の「All of You」は、ミュージカル「Silk Stocking」中の曲ですが、歌詞の面白さをたびたび言及される作品です。少し引用すると、
The eyes, the arms, the mouth of you
The east, west, north and the south of you
と見事にyouで韻を揃え、直訳すると「あなたの東、西、北、南も好き」ということになります。

この曲は、60年代のマイルス・デイビスの演奏がジャズ・ファンにおなじみだと思います。今日は、アニー・ロスの歌で聴いています。英国エンバー原盤で、グループを抜けた後のロンドンにおける録音。ジョニー・スペンスが編曲し、指揮をしたビッグ・バンドが伴奏に当たっています。

スタンダード集ですが、アニー・ロスは、ヴォーカリーズから離れて、歌詞を意識しながら歌っているようです。というのは、とりあげた「All of You」の他にも「Love for Sale」、「All the Things You Are」をヴァースから歌っているからです。他に「Fly Me to The Moon」、「Nature Boy」、「What's New」、「A Lot of Livin' to Do」、「Like Someone in Love」など12曲収録です。

本作品でのアニーロスは、難しいことはやらずに素直に歌っていて好感が持てます。なお、Sings A Song With Mulliganでもこの「All of You」を歌っています。そちらもよいですが、コーラスだけでヴァースは歌っていません。

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太巻きもつけてもらいました。

   


フィル・ウッズ PHIL TALKS WITH QUILL

2009-02-01 17:06:08 | アルト・サックス

今日は安曇野市の自宅で掃除に精を出してきました。押入れの片づけをしたのですが、ケースに入ったヤマハ製のアルト・サックスが出てきました。学生時代にほんの気まぐれで、一時吹いていたことがあり、そのあと妹に譲り渡して数年ほど使用され、そのまま保管されているものです。当時あこがれたアルト・サックス奏者は、フィル・ウッズやポール・デズモンドでした。フィル・ウッズを聴いてみます。

PHIL WOODS (フィル・ウッズ)
PHIL TALKS WITH QUILL (Epic 1957年録音)

 Philtalkswithquillepic

アルト・サックスが二本写っているだけのシンプルなジャケットですが、かえって目をひかれます。ウッズはフランス・セルマー社製のものを長らく使っていたはずですが、近年はヤマハのものを使用しているようです。ヤマハの管楽器をウッズが気に入ったというのは、ヤマハはもちろん国産メーカーにとってたいへんな快挙だったろうと思います。

この作品は、1957年にウッズとクイルが2アルトのレギュラー・グループを結成していた時の録音で、二人ともチャーリー・パーカーからの影響を受けたスタイルだけに息のあったところが聴けます。メンバーは、ウッズ、ジーン・クイル(アルト・サックス)、ボブ・コーゥイン(ピアノ)、ソニー・デュラス(ベース)、ニック・スタビュラス(ドラムス)です。

収録曲はバップの有名曲から、「Doxie」が2テイク、「A Night in Tunisia」、「Dear Old Stockholm」、「Scrapple from The Apple」そしてウッズのオリジナル「Hymn for Kim」。2アルトということで、ユニゾンでテーマを奏したり、対位法的に絡んだり、重音でリフをつけたりと、いろいろとやっています。

「Scrapple from The Apple」ではテーマを超特急で二人が演奏していきます。もうそこで息を飲むばかりです。聴いていくとウッズはもちろんですが、意外にクイルのサックスの鳴りがいいので驚きました。「A Night in Tunisia」は、コーゥインのピアノ・ソロのあと、クイル、ウッズと続きますが、クイルがかなり直情的なのに対して、ウッズはソロの初めの方などで音を伸ばすなど工夫をしています。